10月16日(土)、晴れ。
さわやかな一日でした。仕事は相変わらず「大将棋駒」と「古水無瀬」。
「大将棋駒」は、金将、銀将、桂馬、香車、返車、猛豹、銅将、横行、竪行、盲虎と10種類の盛り上げ仕事。裏の文字はクライアントの希望で中将棋駒に倣ったもので作っています。昨日は裏文字、今日は表の文字でした。
左の方に、比較のためのレギュラーサイズの玉将を入れて撮影しました。
駒は、予備を含めてそれぞれ一枚多く作っています。(左上2枚は根付)
結果は明日。
「古水無瀬」は、最終段階。もうすぐ出来上がり。
ということで、一日が過ぎました。
明日からは秋も深まっての低温予報。風邪などに注意しましょう。
ところで、ある方から「水無瀬」についてお尋ねがありました。
そのSさんへは、メールでお答えしました。
内容的には、以前、このブログでも述べた記憶があるのですが、改めて、かいつまんで掲載しておきます。
また水無瀬関連では「水無瀬兼成書」あるいは「水無瀬兼成」と銘に書かれた別書体の駒も出回っています。これは、いかにも水無瀬兼成さん書体の駒を連想させるのですが、私から見ると「ちょっと違うんだよね」と言わせるものであり、この書体を見ていると、駒権こと赤松元一さんの顔が浮かびます。
映像は変わって、駒のストラップ。
二日前、孫娘から「私の駒を作ってほしい」という電話。
名前の入ったストラップ駒です。
「分かった。文字は何がいいかな」と聞くと、「お任せ」とのことでした。
映像は、作成途中のストラップ。
文字を書き終わったものもあれば、金具だけ付け終わったものも。
大きさ比較のために、レギューラーサイズの「歩兵」を右下に置きました。
高校三年生の女子なので、表は音楽の「楽」とか「〇福」、「幸福」はどうかと。あるいは来年に備えた「合格」もいいかと。
「ストラップ駒」を作るのは久しぶり。一枚に限ることもないので、名前入りをいくつか作って送ろうかと思います。
文字ですか。
すべて漆蒔絵筆での自筆文字。駒の大きさに合わせて描きます。
たとえば、歩兵横の「福寿」は、根付全体が2センチ程度ですので、福寿それぞれの文字の大きさは、1センチに満たないものです。
10月15日(月)、晴れ。
上天気です。
駒の文字の話。大学研究室では、どんなことを話そうか。
まだひと月ほどありますので、いろいろ考えています。
先ずは、「駒の文字の役割」についてです。
「駒の文字」は、駒それぞれの性能の違いや重要性、強さなどをイメージとして表す標識でもあります。
それに対し、チェスなどの西洋将棋や東南アジアの将棋では、駒(ピース)の姿形によって、それぞれの駒をが区別しているわけです。
我が国の将棋駒は、中国や朝鮮の影響もありますが、漢字文化圏でもあり、漢字表記されています。
さて、文字(漢字)表記の駒と、立像でその姿形の違いで区別される駒との長短優劣を比較してみよう。
この続きは、長文になりそうなので、一旦、閉めることにします。
では、また。
10月13日(水)、晴。
今日も外仕事の一日でしたが、日の暮れは17時ころでしょうか。
日の暮れがめっきり早くなったのですが、切りがつくまではということで、暗い中、小一時間ほど粘ることにしました。
映像は、その結果の様子。
小駒が約50枚。「金将・銀将・盲虎・銅将・猛豹・横行・竪行・桂馬・反車・香車」彫り埋めが終わった段階の状況で、盛り上げは、これからの作業となります。
中央は、比較のためのレギュラーサイズ玉将。
あ、そうそう。
近々、高槻市の博物館で、400年前の水無瀬・象牙駒が展示されるそうです。詳しいことは、明日、詳細を確認してこのブログでお伝えします。
10月11日(月)、曇り。
朝は晴れていた空は、やがて下り坂の村雲模様、気温は上向き。
一昨日あたりから、残りの大将棋駒を彫り始めています。
材料は21年前に、大局将棋用に成型した薩摩ツゲ。
いい飴色に進化した材料。
今日までに彫り終えたのは「金将・銀将・盲虎・銅将・猛豹・横行・竪行・桂馬・反車・香車」の10種。予備を入れて50枚。
未着手の「飛龍・猛牛・真(口偏に真)悪狼・猫叉・石将・鐵将」は、次に着手します。
大将棋駒制作で留意するのは、駒の大きさ。大きすぎず小さすぎずの駒形。
例えば「香車」は細身で、「横行」は幅広。「竪行」は、やや竪に長く。
「猛豹・銅将」は少し小ぶりにして、「金将・銀将・盲虎」はゆったりと。
それぞれの駒型に書き入れる文字は、微妙な調和が求められることになりますが、いろいろ考えながら作るの楽しさ。それはいつもの楽しさでもあります。
10月10日(日)、晴れ。
朝からゆったりした雲と青い空。
