熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。送料込み5000円。
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作品 文章 写真 販売品

錦旗

2013-12-22 08:52:28 | 文章
12月22日(日)、晴れ。

本日は冬至。
30分前はいちめんの村雲。
只今は、青空80%の寒空。

問題の「錦旗」について、コメントを戴きました。
個別の映像を見ると赤茶色の点浸みがところどころ。
10枚ほど、周辺部に発生しているようです。
浸みの深さは、実地に見て少し摺ってみないと分かりませんが、駒の周辺部であれば、盛り上げた漆を触らずに直せる可能性もあります。
但し、慣れない人が手を下すのは木地の表面を荒らしたりするので止めた方が良いです。

やがて点浸みは、周辺部に広がるとともに、ゆっくりと木地の内部にも浸透します。
それを食い止めるには、先ずは、駒全体を空拭きすることです。
空拭きは、念のため2回か3回。
シミが出ていないモノも含めて、全ての駒に対して行います。
この時、油を付けるか付けないかですが、付けない方が良いでしょう。

空拭きする方法は、1枚づつ指で持ちながら、丹念に指先に力を集中して全体を擦ります。
以前、記録係が対局に備えて、机の上に布を広げた上で駒をこすりつけているところを映像で見ました。
こちらの方が、指先が疲れずに楽だと思いますが、駒に優しいのは、指先でしっかりと摺る方だと思います。

さて、駒についてしまった点浸み。
これを何とかせねばなりません。
その方法ですが、先ずはどの程度浸みこんでいるのかを把握することが必要です。

点浸みは、駒の頭とか横とか文字が無い部分にも出ていることでしょう。
先ず、その部分を控えめに細かな粒度のサンドペーパーで摺ってみます。
このサンドペーパで摺る作業は、簡単なようで案外難しい。
此処で下手なことをすると、駒はヘンな形になってしまいます。
このところで失敗すると、修復がきかず取り返しがつかなくなります。
左右の横の辺が、左右対称で無くなったり、横にゆがんだり。

シミの出ている天とか横面を少し摺って、どの程度内部に浸みこんでいるのかをチェック。
まずは、それを見極めます。
他の駒も天とか横面を同様に摺ってみます。
ここで注意しなければならないのは、点染みのことだけ考えてはいけないと言うこと。
摺りすぎて、小さくなり過ぎないこと。
片べりさせて、駒の形を歪ませないこと。
平面はあくまで平面を保つ。

この意識と技術が有りや否や。
駒の形や左右が歪んでいても、気が付かないレベルの人は、手を下さない方が賢明でしょう。
最終的には点浸みが生じていない駒との大きさや色合い。
そのバランスも考えなければなりません。
だから、最終的には駒41枚、42枚全体をケヤすることになりましょう。

話を戻して、
先ずは文字がある表裏以外の各面をしっかりと手当てして磨き上げておきます。
この段階で、面取りはまだ。

次に、表裏の処置。
点染みの程度にもよりますが、方法は二つ。
盛り上げた文字のところをそのままにして、気になる点染みを軽減させることで済ませる。
この場合は、完全に消えるモノもあるでしょうが、完全には消えないモノのも。
要は、完全に消そうと思わないこと。
少しでも直ればよいと思えば、この方法が良いでしょう。

もう一つは、完全に直す方法。
表裏の漆の文字ともども、彫り埋めの状態に戻して、整形研磨。
その上で、新しく全ての文字を盛り上げ直します。
この場合でも、一部の駒だけをそのようにする場合と、全体の駒をやり直す方法とがあります。
漆は、年々歳々、色合いと透明度が変化します。
本体の木地そのものも、色合いが変化しています。
この駒は、20年ほど経っていますので、部分的に修理すると統一性での懸念が残ります。

と言うことで、写真で見る限りでは、前者の方法が良いかなと思います。

いずれにしても以上が、新しい所蔵者の眼に留まればご相談ください。
くどいようですが、素人の手で駒をむやみにいじくることは避けてほしいものです。

もう一つ、出品時の映像の駒の並べ方は大間違い。
小生の箱の各段のサイズは、それぞれの駒の高さに合せて作っています。
1段目が玉将2枚。
空いたところは、2枚目の余り歩や、表示ラベルを並べたりします。
2段目、3段目は、歩兵専用。
その次が香車4枚と歩兵3枚。
その下が桂馬4枚と不評2枚。
その下2段が、金銀飛車角の大きい駒。
これでピッタリB5サイズ。
箱といえども、そこまで考えて設計しているのですが・・。




コメント
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駒の写真集

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