話はどこまででしたか・・。
富山のある人のお話。
漆がモゲタ駒を直してくれると言うので、東京のある人に送って、随分日数が経って戻ってきた。
ところが、直したはずの駒が惨めな状態になっていて、以来、その駒を見るのも嫌になった。
と言うこと。
話はその続きです。
で、「ナントカ直らないか」とのことで、富山に行った折に現物を拝見しました。
その映像です。
問題は、銀のカネ偏の最終画の横棒。
その左半分。
これがモゲタ。
ある人に相談したら、直してくれると言うことで、東京に送った。
随分時間経って、直されて帰ってきたのがこの状態だったそうです。
大枚の手数料を払って返ってきたのが、この銀将の他にもう一枚、歩兵。
どちらも、同じような状態でした。
持ち主は、これを出来れば何とか出来ないかとの相談でした。
「全くのダメですね。漆の経験の無い人が、直そうとしたのでしょう。相談したところが悪かった」。
「ううん、やっぱり・・」。
「修理した周りの茶色は修理の時漆が木地に浸みた痕」。
「そうなんですよ。こんなになって帰ってきた」。
「一旦こうなると、これは何とも出来ないでしょうね。
しかも漆は穴だらけで完全に埋まっていない。全く経験の無い人が直そうとしたのでしょう。
廻りの茶色いところを元通りの色にするには、ペーパーで摺ることになります。
しかし、茶色のシミが無くなるまで摺ると、その分、文字が細くなって、他とのバランスが崩れます」。
「そうですか。これ以上、手を掛けるのは無駄なんですね。口では一丁前のことを言ってたのに、がっくりです」。
「それにもう一つ。一か所でも漆がモゲたということは、他もその内にモゲると言うことです。
それを防ぐには今の漆を全て引っ剥がして、新しい漆で埋め直す必要があります。
随分手間を掛けることになります。そこまでして直す価値があるのかどうかですね」。
「この駒はそこまでする価値は無い。諦めます」。
「そうですね。その方が良いと思いますよ」。
ところで、修復・修理、と言う言葉。
普通には元の状態に直すことですが、駒の場合はなぜ故障したかの原因まで遡らないといけません。
それにまで思いを掛けることが必要で、この場合は、漆が飛んだこと。
問題の個所が治ったとしても、やがては別のところの漆が飛ぶ可能性が高い。
漆が飛ぶのは、工程上の問題。作者によってばらつきが大きいのですね。
それを修理する時に、どこまで予防するかまで考えないと。
とにかく、そこまで考えて修理するか、しないかと言うこと。
以上。今回は「修理恐るべし」というお話しでした。
富山のある人のお話。
漆がモゲタ駒を直してくれると言うので、東京のある人に送って、随分日数が経って戻ってきた。
ところが、直したはずの駒が惨めな状態になっていて、以来、その駒を見るのも嫌になった。
と言うこと。
話はその続きです。
で、「ナントカ直らないか」とのことで、富山に行った折に現物を拝見しました。
その映像です。
問題は、銀のカネ偏の最終画の横棒。
その左半分。
これがモゲタ。
ある人に相談したら、直してくれると言うことで、東京に送った。
随分時間経って、直されて帰ってきたのがこの状態だったそうです。
大枚の手数料を払って返ってきたのが、この銀将の他にもう一枚、歩兵。
どちらも、同じような状態でした。
持ち主は、これを出来れば何とか出来ないかとの相談でした。
「全くのダメですね。漆の経験の無い人が、直そうとしたのでしょう。相談したところが悪かった」。
「ううん、やっぱり・・」。
「修理した周りの茶色は修理の時漆が木地に浸みた痕」。
「そうなんですよ。こんなになって帰ってきた」。
「一旦こうなると、これは何とも出来ないでしょうね。
しかも漆は穴だらけで完全に埋まっていない。全く経験の無い人が直そうとしたのでしょう。
廻りの茶色いところを元通りの色にするには、ペーパーで摺ることになります。
しかし、茶色のシミが無くなるまで摺ると、その分、文字が細くなって、他とのバランスが崩れます」。
「そうですか。これ以上、手を掛けるのは無駄なんですね。口では一丁前のことを言ってたのに、がっくりです」。
