はざの形は何種類かあるのだけど、この地方でいまだ見た記憶のない、縦に数段並ぶタイプのはざを、うちの上の方の家で見つけた。
細かいことだけど、縦に立てた支柱の部分に開ける穴は私が知る限り四角いことが多いけど、ここでは楕円。そして、横に渡している木がかなり太い。
支柱を見るとかなり古いもののようだ。
この家は篤農家であるのか、家の周りの農地をきれいに耕作している。どこからどこまでがこの家の農地なのかは知らないのだけど、家の前の広い菜園を、おばあちゃんと言われる年代の方が、毎日必ず、休むことなく手入れしていて、雑草など全然生えていない。
畑と家の横にある芝地も常にきれいに刈り込まれ、薪はきれいに積まれ、目を楽しませてくれる。
日々の散歩で時間のあるときにはこの家の方まで足を延ばすのだけど、夏の終わりにナスをくださったので、今日はうちの柿を10個ほどお持ちしたのである。この辺りは標高が高いので、甘柿の木はないからだ。だからみんな渋柿で干し柿を作っている。渋柿は甘柿よりも少し高いところでも育つ。
話をはざに戻す。うちの方の地域でははざはたいてい1段の、田んぼの中に、稲刈りの時だけ立てるもので、こういう数段になるものはこれまで見ることがなかったのだけど、もしかすると残っていないだけで、以前はこのタイプがあったのかもしれない。
このタイプは、田んぼより雑穀を多く採る地域や、田んぼの狭いところ、木曽地方では木曽福島や開田高原でよく見る。はざにも地域性がある。田んぼの真ん中に立てる1段のものと決定的に違うのは、このタイプが常設であることである。常設しておけば、米以外にもいろいろなものが架けられる。ソバなどの雑穀、大豆などの豆、大根の葉や芋の茎やつる、薬草、布団……などなど。
ところが愛知県の奥三河の知人が、このタイプを庭の隅に秋だけ立ててまた片付けていたと言ったので驚いた。一体どういうことなのだろう……。
山麓朝散歩(動画)↓