ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

ほたる

2012-06-10 13:28:11 | 日記・エッセイ・コラム

本日梅雨入り。
もうすぐホタルが舞い、暗闇の奥で稲の花が匂う。

ホタルについてちょっと調べてみた。
日本・中国・韓国の詩歌や小説の中にもよく登場し
神秘的で美しい青い光は霊魂を意味し 
春の桜、秋の虫の音と同じく夏の風物詩の一つとして
人々の暮らしの中に深く関わっている。

明治から昭和にかけてホタルを天皇に献上し 
ホタル問屋という商いも明治時代には存在した。

一方、虫の音を雑音と感じている西洋人は
このホタルについてもFire fly(光るハエ)と呼び 
一般的には不吉な光とし忌み嫌っているようだ。

戦死した兵士が
ホタルになって還ってくるエピソードは
涙無くしては聞けない。
野坂昭如の「火垂るの墓」も
戦争の被害に遭った幼い兄妹を題材にした
哀しくも美しい小説。

ホタルは日本人の郷愁のひかりである。

美しい俳句と八木重吉の短詩を一編紹介しませう。
   蛍くさき人の手をかぐ夕明り
(室生犀星) 
   蛍火や山のやうなる百姓家
(富安風生) 
   髪にとまれば髪青きなり蛍の夜
(見市六冬)

  
 よる 
   ほたるがとぶのは 
   息のようだ
(八木重吉)