平和を感じる空です。
ところで、昨日は一本の電話をいただきました。
話を聞いていると、山形県にお住いのSさんで、高価な盛り上げ駒をいくつかお持ちだとのことです。
その中で、小生作の駒もお持ちで、「とにかく、ほかの駒とは違う」とのこと。
で、「どんなところが違いますか?」と尋ねたところ、Sさんは「同じ県内のK作の駒も持っているが、何か型にはまったような印象で、それに比べて熊澤さんの漆文字は生き生きしていて、なにかが違う」とのことでした。
「そうですか、そう言ってくださるのはうれしい限りで、ありがとうございます」と返しました。
すると「弟子はおられますか?」という質問。
「弟子はおりません」と言うと、「弟子にしてくれませんか」とのことで、びっくりしました。
「これまで、何人かの弟子入り志願はありましたが、すべてお断りをしてきました。駒づくりは技術のみならず感性が重要で、それは人それぞれですからやる気があっても、弟子入りしても、必ずいいものができるようになるとは限りません」。
まあ、昨日はそんな話の電話で、弟子入り志願は何年ぶりかで、すっかり忘れていたことでした。
10月8日(金)、晴れ。
秋日和。
本日は、お一人のお客様。
コロナ過が下火になったタイミングを計っての来客でした。
ところで、制作中の「大将棋駒」。
130枚中、60枚ほど出来上がってきました。
今回、大将棋駒は初めてなので、盛り上げ駒で制作中。
残るは、小駒たち。
その映像です。
裏ですか。裏は朱文字にしました。
大将棋には、見慣れない名前の駒があります。
写真一段目には「銅将」と「鐵将(鉄将)」。
2段目には「盲虎・猛豹・猫叉」。
3段目には「悪狼」・口偏に真の「真と猪で(しんちょ)」・「猛牛」。
4段目に、「竪行」「横行」、そして「飛龍」。
なお金銀や香車は、普通の将棋とは裏文字が異なるので新規制作となります。
10月5日(火)、晴れ。
本日の映像は、大阪角岡製の蒔絵筆。
蒔絵筆の試作に取組中のHさんからの要請で、アップします。
黒軸と白軸とがありますが、どちらも穂先は同じ太さです。
一方は組み立て前、他方は、軸に取り付けた形で、撮影しました。
中央は、対比のための爪楊枝です。
Hさん、これで良いでしょうか?
「ネオ中将棋」の駒初期配置を考えています。
映像は、その一案。
駒は、手元にあるレギュラーサイズの駒(盛り上げ駒)と、中将棋駒(彫り埋め駒)との混合です。
普通のレギュラーサイズ将棋駒は「玉将(王将)」と「歩兵・飛車・角行」の4種類。
対して中将棋駒は「仲人・奔王・横行・獅子(師子)・反車・龍馬・鳳凰・酔象・麒麟・龍王・竪行・香車・猛豹・銅将・盲虎・金将・銀将」の17種類。この内、「仲人・香車・猛豹」は左右2枚で、総数20枚としました。
今日は、大将棋駒を作りながら、中将棋のことを考えています。
中将棋の実戦は10局ぐらいの経験ですが、面白い将棋だと思います。
ですが、欠点もあります。
最大の欠点は、時間がかかりすぎること。特に駒を取り合うまでに手数がかかるし、とにかく駒が多いので、普通にやっていても3時間とか、それ以上かかります。
もう一つの欠点は、プレイする人が少ないこと。
ですから、10局程度にとどまっているわけです。
ネットでは、以前、外国人の愛好者を含めた対局がありました。最近は見ていないので、あるのかどうかも分かりませんが、とにかく、それを見ているだけで、中将棋のだいご味が味わえました。
ところで、大将棋駒を作りながら、中将棋の何を考えているのかですが、中将棋をもっと馴染みある身近な将棋にするにはどうしたらよいかということ。
そこで考えました。
「中将棋」を普及するには、手軽に「中将棋」を覚えための「新しい中将棋」を作ることではないかと思う。それを仮に「ネオ中将棋」と呼ぶこととします。
「ネオ中将棋」では、中将棋の導入過程として、特有の駒の行き方を覚えながら、中将棋の面白さを体験することですが、そうして「ネオ中将棋」が世間に拡がれば、それはそれで宜しいことではあります。
先ず用具ですが、
①、盤は12✕12枡の中将棋盤は使わず、普通の9x9枡の「将棋盤」を使う。
②、駒は普通の将棋で使っている「玉将」や「歩兵」などはそのまま使い、
中将棋にしかない駒を補充して使う。
③、駒の配置は9✕9枡の盤に合うように工夫して、縮小したモノにする。
以上で、全体の駒数を60枚程度にコンパクトにし、対局時間を抑える効果が期待できます。
具体的な駒の配置とかは、もう少し考えて、提示します。
なお、以上は、中将棋名人とか中将棋練達者の、ご意見を伺おうと思っています。