井戸掘り職人の言うことには、
井戸の底から天井を見上げると
真昼間でも星が見えるらしい。
底に下りて確かめたことはないが
どうやら真実のようだ。
画家・香月泰男も
シベリア抑留時代の体験として
穴の底から見た昼の星を描いている。
人間はまだまだ未発達、
五感で捉えられたものしか信じようとしないが
見えなくとも聞こえなくとも
存在するものはちゃんと存在するのだ。
「噂をすれば影」・・・この体験はよくあること。
相手の持つ波動によって
近づきつつある存在を感じさせられているのだ。
多くの人はその現象を偶然と呼ぶが
そうではない。
通じる筈がないと油断していても
こころに思ったことは波動によって伝わってしまう。
悪意も善意も、そのまま・・・・。
真昼間の星のように誰かの眼には見えている。