山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

山里文化シンポジウム本日無事終了

2008-05-31 | 山里
「蔵出し・山里のおいしい話」シンポジウムと銘打った主催行事を本日無事終了しました。80名もの方においでいただき感無量です。

感無量なことがありすぎて何から書けばいいのかもわからず
つっかえているのですが
とにかく、山里文化研究所のスタッフたちに御礼をいいたい。

本当はこういうことは外の人に第一に御礼をいうべきなんでしょうが
今の私の宝物は、このスタッフたちです。

半年前は、1人だったのに
どうしてこんな理想的状態になっているのかよくわからない
失ったものがたくさんある代わりに、得てきたものもたくさんあることに
気づきます。

この行事をきっかけに、山里文化研究所はあっという間に変貌した気がします。
正確に言うと、この行事の前に私が不在だったこともあって、かもしれません。
私のいない間、みんなで考えて本当に力を合わせて作り上げてくれたことが
私にとってはこの行事を行ったことの最大の成果のように感じている。
もう私がいなくたって、準備や事務的なことはみんなできてしまうのです。

今日は私はほとんどバカみたいに立っているだけでした。
みんな、スタッフがやってくれた。
前から求めていた新しい場所が用意されたように感じています。

事務のパートさんとして来てくれている2人が、事務という単純な立場ではなく、すごく主体的にかかわってくれた。休日は本来出勤日ではないのに、私が何も頼まないのに、自主的にいつのまにか来ることになっていた。
それがなかったらどんな大変なことになっていたか。
私の想像以上のスタッフの能力や顔が見えてきました。
人間の能力って計り知れない。すごさを感じます。
人と人の間で、思いやりや助け合いの気持ちがあるとき、それが引き出されるようです。

うちの人たちは、コミュニケーション能力が全員非常に高く、しかもものおじしない。今日も突然マイクを振られても、平然と話していた。頼もしいです。みんな最強で最高です。
みんなが生き生きと仕事している姿を見て、私は本当にうれしかったということです。

今日の料理は、
リョウブ飯2種(昔風、現代版提案)
麦3割と大豆の入った御飯(かてめし)
缶つぼ味噌(空き缶に味噌と油揚げなどの具を入れて加熱)
ゆで玉子(!)
を主な出し物にして
あとは山里のおばちゃん、おばあちゃんがご持参くださったもの。
お漬物や、切り干し大根の甘酢漬け、煮物など。
森林文化アカデミーの女子が、不思議な植物パンを焼いて持ってきました。

リョウブ飯、麦豆ごはん、缶つぼ味噌は、聞き書き集に登場するメニューから選んで復元したつもり。
昔、白い御飯が食べられなかったころ、白い御飯と比べるとあまり喜ばれはしなかった食事メニューのはずなんだけど
参加者の皆さんから「すごいご馳走」といわれ。
どれも大人気でした。
500円では安すぎる、1000円にしろと皆さんからうれしい声が聞こえました。
最初は朴葉寿司がメニューにあがっていたけれど、やめてよかった。
朴葉寿司は、ほんとのご馳走だから、ご馳走と思われて当然。それじゃ面白くない。
季節のフキや破竹の煮物は「不動滝やさいの会」からとったけれど、これもよかった。麦以外は米、味噌、大豆、お茶までほぼすべて地元産(砂糖とかおしょうゆは市販だから違います)。
とにかく今日のメニュー選択は最高でした!

それから、お皿代わりに朴葉を用意(っていっても、結局まちこさんに朴葉をいただくことになったけど)。あんど君が説明すると「きゃーステキー」と参加者に大ウケ(あんど君がではなく朴葉がです)。こちらとしてはわりとフツーに思いつく感覚なんですが。一時「葉っぱで包む」に凝ってたから。
やっぱり都会の人には朴葉って珍しくてうれしいんですね。上勝町の成功を思い出します。
ゆで玉子は古い竹箕にわらを敷いてその上にてんこ盛りに。
これはグリーンツー感覚なのかなぁ。

まちこさんが午前の食事作りの講師だったんだけど、実は麦御飯は作ったことがないと聞いてびっくり! 今日は麦3割です。昔は5割でも普通だったみたい。今は麦御飯食べる人でもたいてい2割ぐらいだと思います。
大豆を少しゆでてから入れるってのは学んだなぁ。すごくおいしかった。

