昭和40年から50年代には全国で大繁殖し,
電車で通る河原の空き地などはこの季節になると,
どこもこの花で真っ黄色に染まり,一種の脅威を覚えた.
同属のアワダチソウ(別名アキノキリンソウ)より,背か高いところから,
セイタカアワダチソウと命名されている.
北アメリカ原産の帰化植物で,キク科アキノキリンソウ属の多年草.
日本には第2次世界大戦前に園芸用として導入された.
戦後急激に増え,40年代には日本全国で前述のような状況で,
日本在来のススキなどが生存競争に負け,なくなるのではとの心配もされた.
しかし,60年代から平成の頃になるとその繁殖の勢いもなくなり,
以前は2mを超える背高ものもたくさんあったが,
それも低いものが多くなってきた.
この植物の根からは他の植物の発芽を抑制する物質が放出され,
一時的に他の植物を駆逐するが,
その物質の濃度が土に高くなると自らの発芽も抑制される.
その結果,一時のような繁殖力がなくなってきたといわれている.
また,あまりにも増えたときには憎たらしかったのか,
秋の花粉アレルギーの原因物質とされたが,それは濡れ衣であった.
セイタカアワダチソウは養蜂にも利用される虫媒花,
風媒花ではないので花粉アレルギーの原因物質にはならない.
写真上は昭和記念公園にあった背が高いセイタカアワダチソウの群生(15本程度).
写真下は多摩市小栗川の水辺すぐ近くに
一本ぽつりと咲いていた背の低いセイタカアワダチソウ.
あまり増えなければ園芸用として復活させてもよいと思える程きれいである.
秋の夕日を背中に浴び歩いていた.
目の前に現れた我が影は背が高く,足がとても長かった.
感激してしまった.
秋の日や 八頭身の 己が影