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真夜中の独り歩き 前編

2016-07-13 00:24:25 | 日々を歩む
帰れない覚悟はできていた。

仕事の依頼を受け終了予定時刻は、
帰宅するための最終電車の時間を軽く超えていた。
駅近くに24時間あいているファミレスでもあるだろうと軽く考えていた。

ものの数時間さ。

帰りの電車のルートは1度乗り換えがある。
乗り換え場所までは2駅分だ。
それぐらいなら歩けるだろう。
始発までの時間はたっぷりあるわけだしな。

それが、そもそもの過ちのはじまりだった・・・

仕事の大きな荷物を背中に背負い、
前にも斜めにかけて歩き始めた。

知り合いの名前のお店を見つけ、
友人のあだ名の居酒屋を見つけ、
知り合いの名前の住所を見つけ、
街灯の下で寝転ぶ猫を見つけ、
スマホで写真を撮りながら、楽しく進んでいった。

しかし、歩けど駅は見えてこない。
前にも後ろにも荷物を抱えていることもあり、
汗だくになっていった。
闇夜に光るコンビニに吸い寄せられる。
まるで、昆虫のように・・・
甘い甘いアイスに引き寄せられる。
そう、まるで、昆虫のように・・・

棒付きアイスをチョイス。
これなら歩きながらでも食べられる。
夜だがなかなかの暑さだ。
アイスが溶けるスピードも早い。
全部食べ終え、ふとシャツを見ると、
べっとりチョコアイスがついていた。
悲惨な状況である。
泣くになけない。

「汗が目に入っただけさ」
1人さびしく呟いてみる。

電車でなら2駅分で6分ぐらいだったはずだ・・・
歩けども、歩けども、駅は見えてこない。

結局、一駅目に着いたときには、
歩きはじめて1時間以上が経過していた。


しかしだ、
もう1駅分歩かなければいけない・・・


こうなれば、もう意地である。
ここで諦めては、今までの1時間が徒労に終わってしまう。

幸いにも、次の1駅分は距離が短めだ。
(短めなはずだ・・・)
仕事の時以上に、神経をすり減らしているような気がしてきたが、
そんな悲しき事実には目を背け、足を前に踏み出した。

途中、自分が何のために歩いているのかわからなくなっていた。

だが、しかし、自分で決めたことだ。
やり抜くのみだろ。
理由なんてのは、あるようで、ないことだってたくさんあるんだ。