嗅覚は、五感の中で最も本能を刺激する
原始的な器官である。
花々の蜜の匂い
動物たちのマーキング。
人間たちも同じ、
匂いに惹かれ、匂いに高揚し
イマジネーションをかきたてられたり
甘いその罠に落ち込んだり・・・。
「ああ、クサッ!」
朝起きて妻の最初のことばである。
どうやら世に言う加齢臭らしい。
インド人の体臭のようにスパイシーなカレー臭なら
結構なのだが・・・・
眉間にシワ寄せて顔をそむけるところをみると
よほどひどいらしい。
自分ではよく解らないので、
だんだん哀しくなってくる。
腸内清掃がいいようなので
いろいろのサプリメントや
エチケット食品を摂っているのだが
効果のほどははっきりしない。
そこでいまは、「塗香」を使っている。
京都から取り寄せたもので
そっと手首に塗りつけておくと
一日中、白檀や沈香の芳香につつまれ
とてもリラックスできる。
「クサッ!」 なんてもう言わせない。
*「塗香」とは、そもそも僧侶たちが修行の際
身を清めるために使用した。