159; 『大絵馬ものがたり 1 稲作の四季』
詳しい目次と 一部の絵馬がみられるページ
須藤功 著 (民俗学社写真家)
著者紹介
須藤 功(すとう いさを)1938年秋田県生まれ 民俗学写真家 宮本常一に師事し、全国の祭りや民俗芸能を撮影し記録する。主な著書 『写真ものがたり 昭和の暮らし』全10巻、『昭和30年代 農山村の暮らし』(共著)、『写真集 山古志村』、『北の大地に らかんさん遊ぶ』 以上農文協。
農山漁村文化協会(農文協)
2009/09
176ページ 5,250円
『大絵馬ものがたり 1 稲作の四季』 解説
絵馬は、神の乗りものとして社寺に奉納していた生馬の代わりに、板で作った馬や板に描いた馬の絵を奉納したことに始まり、やがて馬の絵に限らず、奉納者のさまざまな願い、祈り、感謝の気持ちをさまざまな絵に託して描き奉納するようになった。大絵馬は同じ願いを持つ者が共同で奉納したり、武将や藩主の願いを絵師に描かせたものなど、美術品としても優れたものが多く、地域の歴史民俗資料としても重要である。著者は全国の村々の社寺を訪ねて撮影し、その描かれた背景にある人々の暮らしの技や思いを読み解き、わかりやすくつづる。
『大絵馬ものがたり 1 稲作の四季』
目次
第1章 神仏と田に遊ぶ
第2章 苗を育てて植える
第3章 田に水を送る
第4章 稲作と農具と技術
第5章 新時代の改革
第1巻 稲作の四季(四季農耕図全体)
序 絵馬に託す願い
第1章 神仏と田に遊ぶ
田遊び・伝承資料・粉本・知識を得る・土地の産業(四季農耕図)・牛で耕す・綿作・昼飯持ち・鳥追い・牛が主役・苗半作・早乙女
皆令満足・水口・花田植・働く人々・おんだ・稲苗・赤い腰巻(農耕図)・感染所作・漁村の農業・農の楽しさ・サナブリ・参宮記念・同行記念
第2章 苗を育てて植える
稲苗・鳥追い・田植え・子どもたち・不定形の田・種籾浸し・種蒔き・鳥追い・群雀・案山子あげ・田を囃す・蓑笠で田植え
田下駄・緑肥と大足・老松のある田・墓のある田・小沼観音
第3章 田に水を送る
人力で水を送る・稲作は水が命・水車はまわる・溜池・札打ちの人々・水を送る・山里にあり・天満神社・晴雨を祈る・若者の役割
雨乞踊り・踏車・踏みつづける・褒章記念・重連水車
第4章 稲作と農具と技術
江戸時代の農具・年貢米納入・実りの秋・稲刈り・手本の書誌・唐竿(唐竿1・唐竿2)・農具の地域名・唐臼・人間摺臼・打棚と扱箸
千歯扱・三人組・唐箕・村の図・米俵・供出米
第5章 新時代の改革
夜明け後・地租改正・乾田馬耕・土地の測定・姓名を記す・洋服の田口組・湿田から乾田へ・山形県の馬耕
朱書・伊佐治八郎・確かな指導・功労の碑・天皇巡幸・田を拓く
「農耕図」大絵馬所在地
参考文献
大絵馬ものがたり 全5巻
巻構成
第1巻 稲作の四季
第2巻 諸職の技
第3巻 祈りの心
第4巻 祭日の情景
第5巻 昔話と伝説の人びと
本全集の発刊にあたって
・大絵馬は「大切なこと」を語り続けています。
全国津々浦々の社寺を訪ね、江戸時代から近年までに奉納された大絵馬を撮影し、描かれた人々の「こうありたい」という願いや祈りをわかりやすく読み解きました。
・先人の思いや誇り、知恵に学ぶ
地域再興、地産地消、環境保全、ライフスタイルの変換等が求められている現代に、地域の自然や風土にしっかりと足をつけて暮らしていた先人に学び、次の時代を切り拓く知恵としたい。
memo
早乙女 26
よく引き合いに出される 『女殺油地獄』
蓬菖蒲をさした 女の家
早乙女になる精進
田植え 神仏に奉仕する行為
赤い腰巻 40
腰巻きの下はつけない時代
稲を素早く成長させる
田楽、田遊び 42
具体的形を用いて抽象的に演じる行為の所作は、それが感染してたくさんの稲穂が生まれ、豊作
折口信夫
案山子 71
「嗅がしかがし」 猪、鹿の腐った強烈な匂いで鳥をおう
「案山子あげ」借り入れが住むと感謝、ねぎらい
「案山子さま」「案山子神」 群馬 小正月の家の守り神
絵馬の馬 100
「白毛馬」 晴天
「黒毛馬」 雨乞い
「赤毛馬」 暴風雨 (鎮め)
農耕図 125
『畫本通寳史 えほんつうほし』
→ 青森県、、福岡県の農耕ず『唐棹からさお』 一致 126
青森県、、福岡県 二図共に、同じ粉本から絵馬に描かれた といったことがおこるらしい 125
ふん‐ぽん【粉本】とは 大辞泉より
1 《昔、胡粉(ごふん)を用いて下絵を描き、のち墨を施したところから》東洋画で、下書きのこと。
2 後日の研究や制作の参考とするために模写した絵画。
3 絵・文章などの手本とするもの。
粉本(ふんぽん)
粉本とは、下書きの絵のことであるが、修行や後の研究、参考の為に模写したものも白描(墨で線描したのみ)の下書き風がのものが殆どであるので、これも粉本という。