コニシキソウという草を知っている人は少ないと思うんです。
正確には、コニシキソウはとてもよく生えているのですが、その草に目をとめたり名前が言えたりする人が少ないと思います。
コニシキソウはコンクリートのすきまからよく生えています。人が歩いて土の固くなったようなところにもあります。庭にも道端にもあります。草全体が這っていてあまり立ち上がりません。折ると白い液が出る、トウダイグサ科の植物です。
街の植物観察の受講生の方のほとんどは、最初は全く植物の名前を知りませんでした。そして、多くの場合、草の名前など一度聞いてもすぐに忘れてしまいます。ところが、私が教えた次の月に、すべての受講生が自分からこの草を見つけて名前をうれしそうに叫んだのには驚きました。「私の教え方がいいからだわ」と思いましたね。それが正しいかどうかは分かりませんが(きっと違います)、皆さんはお相撲の小錦を連想してすぐに覚えたそうです。その草が小錦に似ているわけでは決してありません。
そういえば昔、西サモアの一番西の世界で一番最後に一日が終わる村、ツツィラというところに行ったとき、みんなから「コニシキを知っているか」と聞かれました。ツツィラは小錦の生まれた村なのです。おかげで退屈しませんでした。小錦はサモアと日本の架け橋です!
コニシキソウは外国からやってきて、まだ日本の草が生えている暇のないコンクリートの隙間に新天地を得て、したたかに生えています。すきま産業みたいなひとです。だから栄にたくさんあります。
人間も、昔は外国人は田舎にはいなくて都会にたくさんいたものですが、最近は中津川のような田舎でもしょっちゅう見かけるようになりました。