「それにもう一つ。一か所でも漆がモゲたということは、他もその内にモゲると言うことです。
それを防ぐには今の漆を全て引っ剥がして、新しい漆で埋め直す必要があります。
随分手間を掛けることになります。そこまでして直す価値があるのかどうかですね」。
「この駒はそこまでする価値は無い。諦めます」。
「そうですね。その方が良いと思いますよ」。
ところで、修復・修理、と言う言葉。
普通には元の状態に直すことですが、駒の場合はなぜ故障したかの原因まで遡らないといけません。
それにまで思いを掛けることが必要で、この場合は、漆が飛んだこと。
問題の個所が治ったとしても、やがては別のところの漆が飛ぶ可能性が高い。
漆が飛ぶのは、工程上の問題。作者によってばらつきが大きいのですね。
それを修理する時に、どこまで予防するかまで考えないと。
とにかく、そこまで考えて修理するか、しないかと言うこと。
以上。今回は「修理恐るべし」というお話しでした。
12月20日(金)、晴れ。
寒空。
もうすぐ陽が昇ります。
バタさん、泉野サンからも問い合わせをいただきました。
昨日の話題の続きです。
小生作の駒がオークションに出ていたのですね。
カビの程度はどの程度だったのかは分かりませんが、多分、長い期間箱に入れたままだったんでしょう。
もったいないことですし、残念なことですね。
どこかでも書いたと思いますが、黄楊は腐敗菌に侵されやすいです。
最初は表面にとりついた菌が、内部に向かってジンワリと進行してゆきます。
これを止めるには、時々盤に並べたり、指先で触ってやるとかですね。
一旦浸みこんだカビは、その分を削り取らないと消えないので、素人が修理するのは難しいと思います。
小生なら、一皮むいて作り直す。
下手な人が手出しをすると、結局はそれ以上のトラブルを引き起こすことになるでしょう。
この間、富山に行った時のある人の話。
10年くらい前に某店で「宮松作」の彫り埋めを買ったそうです。
暫く使っていると、埋まっていた漆が、2か所モゲた。
で、ある方に相談すると「1枚1万円で、私が直してあげる」と。
それで、駒を東京に送ったのですが、中々時間がかかっている。
随分待ってから催促すると、暫くして駒が届いた。
梱包を開けてみると、モゲタところは、埋まっていたそうです。
しかし、その周りが、茶色く斑になっていた。
以来、その駒を見るのも嫌になったとのことでした。
この話は、まだまだ長文になりそうです。
続きは、今晩にでも。
寒空。
もうすぐ陽が昇ります。
バタさん、泉野サンからも問い合わせをいただきました。
昨日の話題の続きです。
小生作の駒がオークションに出ていたのですね。
カビの程度はどの程度だったのかは分かりませんが、多分、長い期間箱に入れたままだったんでしょう。
もったいないことですし、残念なことですね。
どこかでも書いたと思いますが、黄楊は腐敗菌に侵されやすいです。
最初は表面にとりついた菌が、内部に向かってジンワリと進行してゆきます。
これを止めるには、時々盤に並べたり、指先で触ってやるとかですね。
一旦浸みこんだカビは、その分を削り取らないと消えないので、素人が修理するのは難しいと思います。
小生なら、一皮むいて作り直す。
下手な人が手出しをすると、結局はそれ以上のトラブルを引き起こすことになるでしょう。
この間、富山に行った時のある人の話。
10年くらい前に某店で「宮松作」の彫り埋めを買ったそうです。
暫く使っていると、埋まっていた漆が、2か所モゲた。
で、ある方に相談すると「1枚1万円で、私が直してあげる」と。
それで、駒を東京に送ったのですが、中々時間がかかっている。
随分待ってから催促すると、暫くして駒が届いた。
梱包を開けてみると、モゲタところは、埋まっていたそうです。
しかし、その周りが、茶色く斑になっていた。
以来、その駒を見るのも嫌になったとのことでした。
この話は、まだまだ長文になりそうです。
続きは、今晩にでも。
駒の写真集
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