ゆで玉子も芯がちょっと透明なゆであがりのために真剣勝負、これは森林文化アカデミーの男子学生さんが担当してくれました。

お料理が粗食過ぎてみんな不満になるのではと心配でしたが、
全くその反対でした。
現代人にとってのごちそう感覚がよく分かりました。

山里文化研究所のあんど君はじめ、あいさん、ショーコさんがてきぱきリーダーシップをとり、このことに何の違和感もなく当たり前のように進めちゃえたのは、日ごろ事務所でみんなで昼食作りあって一緒に食べているからだと思います。食事づくりを仕事とするのが普通。

それにやっぱりみんなで食べるって大事です。
昼食を囲んで、スタッフの絆は深くなってます
最近私だけ参加してませんが……でも私がおそがけにのこのこ事務所に行くと、みんなが「ごはんありますよ!」と薦めてくれる。涙です。
※あんど君は、「サラダ菜ありますよ。食べますか?」とか、唐突な変わったことをよく言います。

山里食堂、このセンスでいけばやれる?
助成金もない、仕事もない、お金もない、あるのはスタッフだけですが
絶対もちこたえなければ。
やっぱり執筆行脚に出よう(整合性がない話)。

とりあえず、来週は、みんなで日帰り慰安旅行です。

恵那・山里の聞き書きについて中日新聞に

2008-05-23 | 山里
本日の中日新聞東濃版に、結構大きく、私たちの作った聞き書き集のことを取り上げていただきました。
早速あちこちから反響。
31日のシンポの申し込みや、本の注文などです。
あと、市内の書店さんから仕入れたいと注文が来ました。
スタッフがてきぱき応対してくれ、私も所長冥利につきます。

印刷は、写真の出が悪いけどどうしようもないのであきらめてくれと
昨日杉本印刷さんから東京にいる私に電話がありました。
残念でしたが、今朝になり、何とか工夫してやるから、と連絡があり。
1日余分な工程がかかるけど、費用も格安で間に合わせてくれるそうです。
いい仕事というのはこういうことだと、その印刷屋さんから学びました。
同じやるならきれいないい仕事をしたいというプロのプライドです。
ほんとに信頼できる営業マン・印刷屋さん。一流だと感じました。
(しかもお値段はほかのどこよりも安いと感じます)

聞き書きの事例発表で東京へ

2008-05-23 | 山里
昨日、恵那・山里の聞き書きの事例発表で東京に行ってきました。
何だか聞き書きの時代が到来しつつあるようです。
日本中に広まってほしいものです。

帰りにSさんのお見舞いに行ってきました
腕の複雑骨折です。
聞き書きの事を指導してくれている先生で
聞き書き談義で盛り上がりました。
10月には聞き書きのシンポジウム的なことがあるようです。

東京はものすごく蒸し暑かった。

恵那・山里の聞き書き

2008-05-21 | 山里
12月から取り組んでいる聞き書き集、5月31日から頒布予定で、本日無事(だと思う)入稿しました。入稿データを印刷所に持っていこうと椅子から立ち上がったところで、避けられない修正が入ったり、そうしたらにデータが壊れ気味になってハラハラしたりと、それだけで一日終わってしまいましたが。間違ってなければいいのですが。
昨夕のこのこ事務所にやってきて、できていなかった表紙、最低のエネルギーで作ろう、題名だけで、ちょろっと線引いて山でも描いてごまかしとこ、と思って作ったところ、AND君が気に入ってくれたようです。
ほかにもいろいろ手抜きがあるなぁ……
渾身の序文を書こうと思ってたけど省略しちゃったし、(でも何とかあとがきだけきのうの深夜に入れることができた)、
普段の私ではありえないラフチェックですが
その分AND君やスタッフが頑張ってくれたので大丈夫です。

直前にいろいろなことがあり、チェックもままならず、でもカンペキきっちりじゃなくても、字が曲っていようがゆがんでいようが、序文書けなかろうが、とにかく出さなきゃ、と思った。
みなさん、本当によく頑張ってくれました。私が一番さぼってたなぁ
でもさぼっていてもできることが分かったのはよかったかも。

でもこの表紙、ほんと、見ていると、重なる山並みに見えてきます。
私が子どもの頃、毎日こっち方面の山並みを見て、あの山と山の間にはどんな山里があるんだろう、と思っていたときのことを思い出します。
山並みの間には、山里があるのです。

一仕事終えました。
この仕事、本当に好きです。仕事に自分がなぐさめられます。

緑のダムを放棄し、石積みのダムを放棄し、コンクリートの……

2008-05-12 | 山里
けやき平ではタニギキョウが咲いています。数年前に比べると少し花が減ったようです。それ以外にもいろいろ花が減っている気がします。ニリンソウやユリ科の植物など。
ナルコユリなんかは以前はたくさんあったけれど。

