ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

真夏の夜の驚き

2010-08-17 11:40:18 | 日記・エッセイ・コラム

10年ほど前、こつぜんと失踪し
それっきり何の音沙汰もない友人、
ぼくはとうに死んでいるとおもっていたが
最近になって生きていることが判った。

東京のある地区でホームレスの中に彼を見つけ
言葉をかけた人物の話である。
「皆 心配してるから一度家に連絡したら」
と 伝えたそうだ。
彼は何も応えなかったが
あきらかに彼本人であって
人違いなどでは決してないという。

この頃急に百歳以上の老人の所在不明が
取りざたされているが
結局は彼のように突然、
家族を捨て ふるさとを捨て 絆を捨てて 都会の隅で
ゴミのように暮らし やがて病死や事故死など
だれにも知られないままこの世から消えていく。

しかも家族が死亡届や失踪届を出さない限り
彼らは永久に生者として生き続ける。

Sよ、そんなところで朽ちていくなんて
悲しくはないか・・・・・・

       生きていることのよろこびつくつくほうし


ハレム

2010-08-15 14:58:36 | 日記・エッセイ・コラム

 アッチッチ アッチッチ 体が燃えるよ
 アッチッチ アッチッチ 心が燃えるよ

アイスノンで頭と脇の下を冷やしながら
郷ひろみのフレーズなど口づさんでいる。

熱中症でひとがバタバタ倒れる
まさに殺人的猛暑。
体に熱を溜めないようにひたすら水を、水を・・・・

届いたばかりのサラブライトマンの『ハレム』を聞く。
アラブの伝統的歌謡と現代的なビートが交互に
魂へとびこんでくる。
サラのもうひとつの魅力。
音量を上げてリズムをとっていると
いつの間にか暑さを忘れている。

長いブログは読んでくれるひとも大変、
きょうは これまでとしませう。


迎え盆の日に

2010-08-13 16:59:35 | 日記・エッセイ・コラム

ぼくの詩の理解者である男が亡くなった。

コロッケをもって訪ねようかと思っていた矢先のこと。
そのうちに、そのうちにと延ばしているうちに
こんなことになってしまった。

13日、大勢のご先祖さまが還ってくるというのに
まるですれ違うように彼岸に旅立っていった。

里山を愛し 里山の自然を守り
元気なころは幾日も山にこもり
夜行性の禽や獣の写真をとった。
それらの作品はNHKテレビにも紹介され
その分野では名の知られた写真家でもあった。

短歌を詠む彼とぼくの中には同質の血が流れていて
あまり喋らなくとも理解し合うことができた。

去年の今頃、
屋敷にはキツネノカミソリがびっしり咲いていて
わが家にも株分けしたいと話したことが
鮮やかに想いだされる。

享年82歳 やっと愛妻に再会できる・・・ご冥福を。

      日暮れてふくらみゐるや盆の村


少しうれしく少しほのぼの

2010-08-12 18:33:30 | 日記・エッセイ・コラム

昨年の秋、歌曲コンクールで
ぼくの詩「雲」を歌って入賞したソプラノ歌手が
那須からの帰り道、家族を連れて来館した。

今年の6月にも津田ホールで会うことができたが
来年、宇都宮市でコンサートがあるらしく
そのときも「雲」を歌いたいと言ってくれた。
出会いが少しづつ緩やかに広がっていくのはうれしいことだ。

海外研修のためお盆には帰れないからと
妹が日帰りでやってきた。
短時間なのでお喋りもそこそこに
夕方、宇都宮駅まで送りながら「青やぎ」で鰻をたべる。
〈ひつまぶし〉は邪道だと
彼女は正道の(?)うな重を注文する。

他の客の調理中にもかかわらず
ご主人と女将さんが
玄関の外に出て見送ってくれた。
少しうれしく少しほのぼのとしたここち。

京都のわらび餅をみやげに友人が訪ねてきた。
第二ステージ夢の実現にむけて具体的に
動き出したようだ。

        落蝉の腹くすぐれば風の音


シルクロードをやってきて

2010-08-10 00:23:27 | 日記・エッセイ・コラム

知り合いのブドウ園に行ってきた。
毎年、美味しいブドウに出会えるのが楽しみだが
今回は少し時季が早かったようで
たくさんの種類のブドウには出会えなかった。

ブドウの日本への渡来ルートは
奈良時代にペルシャ・唐・新羅を経由して入ってきた。
正倉院宝物殿には葡萄唐草文の染織品が納められている。
おそらくその時代のブドウは、
珍しいだけで美味しいものではなかったろう。

かつてライン河沿いのブドウをつまんだことがあるが
ほんとうに不味い味だった。
勿論、これはワイン用に栽培されたもので
果実として食べるものではない。
こんなに不味いものが時間とともに
芳醇なワインに変化していくことの不思議さを
古いシャトーの地下室で味わった。

人間の欲望は尽きることがない。
 大きいものはもっと小さく
 小さいものはもっと大きく
あと20年もしたら巨峰をはるかに凌ぐ
一粒がリンゴほどの巨大なブドウが出現するにちがいない。

     
鳴きながら次元超えゆくつくつくほうし