「物呉ゆすど 吾が御主!」
(金丸こそが王にふさわしい)
と大演説をうって
クーデターの引き金を引いたのが
ご存知、安里大親清信(あさとうふやせいしん)。
護佐丸の兄ちゃんらしいというのは
既に紹介済み。
(→★ ★ ★)
その安里大親ですが、
彼は不思議な力、つまり霊力を持っていて
まだ役人だった金丸に王の印を見ていた…
というのは有名ですが、
若い頃もなかなかの
ぶっとびエピソードが残っているので
今日はそちらを(やっと)ご紹介。
23歳の頃、清信は明国に渡ります。
その理由は
『中国皇帝の病を霊力で治すため』
なんでも長く病気でふせっていた皇帝が
"琉球の霊力者を招いて治療させよ"
という神からのお告げをいただき、
白羽の矢がたったのが清信だったのです。
明国に向かう船の上で、
彼は流星を見て突然泣き崩れます。
「妻の星が落ちた」
つまり、琉球に残していた妻が死んだ、と。
しかし引き返すこともできず、
明国についてから、妻の訃報が届いたのであります。
*
さて、皇帝の元を訪れた清信は
皇帝の脈をとり、胸部、腹部、背部と診察をし、
目を閉じて心の中で何かを念じると、
目を開けてこう告げました。
「陛下のご病気は何も重い病気ではありません」
もちろん、周りの者たちは信じられません。
清信は続けます。
「まず、皇帝が毎日使っている枕の中を調べてください」
側近が皇帝の黄金の枕を割り砕いてみると、
数万匹の白ひげを生やしたゴキブリが
うようよと動き回っていた。
(ぎゃー!!Σ(゜д゜;))
「次に、陛下が座っている所にある大黒柱を
取り外し、割り砕いて燃やして下さい」
その通りにすると、
今度は数万匹の白ひげを生やした白アリが出てきた。
「次に、陛下が毎朝使っている手洗い鉢の台石を
打ち砕いて下さい」
台石の空洞部分から出てきたのは
白ひげを生やした数十匹のムカデであった。
「これらのものが、陛下の精(しい)を喰っていたのです」
これらの動物がみんな死ぬと同時に
皇帝の病気はけろりと治った。
ってゆーか、
霊力云々じゃなくて衛生指導じゃん?
…というツッコミはお約束ね。
病が治った皇帝は恩に報いるため、
妻を亡くして落ち込んでいた清信に
自分の姪との結婚を勧めた。
清信はこれを受け、娶りますが
ああ、何と言う因果か、
琉球に帰る船の中で、
彼女もまた死ぬのでありました。
参/「 安里大親清信伝(※護佐丸一統繁栄記 内 25-)」
伊波盛誠著/1988/月間沖縄社
ちなみに、ワタシの上司は
安里大親の子孫らしいです。
(子孫の名乗り頭は「清」)
イラストの安里大親、
琉球戦国列伝で描いたのとちょっと髭をアレンジ。
近世琉球でナウかった
「五髭」にしてみた(笑)
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