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「我ワろ旅は旅と思オメほど恋にして顔持コメチ痩すらむ我が身悲しも(#20.4343 7/10 右の一首は、玉作部タマツクリベノ廣目)」
「わが旅は旅と思えど恋しくて顔痩せこけてわが身悲しい()」
「忘らむと野ゆき山ゆき我来れど我が父母は忘れせぬかも
(#20.4344 8/10 右の一首は、商長アキヲサノ首麿)」
「忘れんと野ゆき山ゆきわれ来たがわが父母は忘れられない()」
「我妹子と二人我が見し打ち寄エする駿河の嶺ネらは恋クフしくめあるか(#20.4345 9/10 右の一首は、春日部麿)」
「二人して妻と見ました打ち寄せる波と富士山恋しくもあり()」
「父母が頭カシラ掻き撫で幸サキくあれて言ひし言葉そ忘れかねつる(#20.4346 10/10 右の一首は、丈部稲麿)」
「父母が頭を撫でて無事でいよといった言葉が忘れられない()」
「防人の歌はをちこち集まって少し訛りてごつごつとせし(二月の七日、駿河の国の防人部領使、守従五位下布勢フセノ朝臣人主ヒトヌシ、実マコト進タテマツるは九日。歌の数二十首。但し拙劣ツタナき歌十首は、取載アげず)」