上の写真は10日ほど前(7月中旬)のみょうが餅で、蒸し時間7分程度。
緑色が鮮やかです。が、この後、餅が硬くなります。そうとも知らず、喜んで写真を撮っています。
今日は残っていた小豆あんで、ちょっとだけみょうが餅を作りました。一昨日、みょうがの葉を茎のところから切って瓶に挿してあったのだけど、あっという間に葉が丸まって茶色っぽくなりました。どうやら時期によってみょうがの葉の状態がずいぶん違うようなのです。生えている状態でも、葉にあちこち染みが付いたりしています。生えている状態で葉が劣化してきたのはほんの数日前からです。もしかすると、梅雨が明けて日が当たり始めたからなのでしょうか。
植物は本当に季節の変化をはっきり表します。蒸すとよれよれになるのも、若い葉ならそれほどではないのかもしれません。香りも6月の方がずっといいのです。今日はところどころ茶色がかった葉で強引に作ったけれど、変な匂いがします(!)。ちょっとほこりっぽいうような、乾いた笹の葉のような匂いです。
サルトリイバラの葉もところどころ斑点が出たりしていて、使う気になれません。
やはりかしわ餅系のものは、端午の節句の時期が最高なのだと分かりました。何事もやってみないと分からないということです。
ところで、この春から、「葉で包むもの」について仲間でネタ集めなどしていて、分かったのは、さんきらい餅(サルトリイバラで包む)も、朴葉餅も、その他の葉で包む餅も、各地で「かしわ餅」と呼ばれていることです。このことは、農文協の日本の食生活全集のあちこちの県のを見ても分かります。
かしわ餅といえばカシワの葉で包む柏餅。カシワがないからホオやサルトリイバラを代用品として、それもカシワ餅と便宜的に呼んでしまっている、と認識しがちですが、ちょっと違うのではないか。
つまり。
かしわとは、「かしぐ葉」が語源(何かで読んだ)。「かしぐ」とは穀物を炊くという意味。名古屋周辺ではお米を洗うことを「米をかす」と言う。「かし」とか「かs」という音が米などの穀物を調理することにかかわるのだろう。で、ご飯を盛るときに敷くのが「かしわ」。宮崎県椎葉村で「かしわ」と呼ぶのはアカメガシワであり、今もその葉にご飯を盛って仏前に供えるという。アカメガシワは全国一般的にいうカシワとは科も違い見た目も全く違うが、葉はそれなりに大きい。
で、餅を包む葉は、ホオだろうとサルトリイバラだろうと、きっと本来の「かしわ」なのだろう。ご飯を盛ったり、餅を包んだりする葉は全部「かしわ」であり、その中でブナ科のカシワだけが、植物分類学の世界で標準和名カシワの座を勝ち取ったと見るのがいいと思う。
だから、朴葉餅やさんきらい餅はかしわ餅ではないなどと言ってはいけないのである(誰も言ってないか?)。
ちなみに、朴葉餅は奥三河では柏餅と呼ばれていたということだが、美濃東部では朴葉餅、木曽では朴葉巻と呼ばれている。