がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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AMAMIKIYO-ニライカナイ伝説-

2013年01月28日 | ・肝高の阿麻和利レポ

「琉球幻想絵巻 AMAMIKIYO~ニライカナイ伝説~」

2013年1月27日(日)

国立劇場おきなわ小劇場

 

 

行ってきました(・∀・)ノ
1回目、2回目、両公演見ました☆

TAO Factoryの藏當さんがてがけ、
現代版組踊の卒業生やスタッフ(その名もTeam Next TAO)が作りだした
新作舞台、AMAMIKIYO.

琉球創世神であるアマミキヨをモチーフにした琉球幻想絵巻。

前もって「現代版組踊ではありません」と断り書きがあったので
どう違うのか、どう変わっているのか
まずはそこのところが興味津々でありました。

 

で、

 

なるほど。

これは確かに現代版組踊じゃない。

 

「歌」と「踊り」と「台詞」で構成されている舞台が「組踊」
それを現代的にアレンジしたのが「現代版組踊」

ちなみに現代版組踊はよく沖縄のミュージカルという風に紹介されるけど
厳密に言うとミュージカルとも違う。
役者は歌わない、というのがミュージカルとの最大の相違点。

でも今回の舞台は、
いわゆる役者どうしの台詞で構成される芝居はなかった。

言葉はストーリーテーラーさんの、
「台詞」と言うより「語り」のみ。

よって、舞台は主に歌と演舞による構成。

そして主役のアマミキヨが歌いながら舞う。

なーるーほーどー!
だからアマミキヨが京子さん(by愛~カナサ~)だったのか!

めっちゃ納得!そしてハマり役!
むしろこのためにこの企画ができたの?と思ったほど。

よって、イメージで言うと
演劇公演というよりは、歌とダンスのパフォーマンス公演って感じ?。

ちょっと「TAO」(※和太鼓の方ね)の公演思い出した。

歌と演舞に趣きを置いて、
公演に物語性を持たせて魅せるための演出を加える

そんな感じ

 

で、

それはめっちゃワタシ好み
ということもあり(笑)

 

45分弱の短い公演でしたが、
盛りだくさんの演舞に聴かせる歌、凝った演出、
なかなか見ごたえありました!

展開知ってからの2回目はさすがにあっという間に感じたけど…
もっと長く見ていたかったー。

 

 

≪映像・照明演出≫

冒頭はスクリーンに映像投影しての演出。
シルエットで映し出されたアマミキヨの演舞。

照明トリックで巨大に映し出されたアマミキヨのシルエットは
まさに神の偉大さと神秘さそのもの。

そしてその神秘的な演出が
一気に観客を神話の世界へと誘います。

続いての冒頭の踊りは「太陽の鼓動」をテーマに
アマミキヨの国土作りから。

真っ赤な太陽が昇って行くその映像と
照明を控えた舞台と重低音が鳴り響く音楽、
躍動する演舞がとても原始的でかっこよかった!

輝かしい太陽というのとはちょっと違う、
簡単には近寄れないような燃えるような太陽。
ワタシは「畏怖」だと感じました。

まさに太陽信仰。

 

そして直後のスクリーン幕の切り替えも
あまりの鮮やかさに唸った!
お見事でした

スクリーン幕が下りた時の舞台はかなりシンプルだったんだけど、
いつか予算がもっとついたら舞台美術がもっと派手だとなお良いだろうな(笑)
高低差ももっと出してさ。
本土の一流商業舞台だとそうなるんだろうな、と(笑)

真っ白いスクリーン幕で覆われていたシンプルな舞台との対比で
派手な(本格的な)舞台美術が一瞬で目の前に広がったら
それはそれはすごいインパクトになると思う。

 

≪衣装≫

新作衣装の数々、ステキでしたね。

華やかであり、幻想的であり、かつ琉球である。

でも「THE琉球」じゃなくて「琉球エッセンス」
ってくらいに押さえてきたのはツボでした。

特に創作舞踊の方々。

ウチナーカンプーでもカタカシラでもなく、
ドゥジン・カカンでもなく、
平安衣装チックなアレンジ。
それにプラスしての琉球エッセンス。

神話世界の話だもん

ビジュアルが「近世琉球」じゃ、やはり現世。

神話世界が1番「ファンタジー」に創作できる時代だろうしね。

アマミキヨも和洋折衷だったし
シネリキヨの筒描き紅型(風)の入った着物もかっこよかったです
(尚巴志や本部やアカインコも同じ類いのものだと思うけど、あれオーダーメイドしてるのかな。もしや本染め?)

