松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

【介護メモ】11月_住宅改修工事 他

2010-12-12 | 花熟帯落-玄冬・老いの風景-
■11月1日

先月下旬に申請していた住宅改修工事の
認可がおりたため
さっそく工事にとりかかることに。

バリアフリーはなるべく避けて
自力で少しでも動けるように(ケアマネさんからも強くすすめられた)
との方針でお願いした。
現状では玄関からの出入りは難しいと
車イスごと乗りつけるように裏木戸口からの出入りとする。
一応玄関口にも手摺等を設置する工事(自費工事分)を行う計画。

裏木戸から車イスで軒下まで移動し
階段状の敷石を昇降して(両側に手摺あり)
そこから部屋までは伝い歩きで移動できれば御の字だが
立ち上がることがまだできないので四つん這いでの移動。
なるべく四肢を動かす目的もあってのこと。


■11月4日

一応工事が終わる。天候の影響を受け、
地均し目的のために敷設したコンクリートが乾くまでに
やや時間がかかるらしい。
使用可能になるまでに10日間ほどかかるそうだ。

実際に使えるのは再来週以降か。


■11月20日

迎えにくる介護士さんから
工事もすんだというのにどうして使わないのかと
きかれたらしい母。
じつは玄関に近い部屋から移動する際に
父は玄関からの出入りをしたがっているのだ。
しかし介護保険の補助を受けて改修工事をしているので
使わないわけにはいかない。
つまり税金の無駄使いになってしまうわけだ。

しかし母は介護士さんから責められたと思い沈み込む。
介護士さんの言ってる意味は理解しているのだが
その口調からなのか母には叱られたと感じているようだ。
母には幼少期のトラウマがあり
失敗することへの恐怖感緊張感へとつながり神経過敏になる。
持病の自律神経失調症があるだけに
この兆候はちょっといやな感じ。
なんとかやり過ごしてくれるといいのだが…。

とりあえず今月の教室は午後からの参加なので
迎えの時間だけは一緒に立ち会える。
だが自分ひとりの時とは
介護士さんの態度が微妙に違うと母は言う。
送迎担当の介護士さんは交代制。
否定はしないが同調もしない。軽く受け流す。


■11月22日

定期診察を受けに病院へ。
今月も弟が時間休を取ってクルマをだしてくれた。
玄関に設置した電動昇降椅子から自力で立ち上がり
伝い歩きをしようとする父をみて
先月よりもまた一段と回復していると驚いていた。

診察ではとくに異常もないとのこと。
デイの計測ではいつも血圧が低いと
連絡帳に記載されていることについても、
いまの体の状態ではそれが適性なのだと思われるので
とくに心配はいらないとのこと。
少しずつ運動機能が回復してくれば
それに応じて筋力も改善されてくるだろうから
いまは無理のない範囲で
なるべく動くように心がけてほしいと言われて頷いていた。


■11月23日

祝日でもデイは通常通り。
きょうから裏木戸の出入りを使う。
なんとなく母の様子が興奮ぎみに感じる。
ムキになっているんではないか?気のせいかな。
父は部屋から四つん這いになって移動。
玄関の方がラクらしい。
うーむ、どうしたものだろう…。

しかし居間からの出入りは思いのほかスムース。
手摺を使ってうまく転身もできた。
見た目はそれほど手間取っているようには見えないが
あとは本人の感想しだいか。

きょうの介護士さんは
なかなか好い感じで母とコミュしてくれている。
どうやら母もホッとしてるようだ。
やっぱり力んでたんだなぁ。


そして夕方、デイからの戻り。
今度は行きとは逆パターンになる。
車イスから立ち上がり手摺を使って家に入ったところで
介護士さんが送迎車に戻られるのを
お礼を言いつつ見送って車イスなどを片付けがてら
父のもとへもどってみると、
すでにひとりで部屋に戻ってしまっていた。
ものの数分のことだったのだが、
母が驚いて部屋をのぞいてみると
ベッドに腰掛けてひとりで着替えを始めていたそうだ。

いままでやれることは自分でやろうと言っても
自分では着替えもしなかったのに
どうしたのかと思って尋ねたところ、
居間から部屋までそのまま壁を伝いながら歩いてきたのだという。
本人もまさかひとりで歩けるとは思ってもいなかったらしく
呆然としながら自然に着替え始めたところだったらしい。

いやもうビックリ。母と二人してすごいねの連発。
本人はなかば照れくさそうにしてたが
やはりうれしかったのだろう。
その日はいつになく母に向かって
デイの様子を話したそうだ。

母はその晩弟に電話をかけ、
2月以来はじめてひとりで伝い歩きしたことを報告。
父以上に母は嬉しそうだった。
それはそうだろう。希望の光りが一段と輝いたのだもの。
父にとっても大きな手応え、自信となったのではないかと思う。

慌てなくていいから少しずつでいいから
あきらめずに自らの人生を生きてほしいと思う。
歩けない自力排泄が困難なだけなのだからもったいないと
担当医もケアマネさんも介護士の方達も
声を揃えておっしゃっている。
父自身がそう思ってくれることがいちばんなのだが
どうかな?