ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

少年の夏

2012-06-21 19:18:12 | 日記・エッセイ・コラム

夏至・・・・
この言葉を耳にすると 
もうすぐやってくる長い夏休みに少年の胸は膨らむ。

盗み食うトマトの青臭さに初恋を予感したり 
近所のお姉さんの開襟シャツにどきどきしたり 
蝉や蟹や蛍を追いかけ
昼も夜もめくるめく少年の夏は 
ときめきの連続であった。

その中にませた奴がいて 
石ころが熱く灼ける河原に裸のまま整列して
陰毛の長さくらべなど・・・・

そのときからである。
ぼくの劣等感が始まったのは。

「遊びをせんとや生まれけん・・・」 
真っ黒になるまで少年はよく遊んだ。
夕方どこからともなく「笛吹童子」の笛の音が
流れてくると 
少年は走って帰ってラジオの前に正座した。
 ヒャラーリ ヒャラリコ ヒャリーコ ヒャラレーロ・・・

「笛吹童子」  脚本北村寿夫 
         尺八福田蘭童 
         昭和28年NHKラジオドラマとして夕方6時に放送。