熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
送料込み5000円。
残部僅少ながら、注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

菊折枝蒔絵の三面

2010-07-04 20:40:35 | 写真
写真は、徳川美術館にある「菊折枝蒔絵の三面」。右から将棋盤、双六盤、碁盤。

本の小さな写真を写したので、細部は少し見えにくいですが、これは、近衛家から尾張家九代に嫁いだ「好君(たかぎみ)」と、同じく近衛家から十一代に嫁いだ「福君(さちぎみ)」の婚礼道具です。同じものが、1753年と1836年の2度にわたって使われたそうで、経費節減によるいわゆる「使い回し」か、「何年もかかる調度製作の時間的余裕が無かった」ことが想像されます。
こんな例もあるのですね。80年余りの年月を隔てた「使い回し」です。

この将棋盤の家紋は、すべて「葵紋」です。
側面の一つには、葵紋が5つも描かれていますが、若干、その色合いに変化があります。
或るものは金で、或るものは銀(錆びると黒くなる)が使われています。

なお、6月2日に紹介した「竹菱葵紋蒔絵の将棋盤」では、三つ巴に描かれた葵葉が金と銀で描き分けて、見た目の色合いの違いが変化するように工夫してあります。
まー、これは遊び心とでも言いましょうか。粋なものです。

只今、巷で話題の標的になっている将棋盤ですが、これは、さらに凝っていて、蒔絵に使う金銀の違いでなく、「金蒔絵」と「キリガネ」という加工方法の違いによって見た目の変化を求めたものであり、より加飾の手段が凝っている例と言えるわけです。

このことは、いずれ近い内に、はっきりするでしょう。
あわてることはありません。
ソレニシテモ、口さがない人たちに曝されている「あの盤」こそ、お気の毒ではありませんか。
では、おやすみなさい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

駒の写真集

リンク先はこちら」 http://blog.goo.ne.jp/photo/11726