山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

山里で見かける柿がほぼ渋柿であることについて

2021-11-20 | 山里

甘柿というのは意外なことに田舎よりも都市近郊のお庭によくある。うちの実家がまさにそうだし、私の丘の家の方もそうだ。田んぼも畑もない農家ではない家庭が、庭に植えて秋の味覚を楽しむ。

意外に知られてないのだけど、生まれつき甘柿というのはないということで、すべて渋柿に甘柿を接ぎ木しているのである。よって、野山に勝手に生えている柿は全部渋柿である。

柿は結構よく野生で生えている。その種をばらまいているのは誰かというと、カラスとタヌキとおそらくサルとときどきツキノワグマである。ハクビシンなんかも柿を食べそうな気がする。アライグマやアナグマのことはよく知らない。そういうのが柿をどこかへ持って行って食べたり、その場で種ごと食べて、違うところで糞をして種子散布に協力しているのである。

そういえば3日ほど前の記事で、うちの柿が意外にカラスに行儀よく食べられているということを書いたのだが → 柿採りにいそしむ - 山里ひぐらしの小径 

じつは実を丸ごときれいにかっさらわれていて、カラスに取られていることに気づいていなかったという疑惑がある。愛知県の知人が、近所でカラスが柿の枝から実をさっともぎとってくわえてはどこかへ運んでいるのを目撃したというのである。

で、冒頭の話であるが、山里、それも標高500mとか600mを超えるようなちょっと奥まった山里に植えてある大きな柿は、渋柿である。というのは、甘柿より渋柿の方が標高の高いところまでいけるからである。1000mを超えるぐらいになると渋柿も無理になってくると思うが。それは、甘柿を高いところで植えても甘くならないということなのか、甘柿の木自体が育つことができないのか、よく分からないのだけど、そういう高いところでは平べったい次郎柿的なものを見ることはなく、縦に長い蜂屋柿とか富士柿というようなものばかりである。

そして、甘柿も干せば干し柿になるだろうが、あまりうまくできないらしい。ということは、渋柿の方が保存が効くし、長い間おいしく食べられるということになる。

山里の人たちは、秋に採れたものを保存することに余念がない。かつてはそれができなければ生き延びられなかったからそういう習慣が身についている。収穫物を保存してはそれで一年食いつなぐというのが山村民の暮らしであり、保存すること自体が農作業の一環である。よって、秋になると渋柿を収穫して、夜な夜な皮をむいて干すということが一年のサイクルの中に組み込まれている。米を収穫して干して脱穀したり、豆を収穫して干して殻を取ったり、白菜を収穫して干して塩で漬けたりというような仕事の一つとして、干し柿づくりがあるのである。

そして、冬に山里の家にお邪魔すると、たいていはこたつのおともとして干し柿を出してくれる。そのおいしいことといったら。冬も進んでくると硬くなるけど、冬の初めのころのものはまだ軟らかくて中がジューシーで、思わずおかわりなどしてしまうのである。

けど、柿は食べすぎると冷えるので調子に乗っていくつも食べるのはやめましょう……。

 

★山麓散歩動画(3分弱)↓

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山麓夕散歩 柿、栗、キウイ、ブドウ……果樹園の夕暮れに白い月昇る 紅葉の下のブランコで子どもが遊ぶ山里

#mountainside #satoyama #sunset 秋の終わりを惜しむようにノコンギクが咲いています Persimmons a...

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山麓の家で古いはざを見つけたこと

2021-11-19 | 山里

はざの形は何種類かあるのだけど、この地方でいまだ見た記憶のない、縦に数段並ぶタイプのはざを、うちの上の方の家で見つけた。

細かいことだけど、縦に立てた支柱の部分に開ける穴は私が知る限り四角いことが多いけど、ここでは楕円。そして、横に渡している木がかなり太い。

支柱を見るとかなり古いもののようだ。

この家は篤農家であるのか、家の周りの農地をきれいに耕作している。どこからどこまでがこの家の農地なのかは知らないのだけど、家の前の広い菜園を、おばあちゃんと言われる年代の方が、毎日必ず、休むことなく手入れしていて、雑草など全然生えていない。

