2022/01/31
「数字とは客観的でイメージは鮮明になる上手くつかえよ[7.数字を効果的に][俵万智]」
「Q7-1:空見上げたった二秒の逃避行こころ飛ばして日常へ戻る[数字を使っているが][俵万智]」
「A7-1:空見上げ三秒間の逃避行こころ飛ばして日常へ戻る[十秒、一分でイメージが違ってくる][俵万智]」
「Q7-2:たわむれに君の香水つけてみる一日君に寄りそうように[][俵万智]」
「Q7-2:たわむれに君の香水つけてみる二十四時間寄りそうように[][俵万智]」
2022/01/31
「過去のこと現在形で詠む効果なまなまとした現実になる[鑑賞7.現在形の迫力][]」
「あかあかとほほけて並ぶきつね花死んでしまえばそれっきりだよ[山崎方代][]」
「亡き人にまだ来る手紙見づに捨つ冬の屑籠にほぐれて動く[野尻供][]」
「鬼ごろし好み飲みゐし人なれば鬼ごろし墓にぶっかけてやる[香山ゆき江][]」
「巻き返し巻き返し見るビデオよりのそり横切る逝きにし男[香山ゆき江][]」
「人間をやめたる奴がこれやこの記念写真にチーズしてゐる[香山ゆき江][]」
「つきぬけて虚しき空と思ふとき燃風をえ殻のごとき雪が落ちてくる[安永蕗子][]」
「風を従へ板東太郎に真向へば塩のごとくに降りくる雪か[石川一成][]」
「体温計くわえて窓に額つけ『ゆひら』とさわぐ雪のことかよ[穂村弘][]」
2022/01/31
「比喩により無味乾燥のエレベーター比喩の力で愛しきものに[鑑賞6.比喩の力][俵万智]」
「鑑賞6-1:人あまた乗り合ふ夕べのエレヴェーター升目の中の鬱の字ほどに[香川ヒサ][俵万智]」
「鑑賞6-2:少女ひとり乗せたる夜のエレベーター花咲くがごとく扉を開く[岡田美奈子][俵万智]」
2022/01/29
「連ねたる動詞多いは幼きの作文のよう悪い見本に[4.動詞が四つ以上は再考をせよ][俵万智]」
「一般に動詞は三つまでとして四つ以上は再考をせよ[][俵万智]」
「例外に五つも続く名句ありなかなかこうは上手くは読めず[][俵万智]」
「例歌:大海の磯もとどろに寄する波破れて砕けて割けて散るかも[源実朝][俵万智]」
「躍動す波の表現できるならいくつでもよし歓迎である[意識的に練習をせよ][俵万智]」
「Q4-1:ジーンズに沢山の窓を開けてはき心を閉ざす若者がいる[開ける、はく、閉ざす、いるは要整理][俵万智]」
「A4-1:ジーンズに沢山の窓を開けながら心を閉ざす二十歳の息子
[穴を開けるのと心を閉ざすのは一般的でない。身近なら分かるが。][俵万智]」
「Q4-2:歩けばそこに五分たらずの銭湯のありて『極楽湯』と名を持てり[歩く、足りる、あり、持つは多すぎ][俵万智]」
「A4-2:わが家から徒歩五分なる銭湯は『極楽湯』という名を持てり[][俵万智]」
2022/01/31
「比喩で言ふ効果的だが抑制を効かせて使え統一をして[8.比喩に統一感を][俵万智]
「比喩の数二つもあるは疑問なり捨てられぬなら二つに分けよ[][俵万智]」
「Q8-1:大文字で疑問あらねども白黒の夢ばかり見るなりなり[][俵万智]」
「A8-1:大文字で抱える疑問あらねどもa or bの夢ばかり見る[][俵万智]」
「提示:大文字で抱える疑問でないけれど解決の夢小文字で見たり[][俵万智]」
「Q8-2:欲しいのはメトロノームだ 不確かな無限を紙にしるすとしても[][俵万智]」
「A8-2:欲しいのはメトロノームだ 不確かなリズムを紙にしるすとしても[メトロノームは拠り所][俵万智]」
「Q8-3:板チョコのようなたんぼのど真ん中でんと並んだ墓石ふたつ[板チョコの比喩はよい][俵万智]」
「Q8-3:板チョコのようなたんぼの真ん中にナッツの形の墓石ふたつ[『ど真ん中』できるのはどうか?][俵万智]」