2022/01/31
「動詞でも複合動詞は見ようでは一つに見える上手く使えよ[見上げる、追い抜く][俵万智]」
「重ねたる動詞を使う歌のなか味ある歌もあるといいたり[][俵万智]」
「鑑賞4-1:水面打ち葉をうち土をうつ雨を聴きわくるまでふたり黙しき[横山未来子][俵万智]」
「同じ『うつ』音が異なり聴こえくる複合動詞もよく効いている[][俵万智]」
「鑑賞4-2:二重窓閉ざして見下ろす街角にビル解体は無音に終る[和田明江][俵万智]」
「遮音した効果はすごいと言っておりネガティブ動詞を静かに眺む[閉ざす、見下ろす、終わる][俵万智]」
「鑑賞4-3:桃色の踵をしたる幼子が追い抜くときにわれを見上ぐる[][俵万智]」
「三つある動詞の二つは複合す状況上手く表現したり[][俵万智]」
2022/01/31
「文末を現在形にしたならばいま起こりたる臨場がでる[9.現在形の活用][]」
「作り終え推敲するとき一手間を現在にして比較をしては[][]」
「Q9-1:夕暮れにキャベツ切る手がふと止まり蘇りしは君のくちびる[][]」
「A9-1:夕暮れにキャベツ切る手がふと止まり蘇りくる君のくちびる[][]」
「Q9-2:人が皆自由気ままに見ゆる日の我を縛りし嫁という枷 [][]」
「Q9-2:人が皆自由気ままに見ゆる日の我を縛れる嫁という枷 [][]」
「Q9-3:750ccナナハンの激しい吐息に耳澄まし風に乗った環七通り[][]」
「A9-3-1:750ccナナハンの激しい息に耳澄まし風に乗ってる環七通り[現在形に、吐息は合わない、耳澄ましが弱い][]」
「Q9-3-2:750ccナナハンの激しい息に身をまかせ風に乗ってる環七通り[][]」
2022/01/31
「体言で止める技法は印象をシャープにしたり違いを知れよ[鑑賞4.体言止めの実際][俵万智]」
「実例4-1:毛糸編む乙女の姿やさしくてたとえばゆるるコスモスの花[宮澤きの江][俵万智]」
「改悪例4-1:毛糸編むやさしき乙女の白き指たとえばゆるるコスモスの花[指とコスモスの重点が等分に][俵万智]」
「実例4-2:花の向きさまざまに咲く秋桜をゆるがし渡る夕暮れの風[光栄五百子][俵万智]」
「改悪例4-2:花の向きさまざまに咲く秋桜ゆるがし渡る夕暮れの風[コスモスと風が等分に][俵万智]」
2022/01/31
「副詞とは活用せずに用言を修飾をする詞コトバでありぬ[6.副詞には頼らない][]」
「実例をあげれば時に使えるか副詞もあげれば使いやすそう
[はるばる、しばらく、ゆっくり、いささか、いと、たいそう、あたかも、けっして、もし等々][]」
「甘えれば使いやすくて便利だが危険物だと心得ておけ[][]」
「『ふと』という副詞は割りとお手軽で『ふと』感じるはよくあることも[][]」
「Q6-1:吐く息が白くなったとふと気づくあなたのいない冬はもうそこ[][]」
「A6-1:吐く息が白くなったと気づくときあなたのいない冬はもうそこ[][]」
「Q6-2:結婚の報告を聞き胸にふと花開きだす黄色薔薇(イエローローズ)[][]」
「A6-2:結婚の報告を聞きわが胸に花開きゆく黄色薔薇(イエローローズ)[][]」
「Q6-3:『ぬるま湯に終わりを!』という文字淡く校舎の壁にひっそりとあり[][]」
「A6-3-1:『ぬるま湯に終わりを!』という文字淡くかすれて校舎の壁に残れり[][]」
「A6-3-2:『ぬるま湯に終わりを!』という文字淡く校舎の壁に張り付いており[][]」
「A6-3-3:『ぬるま湯に終わりを!』という文字淡くかすれて壁に張り付いており[校舎がないとぼける][]」
2022/01/31
「近代で数詞多用の歌人とは与謝野晶子でなかなからしい[鑑賞5.数字の重み][]」
「鑑賞:世を去りて三十五日この家にわれと在りしは五十日前まで[与謝野晶子][]」
「十五日入院したのか鉄幹はぶっきらぼうも余韻はありし[][]」
「鑑賞5-1:一つ駅を乗り越せば違った人生もあると思えり午前八時五十分[光栄尭夫][]」
「鑑賞5-2:君よりも十七センチ高い僕の見渡す景色は君と異なる[宇田川寛之][]」
「鑑賞5-3:やがて吾は二十となるか二十とはいたく娘らしきアクセントかな[河野愛子][]」
「鑑賞5-4:曳く影も等身にして野に起てばとどろくまでに近し四十歳[滝沢亘][]」
「鑑賞5-5:十といふところに段のある如き錯覚持ちて九十一となる[土屋文明][]」