装飾やフェイスペイントも凝ってましたね。

ただ、アンケートにもちょっと書いたけど、
ラスト演舞の女サンの衣装だけ、ありゃちょっとイタダケナイ;
衣装バリエーションを増やして華やかさを出すこと、
衣装替えに時間がないことなど色々と事情は察せますが
ちょいと色味がキツすぎた。
(せめて足が黒ならまだ良かったんだろうけど…)
間奏で女サンがハケてからの他キャストでの演舞、
あの雰囲気、統一感(色味、トーン)を大事にするべきだと思いました。
太陽の鼓動の時の衣装でもいいと思うけどなー☆
女サンの演舞や笑顔はもちろんステキでしたよ!ブラボー♪

 

≪アマミキヨ≫

おお、ワタシが事前に紹介してたアマミキヨ関連記事、
結構タイムリーだったのでは?
(「アマミキヨのこと」「琉球開闢第一の地、安須森御嶽」←琉球七嶽)

国(国土)造り、
御嶽造り、
人造り、
人々の繁盛、

今回はココまで。
(五穀発祥についてはなかったです)

ちゃんとこの順番で展開されてて
なるほどなるほど、でした。
(先述したように役者の台詞のやり取りで進む物語じゃないから
「理解する」というよりは「感じる」というスタンス)

神々の登場もありましたが、
「中山世譜」にあるようにキンマモンとかオボツカグラとかじゃなくて
御嶽造りにリンクさせて「7つの神」の紹介に。

琉球七嶽それぞれの7つの聖地に関連付けた
一の神、二の神…というもの。

このシーンとても印象的でした
7つの神が最後に寄り添って1つになる所とか

琉球七嶽、パンフレットにも名前と場所だけ紹介されてたけど、
それぞれの意味を知っているとあのシーンをより深く楽しめると思います

 

≪シネリキヨ≫

シネリキヨ、シルミチュー、シネリク皆同一です。

対語みたいなもので

アマミキヨ⇔シネリキヨ

アマミチュー⇔シルミチュー

アマミク(阿摩美久)⇔シネリク(志仁礼久)

です。

で、今回はシネリキヨ。

一男一女の神として既に2人在り。
2人が人の誕生を願い祈り、人が誕生し、繁盛していくというものでした。

2人が寄り添い祈る姿が
いわばロマンス(笑)だったのですが。

個人的にはカーテンコールで2人が礼をして
舞台中央の壇上に登って行く時
シネリキヨがアマミキヨの背中に手をまわして促して
階段もアマミキヨに先を譲るジェントルマンなしぐさが胸きゅんでした(笑)

(2人が手をつないだりアマミキヨから手を差し伸べたりおもねることがなかったのも良かった。

琉球の神世界では女の方が男よりも優位なのだ。
常にアマミキヨが半歩前でシネリキヨがやや控えめにして対等じゃなかったのがグッ★)

さすがはY君…。

今回は柔らか琉舞は封印でしたが
ジェントルマンなのは変わらず、ですね。

そんでもって、シネリキヨと男性アンサンブルの演舞!!!

あれは文句なしにかっこいい!!

筋肉隆々!扇子の舞!太鼓!(エアーまで!?)
転がったり 飛んだりアクロバティックな振りも入ってて男らしさMAX!

鋭い目つきもオールバックな髪型もワイルドでクール!

やっぱり男性の男性アンサンブルはいいな

しかも高校生の時とは違って逞しくて大人な雰囲気!
男の子から男性への成長を感じた1シーンでもありました(笑)

 

≪テーマ曲≫

ニライカナイの曲、よかったです!

カナサの作る舞台楽曲、いいなぁ!
ドラマ性が感じられるメロディーラインが秀逸
早くCD出して~~~(^ε^)

「愛~カナサ~」の時とはまた一味違うのです。

京子さんの唄声も神秘さUPでまさに「琉球の女神」でした。
スタミナもスゴイ。

全体的にどの楽曲も神秘的で幻想的でかっこよくて大人な雰囲気でしたが
ラストの演舞は現代版組踊っぽい雰囲気でしたね。

あの曲、何かの舞台で使ったやつだよな…聴き覚えある…。
「花織の宴」?「百十踏揚」?と思って……

…今思い出した。
たぶんウチナー文化未来塾だよね?
(まだyou tubeでしか見てないのだ)

 

いや~、良かったッス、琉球幻想絵巻。

しっかり味あわせていただきました!

満足気分で会場を出たら正面に煌々と満月だし
なんかさらに余韻に浸れました

まだまだ荒削り、とおっしゃっていましたが
これからさらに洗練されて昇華していくのが楽しみです

 

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この舞台は現代版組踊ではないですが、
がtっつり関係者の舞台ということで、こっちのカテゴリに分けておきます。

コメント返し遅れてます;ごめんなさい(>_<)

コメント (4)
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