ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

神か鬼か

2010-07-25 12:05:57 | 日記・エッセイ・コラム

どこかに落ちているのだろう、
ずしん ずしん 遠く近く
地面に雷鳴がひびく。

風神、雷神、あれは鬼の形相で
とても神と呼べるものではない。
俵屋宗達のそこのところの真意がよくわからない。

それでも鬼子母神という子供を守ってくれる
神の化身の鬼もいるし
鬼さんこちら 手のなるほうへ と
あそんでくれる鬼もいるから
鬼はほんとうは人間に好かれ
愛嬌のあるものだったかもしれない。
あの牙にしても八重歯が少々伸びすぎたと思えば
可愛いものである。

その鬼を怖いものにしてしまったのは、
実は〈 ナマハゲ 〉ではないかと
ぼくは密かに思っている。
 ナマハゲ・・・・・
この呼び名からしても何やら恐ろしい姿を想像してしまう

     群衆の肝は赤色大花火


グルメなじーじ

2010-07-23 17:09:59 | 日記・エッセイ・コラム

食欲のないときこそ
しっかり食べなければいけない。

そこで今夕はホイコーロを作る。
ジャーマンスープが冷蔵庫に残っているので
それも温めなおして食べる。

そもそもぼくは食いしん坊なので
なんでも食べるが
一度だけ何も食べられないときがあった。
股関節手術後の出血多量が原因の
突発性胃潰瘍になり
その治療薬によってどんどん衰弱していった。
食べ物の匂いを嗅いだだけてムカムカし
完全に拒食状態。
途中、自分で気づいて薬を止めたので助かったが
新薬を実験的に使われたのである。

あのまま、あの医者の言うなりに
服用しつづけていたら・・・・・・・
思い出すたびにゾッとする。
医者を信頼するのは大切なこと、
しかし盲信してしまうのはとても危険。

ぼくは贅沢好みではないがグルメであると思っている。
一切れのお新香にも 一杯の味噌汁にも心くだいて
常に美味しく戴きたいと思っている。

     Tシャツ脱ぐ皮膚を一枚剥ぐごとく


先生のウナギ

2010-07-22 23:40:37 | 日記・エッセイ・コラム

〈 昨日のウナギの所為か今日は一日体が軽い 〉
近いうちにもう一度連れて行ってくれと
女房が言う。

ウナギはあまり好きでなかった筈、
食べたいなんて言ったことはないのに・・・。
初めての「ひつまぶし」がよほど気に入ったのだろう。
また連れていくと約束する。

ぼくには決して忘れられないウナギの想い出がある。
詩人阿久津哲明先生が河原で焼いてくれた蒲焼。
眼前を流れる余笹川で先生が自ら3本捕らえたもので
石ころの間に炭を熾して焼いた。
タレだけは知り合いのウナギ屋さんから分けてもらったが。

まさに天然ウナギの芳ばしさ!
これを越える蒲焼には出会ったことがない。
いつまでもぼくの記憶から消えることはない。

そのひと月後、
余笹川の氾濫で
先生は家ごと濁流にのみ込まれてしまった。

ウナギを食べるたびに
あの美しい余笹川の流れが思い出される。



暑気払い

2010-07-21 23:15:06 | 日記・エッセイ・コラム

このところずっと5匹をキープしていた屋敷猫に
2匹の仔猫が加わった。
ひとの姿を見つけると一目散に
藪へ逃げ込んでしまう。
とても可愛いが
野良の産んだ子は生粋の野良、
ひとに慣れるのは難しい。

夕刻になっても気温が下がらない。
わが身大事、
暑気払いの鰻を食べに行く。

宇都宮市内の青やぎという鰻屋。
個人の住宅を改装したもので
いくつかの部屋に分かれ
どこか隠れ家的な気分にもなれる。

玄関にならぶ履物の数に驚かされた・・・・
静かなのに盛っているのだ。

〈 ひつまぶし 〉を注文する。
初めて入る店だが
女将さんの対応もよく
坂東太郎という銘柄の鰻もなかなかの味であった。

帰りにパンを買うつもりだったが
人間、満腹になると、もはや横着そのもの。
次の仕事はどうでもよくなって
パン屋の前を素通りする。

     向日葵の仰ぐかなたに昼の月


季節の中で

2010-07-21 11:46:57 | 日記・エッセイ・コラム

内にいても 外に出ても
人ごとに聞かされる言葉は
「暑いですねえ!」
その言葉でいっそう暑苦しくなる。

夕方 里山の麓に住んでいる農婦を訪ねると
シャワーで汗をながし
野良着から普段着に替え
爽やかな支度で待っていてくれた。

父親と二人暮らしだが
野菜を作り 花を育て豊かな日々を送っている。

「暑い!」 と百万遍唱えたところで涼しくはならない。
生活の中で上手に季節と付き合っている
彼女の心がけに感心させられる。

帰りがけ 小粒の紫玉ねぎを戴いたので
ピクルスにしようかと思っている。

       ひぐらしの声に送られ山下りる