山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

7月末のみょうが餅と、「かしわ」餅考

2019-07-29 | 植物利用

上の写真は10日ほど前(7月中旬)のみょうが餅で、蒸し時間7分程度。

緑色が鮮やかです。が、この後、餅が硬くなります。そうとも知らず、喜んで写真を撮っています。

 

今日は残っていた小豆あんで、ちょっとだけみょうが餅を作りました。一昨日、みょうがの葉を茎のところから切って瓶に挿してあったのだけど、あっという間に葉が丸まって茶色っぽくなりました。どうやら時期によってみょうがの葉の状態がずいぶん違うようなのです。生えている状態でも、葉にあちこち染みが付いたりしています。生えている状態で葉が劣化してきたのはほんの数日前からです。もしかすると、梅雨が明けて日が当たり始めたからなのでしょうか。

植物は本当に季節の変化をはっきり表します。蒸すとよれよれになるのも、若い葉ならそれほどではないのかもしれません。香りも6月の方がずっといいのです。今日はところどころ茶色がかった葉で強引に作ったけれど、変な匂いがします(!)。ちょっとほこりっぽいうような、乾いた笹の葉のような匂いです。

サルトリイバラの葉もところどころ斑点が出たりしていて、使う気になれません。

やはりかしわ餅系のものは、端午の節句の時期が最高なのだと分かりました。何事もやってみないと分からないということです。

 

ところで、この春から、「葉で包むもの」について仲間でネタ集めなどしていて、分かったのは、さんきらい餅(サルトリイバラで包む)も、朴葉餅も、その他の葉で包む餅も、各地で「かしわ餅」と呼ばれていることです。このことは、農文協の日本の食生活全集のあちこちの県のを見ても分かります。

かしわ餅といえばカシワの葉で包む柏餅。カシワがないからホオやサルトリイバラを代用品として、それもカシワ餅と便宜的に呼んでしまっている、と認識しがちですが、ちょっと違うのではないか。

つまり。

かしわとは、「かしぐ葉」が語源(何かで読んだ)。「かしぐ」とは穀物を炊くという意味。名古屋周辺ではお米を洗うことを「米をかす」と言う。「かし」とか「かs」という音が米などの穀物を調理することにかかわるのだろう。で、ご飯を盛るときに敷くのが「かしわ」。宮崎県椎葉村で「かしわ」と呼ぶのはアカメガシワであり、今もその葉にご飯を盛って仏前に供えるという。アカメガシワは全国一般的にいうカシワとは科も違い見た目も全く違うが、葉はそれなりに大きい。

で、餅を包む葉は、ホオだろうとサルトリイバラだろうと、きっと本来の「かしわ」なのだろう。ご飯を盛ったり、餅を包んだりする葉は全部「かしわ」であり、その中でブナ科のカシワだけが、植物分類学の世界で標準和名カシワの座を勝ち取ったと見るのがいいと思う。

だから、朴葉餅やさんきらい餅はかしわ餅ではないなどと言ってはいけないのである(誰も言ってないか?)。

ちなみに、朴葉餅は奥三河では柏餅と呼ばれていたということだが、美濃東部では朴葉餅、木曽では朴葉巻と呼ばれている。


みょうが餅

2019-07-27 | 植物利用
朝8時半頃になってやっと雨が降り出したかと思ったら、すぐに止んでしまいました。台風の雨は今日の夜7時頃がピークで夕方まではあまり降らないようです。
湿気が多くべたべたするのに肌寒く、除湿器を稼働させています。年に1、2度しか使わない除湿器です。エアコンの除湿モードだと寒くなりますが、除湿器では寒くなりません。現代の家は密閉されているので、加湿よりも除湿に気を使った方がいいのではないかと思います。
 
今年はみょうが餅を2、3回作りました。朴葉は使えるのは7月上旬までで、その後はアクが出ると木曽の農家の女性が言われていたので、その後の時期にはミョウガがいいと思うのです。
ミョウガは家の横のやまに立派なのがわやわや生えていて、自分の家のよりずっときれいなので、それを採ってきます。やぶの中に生えているのは丈高く、150㎝ほどまで伸びていて驚きます。ミョウガ1本で葉が7、8枚とれるし、採ってきてから瓶に挿しておけば場所も取らずしばらくもつので便利です。
 
農文協の日本の食生活全集「聞き書 岐阜の食事」には御嵩町のみょうがまんじゅうというのが載っています。小麦粉と米粉を50%半々にしてつくる珍しいもので、蒸し時間が5分ぐらいと書いてあります。写真を見ると葉の色も鮮やかな仕上がりです。
みょうが餅は15分も蒸したら葉が茶色くよれよれになって、食べるときに葉が餅からはがれず面倒なことになるので、先日はその本をお手本に7分ぐらいでやってみました。火も通って緑も鮮やかで、うまくできたと思ったのですが、すぐに固くなってしまいました。蒸し時間が短いと固くなるようです。小麦粉まじりのものと米粉100%のものは違うということです。結論としては、12分がよい。12分までなら葉もそれほどよれよれにならず、色もまだ緑色が残り、餅も軟らかくできるのです。粉をこねるときの水分は、粉と同量の熱湯というレシピが多いですが、少し多めにした方が後になっても硬くなりにくいし、その軟らかめのを冷蔵庫でちょっと冷やすとますますおいしくなるのでよいと思います。
 
