松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

練習メモ 重心_02

2012-03-29 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
早いもので重心を主要課題として
教室内での練習は先週でひとまず終了。
収穫の多い練習ができたように思います。



・たかが重心、されど重心

重心をつねに体感できるようになるだけで
これまで思っていた安定のイメージとは
変わってくるような気がする。

重心の所在がおぼつかないと
身体がフワフワして
地に足がついてない感じがする。
まさに浮き足立った状態。
マリオネットをうまく操る人は
この辺りがすごくうまいのである。
ヘタな人が操る人形は重心が定まらず
バタついた動きになっている。
人間だって同じなんだなと思う。

重心なんて新たに作り出したわけじゃない。
はじめから(そこに)あったものだ。
ただそれを明確に感じ取れなかっただけ。
太極拳導引を始めるまでは
これほど注意深く意識したことはなかったかも。
注意する内容や質が変わったというか…。
当たり前だと思って
気にも留めてこなかったことが
じつは、なくてはならない大切なものだったりする。
人間って賢いのか愚かなのか、わからん。



・動く、運ぶ

これまでの練習で検証してきたこと。
動きは動きたいと思った時点ですでに始まっている。
あとはそこに向かって体が運ばれていく。
体を動くべき方向に運ぶのが重心。
重心を導いているのが意…かな。

重心は直線上を移動するが体の動きは旋(回転・螺旋)となる。
これも当たり前のことなんだろうけど、
改めて身体を通して確認というか、
感じ取れたような気がする。

身体の中心から動くというが
そのように動いてやろうと思ったら
動けなくなる。
意を働かせれば動けるものを
わざわざ動かしてやろうとすることはない。
意を動かして体を運ぶ。

意の働きもまた、本来備わっているもの、あるもの。
これも習練の過程で感じられるようになるものだと思う。


(改題)練習メモ 重心_01

2012-03-19 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
今月の専科クラスは重心をテーマに各自が個人練習しています。
重心一つに絞って練習していても
身体操作が変わってきています。
目に見えてかどうかは自分ではわかりませんが
自身の中での変化は著しいものがあります。




・重心をどこで感じているか

現状では丹田かどうかは自分ではよくわからないが
下腹部の奥の方に何かあるのは感じる。
意識がそこにあると
さまざまなものが整いやすくなることには気づいている。
でも放っておく。自由にさせておく。
たとえば、これを使って動いてみようなどとは思わない。
存在を意識している(感じる)だけ。
動きの目的に従って生じる意念によって
ここは動いているのだろうなと、いまは思っている。
だから“なるがまま”にしておいて
内外のバランスなど状態の変化を観察している。

自分の現状はといえば、
動きによって重心の感じ方が左右されている。
丹田らしいところで重心を感じられる動きもあれば
体幹でないと感じられない動きもある。
そうした状況がなぜ起きてるのか
そこを考える。

重心を感じにくい動きについて
あれこれくふうして動いてみては観察(検証)する。
何度も何度も動いてやってみる。
ときには鏡面動作としてやってみたり
感じやすい動きと動き比べてみたりして
視点を変えてみたりもする。
それらの目的はなるべく中心の核や内部の動きの状態を
自分で確認しやすいような動き方をみつけるため。
目的がはっきりしてれば、日常動作でだって練習できる。

そうやって見つけた
新たな動き方(身体の使い方)のポイントを
さらに何度も繰り返すことでならしていく。
感じ方の弱かった動きが安定してくれば余裕がうまれ
さらに重心を感じることができるだろう。

動きがスッキリしない動作や
窮屈だったり不安定な動きというのは
重心の所在が感じ取れていないか弱いのである。
そりゃ当然だろうなと思う。

そういう当たり前のことを改めて確認している。
これまでも何度もやってきたこと。
その度に動きが変わってくる。
少しずつ少しずつ変わってくる。
楽しい、じつに愉快。


今月の課題 「鬆(松)と静」「重心」その2

2012-03-08 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
「鬆(松)静」の次は「重心」です。


重心は体重の中心。
運動は重心を移動させている状態です。

たとえば体と重心が移動する運動の他にも
独立のように体の移動はなくても
両足間で重心の移動が行われるような運動や
重心が移動しない回転運動などがあります。
運動は重心の動きである以上
重心の中心を意識できるようになることが
無理のない本来の身体の動き方に
近づくことになるのではないのかな。


で、今月の課題は「体重の中心(重心)に意識する」。
練習時に意識するのは重心の動きです。

重心の動きには範囲(可動域)があります。
このことについては前回の講座でも解説がありました。
(*リンクしておきましたので
よかったら参照してみてください。)


