映画三昧; 『明治一代女』9★ 『元禄美少年記』10★
『明治一代女』
監督・脚色:伊藤大輔
原作:川口松太郎
脚色:鳴沢昌茂
出演:木暮実千代 藤木の実 杉村春子 田崎潤 北上彌太郎
1955年
112分
モノクロ
伊藤大輔監督が長年の構想を見事に結実させて描く明治中期の悲劇の情緒絵巻。恋一筋に生きるために義理と意地とに縛られ、真紅の鮮血で大川端を彩った侠妓叶家お梅の壮絶な哀恋の生涯を描く。原作は川口松太郎、烈しく生きて悲しく散った叶家お梅を小暮実千代が演じる。
木暮実千代 (叶家お梅)
田崎潤 (巳之吉)
北上弥太朗 (沢村仙枝)
浦辺粂子 (お梅の母お兼)
井上大助 (お梅の弟武彦)
杉村春子 (「大秀」の女将お秀)
藤木の実 (「大秀」の娘小吉)
市川小太夫 (尾上梅寿郎)
千明みゆき (「稲舟」の主婦お絹)
東京子 (「稲舟」の少女お糸)
高堂国典 (「稲舟」の船頭源爺)
島津猛 (「稲舟」の若い者銀次)
今清水基二 (「稲舟」の安三)
相馬千恵子 (柳橋芸者浜次)
宮川玲子 (柳橋芸者信乃)
若杉須美子 (柳橋芸者八重)
芝田信 (仙枝の男衆枝若)
坪井哲 (梅寿郎の男衆市助)
小坂真一 (頭取彦六)
山本礼三郎 (「彦市」の親方市蔵)
殿山泰司 (箱丁平吉)
山川朔太郎 (箱丁佐七)
水村民子 (「箱市」の少女お次)
『明治一代女』は面白かった。
歌舞伎役者(音羽屋)が出てきて、劇中劇。
主役の田崎潤が私には現在の菊五郎さんの若い頃だと思い込んでいたから、さぁ!たいへん。
筋書きを配役と上手くからませ、恋敵の役者を音羽屋に見立てる心憎い演出と思っていたが、とんだ勘違いだったようだ。
よい塩梅の勘違いを差し引いても、この映画は面白い。
もう一度見たいなと思わせる良質の作品だった。
『元禄美少年記』
監督:伊藤大輔
脚本:八尋不二
出演:中村賀津雄 片山明彦 淡路恵子 雪代敬子 柳永二郎
1955年
108分
モノクロ
少年赤穂浪士・矢頭右衛門の生涯を綴る感動作。本懐を達成し、泰然と自刃の座につく右衛門の胸中を去来するものは・・・。断ちがたい母への愛着か?若き血を燃やした乙女への純愛か?元禄泰平の夢を破って古今に伝う若き英雄の姿を伊藤大輔監督の名演出で描く名作時代劇。
映画『元禄美少年記』は好きだった。
『元禄美少年記』というからにはさぞや男前出演かと思ったが、美男子と言うよりの好青年だった。
映画の中で三人の好青年とされる人物が出演されていたので前半は誰のこと科と迷ったが、やはり主役の中村賀津雄さんに間違いないようだった。
中村賀津雄さんは映画の中で鼓をうち、能を舞われたが、この部分はたいへん優美だった。
本好きは以前読んだ忠臣蔵だったが、お話によっていろいろ帰られたりづく等ますところが違って面白い。
この映画では勘平も討ち入りに加わっていたようだ。
筋書きなどはどうでも良く、この映画は切ない少年赤穂浪士の行き方を最大券に美化しながらも、後には若干の空虚感が残る。
これは少年の真っすぐな生き方によるものなのか?
細かなことはどうでも良いが、わたしはこの映画を見て涙をぼろぼろとこぼした。
とまらない涙。後には映画見た感動が残っていた。
伊藤大輔監督の作品は素晴らしい!!!