本日梅雨入り。
もうすぐホタルが舞い、暗闇の奥で稲の花が匂う。
ホタルについてちょっと調べてみた。
日本・中国・韓国の詩歌や小説の中にもよく登場し
神秘的で美しい青い光は霊魂を意味し
春の桜、秋の虫の音と同じく夏の風物詩の一つとして
人々の暮らしの中に深く関わっている。
明治から昭和にかけてホタルを天皇に献上し
ホタル問屋という商いも明治時代には存在した。
一方、虫の音を雑音と感じている西洋人は
このホタルについてもFire fly(光るハエ)と呼び
一般的には不吉な光とし忌み嫌っているようだ。
戦死した兵士が
ホタルになって還ってくるエピソードは
涙無くしては聞けない。
野坂昭如の「火垂るの墓」も
戦争の被害に遭った幼い兄妹を題材にした
哀しくも美しい小説。
ホタルは日本人の郷愁のひかりである。
美しい俳句と八木重吉の短詩を一編紹介しませう。
蛍くさき人の手をかぐ夕明り(室生犀星)
蛍火や山のやうなる百姓家(富安風生)
髪にとまれば髪青きなり蛍の夜(見市六冬)
よる
ほたるがとぶのは
息のようだ (八木重吉)