物語の中心にあるのは、
スピーチライターという職業である。
スピーチライター。
アメリカなどではスピーチが重要なので、
政治家の背後には専属のスピーチライターがいるという。
たしか劇作家のN・サイモンも大統領のスピーチライターをやっていたのではないか。
(そういえば鳩山総理の時代に平田オリザ氏が参与かなにかでいたが、
彼も鳩山総理のスピーチを手伝っていたのだろうか)
日本にはスピーチライターを専門にやっているという人はいないらしい。
そういう意味では、現実に立脚した「ファンタジー」である。
ただし前半は、スピーチの指南書としても役に立つ。
しかも楽しい指南書だ。
スピーチが苦手な僕としてはとても勉強になった。
後半にやや違和感を覚えるが、
巻末を見て理由がわかった。
連載時と現在では世の中の情勢が変わっている。
そのせいだろう。
(ネタばれを防ぐために詳細は伏せますが)
ぜひとも今度は同じ主人公で、
連作長編を書いてほしい。
読み終えてそう思った。