『近松門左衛門全集』より第十巻 『日本振袖始』2 近松門左衛門作
市川猿之助第十二回春秋会公演『日本振袖始』を見て、序詞の一部を読む^^
『近松門左衛門全集』より第十巻 『日本振袖始』
『日本振袖始』
『近松門左衛門全集』の原寸大
『近松門左衛門全集』より第十巻では上の大きさくらいで下の方に1〜2頁づつ、載せてあります。
原本はもっと大きい。
文字が小さく非常に読みにくい^^
大きくすると、大変読みやすいです。
P. 387
1ウ
ヲロシ
「代ゝに王(きみ)たる、始なれ、久方の日の神の御影移りし
八咫(やた)の鏡、是を見る事、吾を見るがことくせよと
の神勅(ちよく)にて神あハれみの仁の道、百王の後迄も
内待所とあがめらる、扨又、御先祖伊弉諾の尊より
御相伝の十握(とつか)の宝剣、是勇(ゆう)の形(かたち)、義の理(ことハり)、御伯父(おぢ)
素戔嗚(そさのお ママ)の尊、たけくいさめる御器量とて、此宝剣
を預り、王を後(うしろ)見ましませバ、神璽(し)に不測(ふしぎ)の礼知有、」
ヲロシ
浄瑠璃の合図となる節回し
「ヲロシ」「ハル」「ウ」など、浄瑠璃の合図となる節回し
日の神
太陽神。
天照大神(あまてらすおおみかみ)をさす。 (大辞林)
「 -ながく統を伝へ給ふ/正統記 序」
正統記(神皇正統記 じんのうしょうとうき) (大辞林)
歴史書。六巻。北畠親房著。1339年成立。
1343年改訂して後村上天皇に献じた。
独特の神国論に基づいて、神代から当代に至るまでの天皇の事績、歴史の推移を述べ、南朝の正統性を論じる。
八咫(やた)の鏡 (三種の神器) (世界大百科事典)
天照大神(あまてらすおおみかみ)
…天皇家と諸氏族の支配服従関係は擬制血縁関係をもって表現されていたからである。
伊勢神宮には三種の神器の一つである八咫鏡(やたのかがみ)がまつられている。
この鏡は,ニニギ降臨の際,アマテラスが太陽神にふさわしくみずからの御魂代として授けたものである。…
三種の神器 (大辞林)
① 皇位のしるしとして伝えられている三つの宝物。
八咫やたの鏡
草薙くさなぎの剣(天叢雲あまのむらくもの剣)
八尺瓊やさかにの勾玉まがたま。
みくさのかんだから。
みくさのたからもの。
八咫やたの鏡、草薙くさなぎの剣(天叢雲あまのむらくもの剣)までは有名
② 三種の代表的な必需品。
神勅(しんちょく) (大辞林)
① 神のお告げ。
② 天照大神が皇孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を下界に降す際に、八咫鏡(やたのかがみ)とともに授けたことば。
伊弉諾の尊 (伊邪那岐 伊弉諾 伊耶那岐)(日本国語大辞典)
(古くは「いざなきのみこと」か)
記紀などに見える神。
国生みを行なった男神。
神代七代の最後の神。
「古事記」によれば、天神の命で、伊邪那美命とともに大八洲(おおやしま)の国をはじめ、山川草木や万物を司る神々を生み、最後に天照大神、月読命(つくよみのみこと)、須佐之男命(すさのおのみこと)を生んで、治めさせる国々を定めた。
「日本書紀」本文では天神の命はなく、国生み・神生みは二神の意志による。
伊弉諾の尊 (日本国語大辞典)
(1)イザはイザナフの語根。
ギは男性を示し、イザナミのミは女性を示す
〔古事記伝・野乃舎随筆・日本の神話=松本信広〕。
(2)イサは、功徳を意味するイサヲの語根イサであろう。
キなどのK系のことばは男、ミなどのM系のことばは女を表わす
〔神代史の新研究=白鳥庫吉〕。
(3)梵語のイシャナテン(伊舎那天)、イシャナクウ(伊舎那后)からか〔神皇正統記〕。掬
十握の宝剣
十握 十束 十掬 十拳(とつか)の宝剣
十束剣(とつかのつるぎ)は、日本神話に登場する剣の総称。
十握 十束 十掬など様々に表記される。(ウィキペディア)
十握の宝剣
様々な場面で登場していることや、「10束(束は長さの単位で、拳1つ分の幅)の長さの剣」という意味の名前であることから、一つの剣の固有の名称ではなく、長剣の一般名詞と考えられ、それぞれ別の剣であるとされる。
記紀ではアマテラスとスサノオの誓約の場面などで記述される。
ここでは固有名詞の「十束剣」とだけ記述される(古事記では、スサノオが持っていた十拳剣を物実としてアマテラスが口に含みかみ砕き息から3柱の女神(宗像三女神)を産んでいる)。
素戔嗚(そさのお)
スサノオ
神璽(しんじ)
璽 (ジ) (大辞泉)
1 印章。特に、天子の印章。
2 三種の神器の一。八尺瓊曲玉(やさかにのまがたま)。
「剣、―、内侍所わたし奉らるるほどこそ」〈徒然・二七〉
礼知
仁・義・礼・智・信
儒教において重んじられる五つの徳。
五常。
日本振袖始 近松門左衛門
序詞
天照大神に奉らる、四(う)月、九(なが)月の神御衣(かんみぞ)ハ、
和妙(にぎたへ)の御衣(みぞ)広さ一尺五寸、荒妙(あらたへ)の御衣(みぞ)広さ
一尺六寸、長(たけ)各(おの/\)四丈(ぢやう)、髻(おんもと)糸(ゆし)頸(うな)玉手玉足の
緒(お)のくり返し、神代の遺風(ゐふう)末の世に、恵をおほふ
秋津民(たみ)、ちはや振袖広戈(ぼこ)の国、たいらけく御(しろしめ)す、
天照大臣(てんせうだいじん)の御孫(みまご)、天津彦火瓊ゝ
杵(あまつひこひこほのににぎ)の尊(みこと)と申こそ
「代ゝに王(きみ)たる、始なれ、久方の日の神の御影移りし
八咫(やた)の鏡、是を見る事、吾を見るがことくせよと
の神勅(ちよく)にて神あハれみの仁の道、百王の後迄も
内待所とあがめらる、扨又、御先祖伊弉諾の尊より
御相伝の十握(とつか)の宝剣、是勇(ゆう)の形(かたち)、義の理(ことハり)、御伯父(おぢ)
素戔嗚(そさのお)の尊、たけくいさめる御器量とて、此宝剣
を預り、王を後(うしろ)見ましませバ、神璽(し)に不測(ふしぎ)の礼知有、」