松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

理論講座を終えて、そろそろ1ヶ月

2011-08-25 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
先月の理論講座から
そろそろ1ヶ月が過ぎようとしています。


改めて確認したことがありました。
理解の程度がまた少し深くなったというか
視野が広がったというのか。

今回印象に残ったいくつかのこと、
たとえば

  循環する(繰り返す)からこその太極拳
  安定したリズムから安定した循環が導かれる
  連綿不断

などがあります。
そしてこれらに共通するものは連続性です。
止まらない。
連続しているから動きが変化し
変化し続けているから連続して動いている。

動作は意から始まり
重心が移動していくことで運動が起ります。
意は一点に集中することで
やがて全身を巡るかのように感じられます。

集中は意識を一点に集めることで
生じてくるものと思っています。
ひとたび集中状態が生じたら
今度はその状態を途切れさせないように
継続させていくことに集中しているというか。

その具体的なやり方を
今回の講座で教わったような気がします。
つまり理論講座とは言っていますが
その内容は実践練習を通じて理解することが
メインだったような印象を持っています。
具体的な練習目的をイメージして動いていくことの必然性と
イメージの描き方を確認したような気がしています。


理論講座 備忘録ー循環周流に意識ー

2011-08-03 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
■はじめに

いよいよ中級講座も最終回を迎えた。
これまで練習の合い間に
何度となく聴いてきた内容ではあったけれど、
改めて集中的に聴講しながら
一点ずつ整理し確認できたことは
これからの練習にいきてくるにちがいない。


最終回のテーマは
総括的な内容といえるかと思う。

循環周流は前回の連綿不断と同じく
連続して止まらないイメージだが、
前回が連続状態となるための
具体的な動き方へのアプローチだとしたら
今回は連続して動くために必要な
内なる意識のあり方へのアプローチ
とでもいうのかな。

そして今回もまた
循環と周流とに分けて
それぞれの意味を考察していく。
解説のなかで掲げられる事例にも
自然の理ともいえる概念に触れることになる。
現代感覚的な思考に慣れ切ってる頭には
伝統的思考に則った運動は
新感覚のようでもあるけれど、
身体的にはどこか懐かしくもあるような
何げにしっくりと感じてみたりと
なかなかにおもしろい。
これもまた古人が求めていたものを
連綿と受け継いできた証とでもいうのだろうか。




■循環は繰り返しの意味

連続で止まらないイメージには
直線と円線とがあるが
循環の場合は円線(圓)のイメージとなる

円のイメージが象徴するものは
始から終までを一区切りとした空間・時間が
何度も繰り返されている状態
 →終わりは始まりでもある状態

 例…植物(種→発芽→開花→結実→種…)
   時間(昼→夜→昼…)
   季節(春→夏→秋→冬→春…)

☆上記のように周期に要する時間の長さは
 それぞれ異なるが、
 すべて次々と交代を繰り返すことで
 連続していくのは同じ


始め(元)に戻りながら
繰り返して連続する状態を循環とし
それを象徴するイメージが円線
 →太極イメージもまた円線で表現される




■周流はリズムの意味

周…節の意味
   →始まりから終わりまでの一区切り

*循環は節(周)の交代が繰り返し行われている状態
 ともいえる


周流…リズムの意味
    →節(周)の交代を安定させるもの
     交代が安定することで流れがみえてくる
     流れ=リズムということか


リズムのつくりかた

1.動きから

動作には6つの動きからなる

   開(ひらく) 闔(とじる・あう【合】)
   昇(のぼる) 降(おりる)
   屈(まがる) 伸(のびる)

どんなに複雑にみえる動作でもこれらの組み合わせとなる
それがわかっていれば慌てなくて済む→心静

これらの動きに基づいてリズムをつくる


2.呼吸に合わせる

本来の導引法ではこのアプローチとなるのだが
太極拳導引では自然呼吸とし、
呼吸に合わせて動くことは推奨しない。

それはなぜか。
呼吸は意識的にコントロールすることが
できてしまうので、
無理やり合わせようとすれば
太極拳導引の要求と異なる状態に陥ってしまう
場合が少なくないからだ。

それ相応の段階にいたるまでは
呼吸を意識しないことの方が
むしろ本来のリズムをつくるためには
重要だったりするのだろう。
そうでなければ
安定した循環につながるとは思えないから。


結局のところ、循環も周流も
両者がめざしてる状態は同じなのではなかろうか。




冒頭でもすでに触れているが
前回と今回のテーマは重なりあうところが
少なくないように思う。
連綿不断、循環周流
繰り返し連続し止まることをせず。
変動、変化、交代の安定いかんによって
流れの状態も質も変動し変化していく。

しかし皮肉にも、
もっとも安定した状態は停止状態だ。
したがってより安定した状態を求めようとすれば
限りなく停止状態に近くなりながら
止まらないでいることになる。
もしくは動いてないように見えるくらいに
高速運動を行うかだろう。
そしてごく普通に考えれば
前者を選ぶように思う。
誰だって無駄に疲れたくはないからなあ。


できるだけゆっくりと動く。
できるだけ長い時間をかけて動き続ける。
そうやってつくられるのが
各人各様のリズムだ。
そしてそのリズムこそが
各人各様に相応した健康に
つながっていくものかと思う。

太極拳導引の鍛錬目的もそこにあるものと思う。