松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

太極拳養生という考え方-私見・太極拳導引03-

2018-04-13 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
不定期更新している太極拳導引考察。
ときどきこうやって
自分の理解内容を確認してみることも
学習のうちと書き留めているものなので
ほぼ自分用の備忘録のようなもの。



太極拳導引は太極拳の動きをもって
心身の運動機能の質を向上させることで
元気、健康、長寿をめざす養生法。


太極拳は武術ですが、
われわれは養生にいかすことを
目的としていますから
武術的な理解はごく基本的レベルまで。
まずは武術としての動きを理解した上で
導引的アプローチによる
意識を反映させた動き方へとアレンジ。
ベースとなる太極拳本来の姿をイメージして
導引的に動くのが太極拳導引。


太極拳導引の鍛煉は日常生活における
心身活動の質を向上させ
心地よく愉快に生きるための
智恵の修得をめざしているといっても
いいのかもしれません。

理にかなった動き方、身体の使い方、
対象と自身とのスタンスの多様性、
さまざまな事象、対象との程よいバランス。
状況に応じて
自身を自在に変化させることで
結果的には状況そのものを
コントロールしているような状態に導く。
そんな技を身につける。


状況や対象に対抗するのでもなく
逃れるわけでもない。
自分の尊厳(中心・芯)は揺るがすことなく
受け流す。

じつのところ、この受け流すのが難しい。
やっかいなこと、ものほどに
受けとめてしまえばストレスそのもの、
流す(スルー)ばかりでも新たなストレスに。
受けたそばから直ちに流す。
これをできるだけスムースかつ自然に
さらりとできたなら…。


そして個人的には親の介護と看取りの際にも
太極拳導引で得た経験が支えとなりました。
平常心を保っていれば
たいていのことは無事に過ごせます。

練習メモ_単鞭

2018-04-11 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
ここ数年ほど、専科の練習套路は伝統楊式となっている。
今期の伝統楊式は套路を通した後に
特定の動作を対象にして集中検証していく方式。


ということで今月は単鞭。

まずは前回(上肢の動きの検証)の復習をし、
それから今回の下肢の動きの検証へ。
下肢の動きを細かく分解しながらの解説。
内容的には股関節の使い方の確認が中心かと。



解剖学的にみれば
股関節と肩関節は似た者同士だが、
股関節の方が構造的に安定している。
それは肩関節が脱臼しやすいのに比べて
股関節は脱臼しにくいことでもわかる。
なぜなら頭部を含めた上半身を
受けとめ支えているのが股関節だからだ。

身体の構造からみても
上体の動きのきっかけは下肢の運動であり
下肢の動力を上体に伝えるポイントが股関節になる。
股関節をうまく使えるようになることが
上体の動きの質を決める。
安定した下肢の動きに支えられることで
上体の運動時の力み(緊張)も軽減されて
更にリラックスできるだろう。


個人的には
左右の股関節の協調
開合のタイミングと重心移動
体軸との関係などが課題になるのかなと。