小松左京氏は敬愛する作家の一人だ。
だが、冷静に考えると、
今後、氏の新作を読むことはかなり難しい。
旧作を読み返すしかない。
だから、再編集された本が出ると、
所収された作品は読んでいるにもかかわらず、
ついつい買ってしまう。
集英社文庫から『明烏』という新刊が出た。
落語をモチーフにした短編を集めたものだ。
この中に入っている『天神山縁糸苧環』は、
SFではないが、
小松作品の傑作のひとつであり、
僕も好きな作品を5つ挙げろと言われれば、
必ず入れる。
『天神山』が入った短編集は、
このところ入手困難だった。
しかし、こうして再発され、
手軽に手に入るようになった。
興味を感じた方がいれば、
「ぜひ読んでみてください」
そう勧めたい気分だ。