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目止めのこと

2018-03-12 05:55:41 | 文章
3月12日(月)、天候不明。

時々、質問に答えています。
他にも知りたい方もいるだろうと、今回は「目止め」についてです。

目止めと一口に言っても、使う目止め剤や、その量と使い方についてはそれぞれで、作者によって、大きくその差が出てきます。
目止め剤は水性・油性があり、昔は膠、ニス、戦後はボンドなどが使われてきました。
特に膠は100年以上経つと接着力が無くなって、劣化が進みます。

古い「安清」彫り駒などは、目止めの膠ごと漆がはげて、触るとぼろぼろと落ちてしまうモノもあります。
ボンドも水性なので、劣化は今後の話として、問題になる可能性は無いとは言えません。
油性の場合は、耐久性は水性よりは良いと思います。
いずれにしても目止めは木地と漆の間に滲み止めとして塗るのですが、厚く塗りは良くありません。
目止めは出来るだけ薄くすることが良いのです。

島ツゲの場合は木質が粗いので、目止めをしないと導管に漆が入って滲んでしまいます。
目止めが不十分で漆が滲んだ駒は、不良品であり失敗作です。
滲んだ駒はボツとして処分し、市場に出す訳には行きません。

一方、「目止めが原因で漆がはげる」という人がいます。
過剰な目止めや、古い「安清」の駒のハガレを見て、単純に思い込んでいるのではないでしょうか。
私の場合、目止めは油性で、使う量はギリギリ最小限に止めるよう心にしています

昔のある作者では、良く漆が飛んでいる駒を見ます。
彫ったところを埋める錆び漆(砥の粉を混ぜた漆)の、漆の分量が少なすぎる為です。
錆び漆は乾くと黒くなります。
しかし漆をケチると、乾いても茶色いままで、黒くはなりません。
それに漆の接着効果が出ないので、時間が経つとボロボロと崩壊する訳です。








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