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屋根のない夜明けもわるくない 後編

2016-07-14 07:00:11 | 日々を歩む
そして、ついに目的の駅までたどり着いた。
トータル2時間弱、仕事以上にやりきった感がある。
あとは、身体を休める座れるお店を探すだけだ。

駅の北口側にたどり着いていた。
疲労で重たくなった足を引きずりながら、
ファミレスを探し回る。
どこも店内は暗くシャッターが降りている。

灯りのついているお店は…
居酒屋、カラオケ屋さん、
そしてコンビニ。
ファミレスもマックもない。

じゃあ、反対口か・・・

深夜で駅が閉まっているので、
反対口に出るためには、グルッと迂回しなければならない。
駅の入り口の閉まったシャッターを前に、少し気が重くなる。

南口へ回ってみたが、
北口以上にお店がない・・・
灯りがついているのは、牛丼屋一軒のみ。

ここ、乗り換えもある駅だよね。
深夜に開いてるお店があってもよくないか・・・

道路の縁石に腰をおろす。
頭のてっぺんから足の先まで疲れが噴き出してきた。

このまま、燃え尽きた男のように朝まで待つのもわるくないな、
などど、自暴自棄に近い状態になる。

北口前には広場があったな・・・

ぼんやりと考えながら、野宿を決意する。
決意などどいう力強さはすでになく、
なし崩しのようなものだ。

北口から南口を渡る途中には交番を横切っていく。
大荷物を抱えながら、うなだれた男。
不審者にみえるんだろな、
と、シニカルな笑みを浮かべながら交番を横切った。

広場には池がある。
池のへりに腰を下ろす。
時間を確認してみると、始発電車がでるまで1時間と少し。
いつの間にか空も少し明るくなってきている。

池のへりに疲れ切った体を横たえる。
空を見上げる。
刻一刻と明るくなる空が、
一日のはじまりを少しずつ運んできている。
光の加減で、少しずつ空が色を変えていく。

「モネは、この変化をキャンパスに描きとっていたんだな」

突然、そんなことが頭に浮かぶ。

「連作」と言われている。
同じモチーフを時間ごとに別のキャンパスに描いたモネ。
筆も絵の具も無い、気持ちだけは絵描き気分になった一瞬だった。


あと1時間、人生初の野宿もわるくない。

そして、
見上げれば東京の空。