畑と家の横にある芝地も常にきれいに刈り込まれ、薪はきれいに積まれ、目を楽しませてくれる。

日々の散歩で時間のあるときにはこの家の方まで足を延ばすのだけど、夏の終わりにナスをくださったので、今日はうちの柿を10個ほどお持ちしたのである。この辺りは標高が高いので、甘柿の木はないからだ。だからみんな渋柿で干し柿を作っている。渋柿は甘柿よりも少し高いところでも育つ。

 

話をはざに戻す。うちの方の地域でははざはたいてい1段の、田んぼの中に、稲刈りの時だけ立てるもので、こういう数段になるものはこれまで見ることがなかったのだけど、もしかすると残っていないだけで、以前はこのタイプがあったのかもしれない。

このタイプは、田んぼより雑穀を多く採る地域や、田んぼの狭いところ、木曽地方では木曽福島や開田高原でよく見る。はざにも地域性がある。田んぼの真ん中に立てる1段のものと決定的に違うのは、このタイプが常設であることである。常設しておけば、米以外にもいろいろなものが架けられる。ソバなどの雑穀、大豆などの豆、大根の葉や芋の茎やつる、薬草、布団……などなど。

ところが愛知県の奥三河の知人が、このタイプを庭の隅に秋だけ立ててまた片付けていたと言ったので驚いた。一体どういうことなのだろう……。

 

山麓朝散歩(動画)↓

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高原の紅葉、ホオノキの白い枯葉、小川、流れる雲、山里の秋

#countryside #satoyama #stream 撮影 Japan 中部地方太平洋側山地帯 11月中旬 20211119 Th...

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紅葉 上では散り、中ほどでは色づき、足元に野菊

2021-11-18 | 植物

毎日天気がいいので山がくっきり見える。

正面の山には、青々した杉かヒノキの林、その合間で雑木林が色づいている。

黄色や茶色っぽいのはアベマキやコナラ(いわゆるどんぐりの木)にイヌシデやウリハダカエデ、ダンコウバイなんかが混じるのか、などと想像するのも楽しい。ところどころ赤いのも見られる。

 

足元では野菊が終わりかけている。

8月の終わりごろからいろいろな野菊が次々と咲き、最後のノコンギクがあぜみちを彩る。

ここ1、2カ月の野の道の野菊は本当に見事で、何度も草刈りされるのだけど、また伸びたものや、刈られずに残ったものが、豊かな花を咲かせてくれて、自然の花たちがこんなに私たちの目を楽しませてくれることを喜ばずにはいられないし、都会の人はおそらくこんなものも目にすることがないのだろうと思うと、もったいなく思う。もっと多くの人にこの野の花たちのきれいさを知ってもらいたい。

この写真のノコンギクは、この周りにもいくつかの株があったのだけど、これだけ少し雰囲気が違っていた。

よくあるノコンギクはもっと花びらが細いし長い。この花はなんだか少し丸っこい感じがする。

もちろん個体差というのはあるのだけど、結構雑種ができるようで、ヨメナとの雑種もあるらしい。

ヨメナとノコンギクは以前は別の属だった。冠毛、いわゆる綿毛が違っていて、ヨメナは花後に綿毛があるように見えないのだけど、ノコンギクは綿毛がある。別の属だったのに雑種ができるのである。で、(だからってわけじゃないと思うけど)今は同じ属(Aster)になっている。

言いたいことは、この写真のノコンギクは、ノコンギクなんだけどヨメナのテイストがあるということである。

雑種かどうかなんて分からないし、これは何だという断言など決してできない。分からないことだらけだ。

撮影 2021年11月中旬 岐阜県中津川市

 

 

紅葉2分動画

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山麓朝散歩 紅葉半ばのおだやかな秋の日 コマユミ、ウリカエデ、クリ、などなど

#acer #satoyama #hillside #autumn 撮影 Japan 中部地方太平洋側山地帯 11月中旬 20211116 ...