本日は恵那市の坂折棚田で、夕立山森林塾の講座があり朝から出かけ、途中で抜け出し山里ふぁんくらぶの畑でゆっこさんと重要な打ち合わせをし(たんにだべっただけ)、それから聞き書きの話し手のおばあちゃんのところに、これはほんとに重要な打ち合わせをしに行き、また夕立山森林塾で、夕方から理事会、その後、別の行事の実行委員会、夜10時に事務所に帰って聞き書き編集の続きをしてました。
思いっきりねむい。

朝とってもしんどくて、あーもーだめだー状態でしたが、講座の資料などすべて私が持っているので休むわけにもいかず。
まあ出て行ってしまえばそれなりになんとかなるのですが。

でも実行委員会の打ち合わせ結果は、私が以前からひっかかっていた点をクリアしてくれたし(一体やりたいのは誰なの問題)、
ニワケンとたくさん大事なことを話せて
収穫はたくさんありました。

坂折棚田の少し上の人工林に入ったところ、ちょうど小さな沢が染み出すところで、それを利用したかつての棚田があり、そこにスギが植えられていました。
水が染み出るので、放棄された棚田は再度湿地化しつつあり、湿地特有の植物など出初めているのでした。
そんな地面のゆるいところなので、スギの木がバッタバッタと倒れていました。
もう一度田んぼにしてあげたいけれど、誰が耕すの?ってことです。
中野方地域全体で、昭和25年ごろには4000俵の米がとれましたが、今は800俵だそうです。そして、一度放棄して3年経った田んぼを復田するのはまず無理だということでした。
さらに、昔と比べて水が圧倒的に少なくなっているということ。
同じように雨は降るはずなのに、水が少なくなるってどういうこと? と思いますが、山里の人は、林相が変わった、つまり人工林になったということにより、水が急に枯れてきたということを、みんな実感しているのです。
そのため、ダムが必要となり、今、中野方でも笠置でも、たくさんダムを作っているのです。

緑のダムを放棄し、コンクリートのダムを造る。それは比喩や象徴的表現ではなく、本当の、現実の、具体的なことなのでした。

また、小さな沢を利用した棚田は、やはりまさしく砂防ダムと同じであるということです。断層に沿ってできている坂折棚田は、大きな地震が断層を襲えば、結構被害があるのかもしれませんが、緑のダムならぬ田んぼのダムが、何らかの役割を果たすのではないかと素人ながら想像します。

けやき平にはカッコイイ木がいっぱい

2008-05-10 | めぐる季節と自然
さむ! 朝とても暖かかったけど、夕方からぐんと寒くなった。講座から帰ってきたら、AND君がストーブがんがん焚いて仕事していた。

森林ガイドの講座を2003年からほぼ月1回やっているけど、今日のような朝からの本格的雨になったのは初めて。これまではほとんど晴れ、たまに降っても通り雨程度だった、という方が、ちょっと変だったのかもしれない。

今日は中津川市のけやき平という所へ。
本当は野麦峠に行くはずだったけれど、予想以上の雪で断念。直前に予定変更したおかげで天気が予測でき、代替地にかきぞれ渓谷なんてものをまちがって選んじゃったりしないですんだ(ほっと胸をなでおろす……)。

けやき平には、抱きつきたくなるような、かっこいいケヤキと、かっこいいトチノキと、何よりかっこいいモミの木があった。モミの木はすっくと立って堂々として頼りがいがあって、いい感じです! かっこいいオーラをがんがん出しています。
樹木にほれぼれしちゃう、というのは、なかなか悪くないものです。

木の上の方から水玉がポローンと落ちてきて、それが幹にぶつかると、ポーンと弾んで下に落ちるのです。水玉が弾むとは、知らなかった……
深い森の中で、大きな木の下で、その様子を見ていると、われを忘れて吸い込まれていくようでした。実際「われ」どころか受講生のお客様のことも忘れてたか……。
皆さんも感激してたようでした。

森と呼べる場所にはなかなか出会えないけれど(ほとんどが林ぽい)、けやき平こそ、森だと感じます。

オトコヨウゾメ

2008-05-07 | 植物
5月1日ごろには、近くの雑木林のコバノガマズミとオトコヨウゾメが咲いていました。オトコヨウゾメは少しピンクがかって、ほんとにかわいい花です。
ズミはまだ全くつぼみでしたが、連休中に一気に満開になりました。
緑の色がまぶしいぐらい鮮やかで、むせかえるようで、気に満ちた季節です。

今年は4月25日にツツドリが、例年より1週間ぐらい早く到来し、続いてキビタキもしきりにさえずるようになりました。

4月中は比較的のんびりしていたけど、バタバタ忙しくなってきました。