金々先生造化夢 6 四丁裏 五丁表 山東京伝 作 北尾重政 画
寛政6年 版元 蔦屋重三郎
金々先生造化夢 山東京伝 作 北尾重政 画
山東京伝 1761-1816
北尾重政 1739-1820
[江戸] : [蔦屋重三郎],
寛政6[1794]序
黄表紙
一冊 19cm
読んでいるのは、早稲田大学デジタルライブラリー
ヘ13 02056 0012
四丁裏
きぢやの仙人、ちゃづけのぜんのしたぢ
をこしらへて、ぬしやの仙人にわた
す ぬしやの仙人、かしやの仙
人より、うるしをかいとうて、かの
ぜんをしやんげいにぬる、これやも
まだ、しやんけい、したぢのくちな
しを山からとつてだす仙人も
あつぬしやの
仙人のつ
かふはけ
をこし
らへる、
仙人も
ありその
さき/″\
をくハ
しく
まん
人の
し
くん
か かぞへ
てし
がた
し、
五丁表
は
やく
しごとをしまつて、あつ
がんを一ツ
はいせ
しめ、うるしと
でかけたい、
ほしやの仙人、ちやづけ
めしをくふはしを こ
しらへる、此はしやの
ごとく みぢかき きにて
かくばしのころんだ事
にも はらをたち、ひつ
さきばしのふうふ
げんくわ ぞうにば
しのふとじるし
などゝと、人をハ ぞう
ばしのごとく、おひつかい、
すぎばしのあげおろし
にやりました、
仙人なり、
「道とをりの女仙
人、なかにハ つがもな
くひじろくものあり、
これらもふよりの人
にあらず、かような△
五丁表 下
△
うつくしき
仙人を天から
みくだして通り、
すがいにもこの
やうなほねを
おるは、よく人
のめをよろ
こばせ給う
なり
四丁裏 下
「うるしやの仙人ハちやづけの
ぜんへぬるうるしを
こしらへる、これも山
からうるしをとり
きたり、うるしやの
仙人のてんわたる
までにハ おゝく
の仙人の手に
かゝる事なり、
そのしんく
のべつくし
がたし
四丁裏 下
「オット、めくら
仙人、つゑの
ほう/\
これで けふも
五たび しりを
つゝつかれるうるしやハはく
たくとひらめが、うら
やましい せなかに
めが
ある
から
四丁裏 下
「めくら
仙人ゑて、うるしや
五丁表 下
のしりを ほつつく
もの
なり
しやんげい しやんけい
上芸か?
うるしをかいとうて、かの
ぜんをしやんげいにぬる、これやも
まだ、しやんけい、したぢのくちな
しを山からとつてだす仙人も
漆を買いとうて、彼(か)の膳を しゃんげい(上芸か?)に塗る、此れやも、まだ、しやんけい(上芸か?)、下地の梔子(くちなし)を山から取って出す仙人も
したぢのくちなし
したぢとして梔を塗り、黄色味をおびさせてから上塗りをしたのだろう。
正月のおせちや料理で、梔子(くちなし)の花を使って黄色に着色する。
日本の伝統食の一つで、染色にも使われた。梔子色の帯揚げや着物の裾に少し使うと、華やぎがありそうだが、翫雀時代の中村鴈治郎が全身梔子色の麻呂風着物姿で「ぼっちぃ〜!」と自分の事を指さす(新 歌舞伎『蜷川十二夜』)と、さぞや楽しい舞台になるであろう。 ああ!芝居が見たい!!!
梔子色(くちなしいろ、支子色)
支子色(くちなしいろ)
ひつ
さきばしのふうふ
げんくわ ぞうにば
しのふとじるし
などゝ
ひっ裂き橋の夫婦喧嘩、雑煮の麩とじ汁品等と