作るたびに違う仕上がりになり、やはりしろうとなんだと実感。安定的に上手につくれるのがプロということです。
どんな物事も、簡単に極められないから面白いのだと思います。
 
 
*写真/2019年6月上旬に作ったみょうが餅。蒸し時間12分ぐらい。

 
 

朴葉巻を作ってみた

2019-07-25 | 植物利用

朴葉で巻いたかしわ餅。

6月上旬に、作ってみた。

まさしく端午の節句の季節である。

木曽風に作るには、朴葉が輪生している形のままに包むのである。

やってみて、朴葉巻を作るには、広い場所が要るということが分かった。

みょうが餅やさんきらい餅(サルトリイバラで包む)とは比べものにならない。朴葉は1枚で長さ40㎝ぐらいもあり、それが輪生していれば80㎝四方ぐらいの面積が要る。

蒸し時間は12分ぐらい。

強い香りがする。

 

みょうが餅、さんきらい餅も作ったが、それぞれ長所、短所がある。

みょうが餅は12分まではなんとか大丈夫だが、15分も蒸すと葉がよれよれになってしまう。

さんきらい餅は、香りがない。

しかしどちらも朴葉のように場所を取らないのがいいところである。採取もしやすい。

 

それにしても、朴葉を輪生のままセットにして包むのは、面白いものである。

蒸す前の朴葉巻。イグサや竹の皮の割いたもので縛るのがいい感じだが、ないので爪楊枝で留めた。

 

こういった用途の笹の葉の利用を調べようと、図書館に農文協の「日本の食生活全集」の新潟県と富山県のを借りに行ったら

シリーズごと棚から消えて、奥の書架にしまわれてしまっていた。

残念なことである!

 


根羽村のT子さんの畑のブルーベリー

2019-07-23 | たべもの・台所
先日、根羽村のT子さんの誕生日だったので、お祝いに花を持っていったら、ちょうどブルーベリーの収穫があったところでした。
これからまだたくさんとれるので全部くれると言われるけど、遠慮して、そんなにたくさんいいわ、と言うと、
「そうか、全部だと困るのか。」と残念そうに言われるので
いや、困らない、と言って結局全部いただきました。
量ったら、1.7kg。大きなザルに1杯あります。
砂糖で煮て保存することにしました。
 
私がジャムやマーマレードを作るときは、煮る前に果物に砂糖をかけて数時間おいておきます。すると水が出るので、その液で煮ます。別途水を加えることはありません。それより、煮たときに果物から出る水を飛ばすのに苦労します。流れるような状態だとジャムらしくなく、また保存性も悪いと思います。
 
けれど今回は、結構液体状のまま終えました。
あまり煮詰めると風味がなくなりそうだし、どうせヨーグルトにかけるだけなので、液体でもいいのです。保存性だけは心配です。
 
ということで、200㏄瓶に11個できました。冷蔵庫で保存することにします。
ヨーグルトに思い切りたくさんかけてぐるぐる混ぜて、完全なるブルーベリーヨーグルトにして食べると最高です。
 
昨日お店で売っていたブルーベリー、小さなパックに30~40粒ぐらい(多分100g)で358円。ブルーベリーは高いし、栽培しても摘むのがとても大変なのです。感謝!
 

レモンマーマレード

2019-07-22 | たべもの・台所

朝から降っています。

よく降る梅雨です。

けれど今週後半あたりから、梅雨が明けるような予報。恐ろしい。夏の暑さが恐怖です。どうしよう……と今から身構える。

 

先月、南伊豆に行った際、産直市場で巨大なレモンを発見。

夏みかんぐらいの大きさがあり、2個で180円。マーマレードを作りたかったので、4個買ってきた。

それをやっと実行しました。

 

皮をスライスして生で味見したら、苦みが全くなく、夏みかんと比べて物足りない感じ。

まあこれは酸味の方で勝負するか、と思っていた。

ところが、煮詰めてから味見すると、苦いのです。

夏みかんマーマレードよりもえぐい感じの苦みです。

むむむ……。

加熱すると苦みが出るのでしょうか。次回、注意しようと思います。

4個丸ごとの状態で1.7kgあり、出来上がりは200cc瓶で10個。

皮の内側の白い綿の部分が1㎝厚ぐらいあったので、体積のわりには軽いということでしょう。

綿から苦みが出たかもしれません。

 

久しぶりに瓶詰めを行いました。ほんと、めんどくさいわ。

たくさんできましたが、苦いので人にあげるのはちょっと……と思います。