重心をどこで(どこに?)感じるか。
これは放鬆の程度によって
感じ方が左右されるような気がします。
身体が緊張状態にあったり
強ばっているような状態にあれば
感覚も粗く大雑把になるような気がします。




◎講座メモ◎

重心…体重の中心

重心の意識は3段階で進化

 1.体幹(肩から骨盤までの範囲)

 2.腰・腹

 3.丹田(重心の中心、ポイント)




練習のポイント…重心の動きに意識

 ・上下…立(上限)坐(下限)

 ・左右…両足間

 ・回転

上記3段階ごとに3つを意識して練習する


今月の課題 「鬆(松)と静」「重心」その1

2012-03-05 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
ということで先日、第2期理論実践練習講座が開かれました。
初回となる今月のテーマは「鬆(松)と静」「重心」です。



■鬆(松)・静

太極拳導引ではもっとも重要というか
基本中の基となる要求が鬆(松)と静です。
そして基本であり、おそらく最終的に還ってくるのも
ここなんじゃないのかなと思うくらい、
練習を積めば積むほどにその大切さがわかってくるようです。
ですから、鬆と静については今期の月イチ講座でも
毎回確認する内容となっています。


鬆(松)は中国語の発音ではsong(ソン)
よく「放鬆(松)」fang song(ファンソン)といわれます。

「放」は「はなつ・ほうる」
「鬆」は「ゆるむ」

放鬆のイメージが何となく思い描けるのではないかしらん。
これができるようになると、放鬆前の状態を
より詳細に把握できるようになります。
つまり現状と異なる何かしらの変化現象を体験することで
はじめてそれ以前の状態を理解できるというか。

放鬆を意識して動くことを続けるのは
変化そのものを感じることに主眼があり
変化の程度については
現段階では問われないのではないかとも思う。
動きあるところに変化は起きるのだから
まず目指すべきは変動を実感できる状態になれることかな。
それが放鬆への扉の前に立ったことになるのかなと。
そして放鬆は主に体に対する要求とはいえど、
体の内側からの影響も少なくないと思われるし。
で、次なる静と続くらしい。



「静」は内面的な要求となります。
「入静」ru jing(ルゥジン)といわれたりします。
気功やヨガ、仏門の修養などでもききますね。
おそらくはさほどの違いはないのかもしれません。
静かで落ち着いた状態になると
いままで気づけずにいたことに気づいたり
人によっていろいろ感じるみたいです。




◎講座メモ◎

太極拳導引はイメージ、意識で動くもの。
(何をイメージしているか、どこに意識しているかによって
同じように動いてるように見えても中身は異なってくる)




「鬆」は体のメイン意識。その意識の段階は3つ。

 1.力鬆…筋力をゆるめる。動きに必要な最低限の筋力にとどめる

 2.体鬆…体の密度が変わる。膨らむ。
        固まっている状態から拡散する、太くなるような感じ。

 3.形鬆…とける、溶解。空気と渾然一体となった感じ。



「静」は内部に対する要求、意識。段階は3つ。

 1.無外…周辺は無視して練習する
        視而不見、聴而不聞。
        (みえてもみない、きこえてもきかない)

 2.無欲…欲を持たずに練習する
        事例:成敗(うまくいくか、いかないか)        
           得失(得られるか、失うか)
           美丑(うつくしいか、そうでないか)

 3.無情…感情を用いない、持ち込まずに練習する



第2期 理論実践練習講座始まる

2012-03-04 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
今期は月初めに1回ずつ開講し
その月の課題として全員が同じ要求内容に基づいて
個人練習することになります。
内容は前回と変わりません。
専科クラスの練習内容の核となる
太極拳導引でいったい何を練習していくのか
という具体的な中身です。

期間は半年くらいを目安としており、
一年を通して同内容を2回繰り返すことになるらしいです。
というか、これからも定期的に実施されるそうです。
それは新たに専科クラスで練習する人への
オリエンテーションの意味合いもあるでしょうが、
要求内容そのものが何度も繰り返し確認することで
理解が深まる性質のものだからだろうと思います。

はたして前回の理解内容がどの程度だったのか。
頭でわかったことがどこまで体現できているのか。
個人練習で自ら求めようとしている方向性にブレはないか、
間違ってはいないか。
これまでに新たに確認しておきたいことが出てきてはいないか。
疑問に思うことはないか、などなど。

たのしみです。