門松カードについて、大阪のさいとうこうぞうさんという森林インストラクターの方が以下のようなことを教えてくれました。
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戦後の住宅建築などで木材価格が暴騰し、多くの山林が荒れて、昭和20年代後半には大水害をひきおこす原因となっていた。昭和30年代には植樹運動が盛んになった。門松は年々派手になり、他人の山の松を根元からきる者が横行していたので、門松の廃止運動が起こった。
昭和30年(1955)に新生活運動協会が設立され、冠婚葬祭の簡素化や虚礼廃止など新しい生活スタイルの全国普及をはかっていた運動の一つとして、昭和32年には、役場で玄関と神棚用に門松を印刷したものを、各戸に配布して代用するようにすすめた。さらに、時代の流れとともに多くの大都市では配布を廃止した。
植樹運動の盛んだった時代には、小学生は音楽の時間に「お山のスギの子」を歌わされ、中学生以上は山に木を植えに行かされたということです。
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全国植樹祭は昭和25年から始まっています。私の周りでは、もう植樹祭はいらない、間伐祭をしろ、という意見が主流です。育樹祭というのもありますが、間伐祭まではいっていないようです。日本の木を使う祭りというのをすればいいですね。
それから、緑化推進と称して、いろんな自治体や団体に苗木を何十本、何百本とプレゼントすることが今も盛んに行われています。これも戦後から植樹運動の盛んだった時代に始まったものであろうと思います。しかし、今、ほとんどの場合、相手の都合も考えず、有無をいわせず贈呈が行われていると思います。もらったほうはどこに植えようか悩み、結果としてどこかの自然林を伐ってそこに植えていたり、森林公園のようなところの絶対育たなさそうな場所に無理やり植えられていたりします。その結果、公園の中には、得体の知らない支柱の列だけが残っていたりするのです。
これにはいろいろな問題があります。一つはもちろん、経費や資源の無駄。それに、景観破壊、植生破壊。
そして、もっとも悪いのは、生物多様性への悪影響です。どこで生産されたかわからない苗木が植えられることで、その地域の遺伝子がそこなわれてしまいます。
そんなことは、森林や植物にかかわるプロはみんな知っているのに、なぜかやめられず、いつまでも続いていく……世の中はそのようになっています。
樹を植えたり苗木をプレゼントすることが無条件にすばらしいことだという風潮は、しっかり日本に根を下ろしてしまっています。