2017/03/22
「顔を出す長屋の窓や春の雨(M33)」
「いまならば団地の窓か空を見る子規の俳句と感じ違うが(一瞬の心理とか動きが捉えられていて感心)」
「同じこと表現するにいまならば何持ちだせば感じ出せるか()」
「放送の記念日と今朝聞きしよりバイモ一本柱に掛ける(鳥海明子)」
「バイモとは『貝の母』とは書きたるも釣り鐘草のような花なり(花言葉:才能)」
「別名を編笠百合と言いたると弱々しくも可憐な花を()」
「出世魚サゴシ・ヤナギにサワラといふ秋春彼岸二度味わえり(『彼岸鰆』)」
「鰆とは高級魚にて昔から冠婚葬祭よく使われり()」
貝母(バイモ)
2017/03/22
90
「泉の底に一本の匙夏了る
(飯島晴子
/湧き水の川の底なる一本の匙を見つける夏の終わりに
&なぜ匙が底にあるのか想像の楽しみもありよしとせんかな)」
91
「泉への径後れゆく安けさよ
(石田波郷
/道連れに遅れつき行く泉への道は易けき楽しい道よ
&波郷氏の思いはわかる皆となら見えないことも多くあるらむ)」
92
「一月の川一月の谷の中
(飯田龍太
/一月を強く言われて納得す里山川はすべて一月
&この川は雪か氷も残れるかまだ冬のなか一月なりし)」
93
「一日がたちまち通し山ざくら
(宮坂静生
/一日があっという間に過ぎ行くか『たちまち通し』ここがわからず)」
94
「一の橋二の橋ほたるふぶきけり
(黒田杏子
/一の橋二の橋なるは仙台か吹雪く蛍はわたしも見たい
&ふぶくほど蛍が出るは清流のだいぶ奥なり橋つらなりし)」
95
「一番といはず一号木枯吹く
(右城墓石
/春に吹く風は一番木枯らしは一番でなく一号なりと
&台風などは二十号くらいまである)」
96
「一弁の疵つき開く辛夷かな
(高野素十
/弁なれば花であるらし疵がつく虫食いのまま花開くかな
&世の中はなんでもあるが切ないね疵気にならぬほどがよいかな)」
97
「いちまいの朴の落葉のありしあと
(長谷川素逝
/そのもので無くもわかるか朴の葉は多分形が大振りなりし
&虎の皮熊の皮など寂しけり木の葉はやさし殺意はなけり)」
98
「一枚の餅のごとくに雪残る
(川端茅舎
/鏡餅ように丸るく真白にて残雪あるをわれは知らない
&気をつけて見よう)」
99
「銀杏落葉一枚咬みて酒場の扉
(土生重次
/銀杏の葉咬む発想はわれになくなんで酒場の扉ひらくか
&噛まないで持ち行くだけ詩になると銀杏の落ち葉何を思わす)」