N市の某菓子舗に
みそまんじゅうの旨いのがある。
夕方には売り切れてしまうので
でんわで予約しておく。
途中、杉花粉がまるで黄砂のように
吹き荒れているが
旨いものに出逢うには
これしきの災難は我慢しなければならない。
白いんげんの餡と皮のほうにも
味噌の風味がして
二個はぺろっと戴いてしまう。
少々濃いめに淹れた緑茶が合う。
味にうるさい客には奨めるが
そうでない人がやって来たときは
さっと、戸棚に隠すことにしている。
「華麗なる一族」を観ながらみそまんじゅうをほおばる。
・・・・・・・・これ、中流のお楽しみ。
ほんとうにご存知なのだろうか
草むらに棄てられた黄色いランドセルを
ゴミをあさる少年の凍えを
昏い海の彼方へ
呼んでいる老いた人たちの声を
ほんとうにご存知なのだろうか
地獄の門から一斉にあふれでる
ギマンとヒンコンとボウリョクの嵐
チグリスの街が炎上している
少女が妊娠している
人はあなたになりたがり
かつてあなたがそうしたように
ドリーを顕わし
ソドムを熔かした光線をつくり
きょうは原初の赤い星に降りたった
「コトバ」を思いちがいしている
あなたの子供たち
あなたはほんとうにご存知なのだろうか