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柿採りにいそしむ

2021-11-17 | 植物利用

霜が下り始めたものの、毎日毎日、昼間はよく晴れて風もなく穏やかで、この上ない平和を感じるし、夜は夜で、月が煌々と照り、星もものすごくよく見える。

こんないい日が続くことも珍しい。このような暖かい日には、どこかに歩きに行かなければもったいないのだけど、なり過ぎた柿を放置もできないので、柿採りをする。

2週間前にすでに採り始めてはいた。近所の人が、カラスにとられるからもう採った方がいいぞと言われたのだけど、実際採ってみると甘みが足りなくて、まだ早いようだった。いつ採るべきかとやきもきしていたのだけど、それから2週間経ち、今日でもまた若干早いぐらいである。けど、採ってからも熟してくるのだから、とにかく色の濃いのを採ることにした。

採ってみると、2週間前よりもかなり大きくなっていた。3割ぐらい大きい気がする。そしていまだかつてないほどの豊作で、今日だけでバケツ3杯、まだ採ってないのがおそらくさらにバケツ3杯ほどありそう。近所の人は今日はまた「そんなにあわてなくても大丈夫」などと言ってくれる。

今日採らなかった分は2、3日後に採ることにする。まだちょっと未熟な感じがする。枝にぎっしりついているので、枝がしなって垂れ下がっていて、道行く人が自由に採っていっちゃいそうな感じだ。

カラスは意外に行儀が良く、完熟したのを1個ずつついばんでいるようで、あれこれちょこちょこかじったりはしていないので助かった。それでも、なにものかが突っついたような傷のあるものがたくさんあった。

実家の柿もたくさんなっているのである。見てはいないけど分かる。そして、今日実家の草取りをしてくれているシルバーの人に、どうぞ持って帰ってくださいと伝えたところ、大喜びされて採っていかれたようである。

うちの柿と実家の柿と、生り年が同じなので困る。ずれてくれるとありがたいのだけど、柿はあるときには大量にあるのである。

どちらの柿もすごく甘くて、みんなにあげると大好評である。明日は少しずつ近所の人に配る予定。それもまた結構な手間なのだけど。

 


秋の好日、観光地は人であふれ

2021-11-14 | めぐる季節と自然

郵便を出しに馬籠(まごめ)に行ったところ、すごい人でした。

馬籠は木曽路、中山道の宿場町。大正か昭和の初めかに国鉄中央線が引かれると、沿線から外れてすっかりさびれたらしいのですが、昭和50年代頃のディスカバージャパンブームで観光地として発掘され、今やちょっとした街になっており、まあそれが元々宿場町のあり方だったと思うので、それもいいのじゃないかと思っているところです。

2年前までは外国人であふれていましたが、今日はほぼ日本人。それでもちらほら金髪の人や異国風の顔の人がありました。日本に住んでいる外人または元外人なんでしょうか。

初めて馬籠に行ったのは昭和60年代だったと思いますが、その頃はひなびた田舎の雰囲気で、静かで、ゆったりして、いい雰囲気でした。やっぱりあの頃はよかったなあと思わざるを得ない。古き良き田舎はなくなるのでしょうか。

名物の五平餅。この店はずっと前から変わらずほんとに頑張ってます。

宿場の通りの店の中には、この地方の名物ではないものを売っている店もあり。おやきとかですね……。

まあ、食文化も地続きのところには徐々に伝播していくものなので、よしとしましょう。あながち大外れでもない。

この町は西向きなので、西日が当たります。夕日がよく見えます。

斜光線がきれいです。

紅葉もまあまあでした。

一番上の写真は、馬籠から見た恵那山。冠雪しています。

 

 

▼黒猫がおとなしくみんなに撮られていました。人気者なのを知っていてサービスしているよう(動画)。

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秋の日だまり 黒猫モデル撮影会撮り放題無料サービスデー*木曽路馬籠(まごめ)

馬籠は中山道の宿場町。名古屋から車で1時間半ぐらい、JR中央線中津川駅からバスで30分ぐらいとあって、休日に気軽に行ける観光地として年々人気...

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宿

馬籠 但馬屋旅館(別サイト)

妻籠 ホステル結庵(別サイト)