松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

祈り

2011-03-31 | 日常雑記-暮らしの逸話(エピソード)-
生誕100年特別展『白洲正子 神と仏、自然への祈り
(東京・世田谷美術館)へ行ってきました。

この時にこのような催しがあったこと
ほんとうに嬉しく思いました。
どんなにヘタレといわれようが
このところの自分が
精神的にまいってきてることを
感じていたからです。

日本の文化のバックボーンとも言える
神仏、自然への祈念。
自然への畏敬から神を思い
厳しい現実界を生き抜くための
よりどころとなった仏像や曼荼羅絵から
屏風絵や面などにいたるまで
白洲正子さんがその美を愛でた展示品は
大らかで静かで
あるものは肚の底からわき上がるように力強く
またあるものは愛らしく
清々しく潔い気品にあふれていました。


それらを拝観していると、
もしかしたら日本の精神性の根っこは
祈りにあるのかもしれないなと思えてきました。

この世には人智の及ばないことが確かにあり
そのものの前ではなす術もなく無力であることを
思い知らされればこその畏怖や謙虚さが。
そして深い祈りのなかからうまれてくるのが
謝念や信念なのかなと。

そうでした。
いつの時代もみな悩み苦しんできたのです。
未曾有な出来事はいつの時代にもあったのです。
その度に乗り越え生き延びてきた人達がいたからこそ
いまがあるのです。
だとすれば私達もまた…



東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)から2週間

2011-03-27 | 日常雑記-暮らしの逸話(エピソード)-
この度の地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
そして不幸にしてお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。



2011年3月11日
あの大震災から2週間がたちました。
震源地から離れた東京でも強く揺れました。
我家の屋根は損壊し
いまだ修理の順番待ちの状態です。

あの日のことは何だかよく覚えていません。

地震を体験するまでの自分と体験後の自分。
うまくは説明できませんが
確かに違ってきていると感じています。
体中が細胞単位で揺り起こされたかのような
強烈な目覚め体験をした感じがします。

日に何度と繰り返される大小の余震は
いまだ非常時にあることを身体を通じて意識させ
被災地の状況が少しずつ届きはじめ
ようやく被災地と自分と日本の状況を
認識したように思います。


思い出せないものは
いま思い出す必要がないのです。
たぶんそういうことなんだと思います。

この2週間という時間は
家族と私がいま直面している問題を
なるべく冷静に対処することを中心に
費やされてきました。

いまもなお現場で
多くの方々が危険をかえりみずに
頑張っていらっしゃいます。
彼らの思いに応える意味でも
自分よりも少しでもリスクを抱える人や地域に対して
思いをかけることを惜しまず、
まずは自分がやれることから始めました。

事あるごとにある種の覚悟、
それも大それたものではない
しごくささやかな覚悟を
ひとつずつ積み重ねてきた2週間でした。







「Pray for Love」【東北地震応援ソング】 Tribute Song for Japan's Earthquake Victims




交流会を終えて

2011-03-03 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
先日、恒例の渋谷区民太極拳大会が開催されました。

個人競技部門は孫式太極拳で
集体表演部門は孫式、太極刀、楊式に参加しました。

今年は10回目の節目の大会でもあるからか
採点方式の個人部門は
さらに競技会モードが色濃くなった印象。
コート数も3面に増えたために
撮影班は各コートの進行ぐあいを確認しつつ
移動しなければならなくなり
例年以上に負担が大きくなってしまったかも。
お手数かけました。どうもありがとう。

大会が盛大になっていくのは
関係者の皆様の尽力の賜物ですし
すごいことだなと感心するばかりですが、
私たちの教室は初期の頃と変わらず
交流会としてのスタンスでとらえています。
競技部門であろうとも
教室での練習と何ら変わることなく
各自の課題に向き合い
導引的アプローチで取り組んでいます。


個人部門ですが、
今回初めて最終組での表演となりました。

待たされている感が常にありました。
最終組にもかかわらず、第1組が始まる頃には
コート脇に集合させられましたし、
底冷えする体育館ですから
ウォームアップは欠かせません。
常にざわついてて落ち着かない雰囲気。

でも最終組の利点にも気づきました。
待機する人が減ってくるにつれて
占有空間が広がり始め、
自分の間合いを確認しながら
調整ができるんですね。
しかも今回は既に表演し終えたpantaさんに
不安のあった足指のケアまでしてもらえたし。
教室でやってるときと一緒だったわ…

待たされてはいたけれど
待ちくたびれることはありませんでした。

表演は最後の最後に
ちょっと問題があったけれど、
詰めの甘さはいつものことなので
日頃とさして変わらずだったのではないかと
思っています。


集体部門の方は
個人的にはドラマチックでしたね。
自分に足りてない部分、課題が
ものの見事に表出しました。

これは個人部門をも含めて共通することかと
思いますが、
やはり落ち着いていることが一番なんだと
思い知らされました。

昼休み直前の確認練習のときのこと、
ワックスの状態なのか
足下が妙にひっかかる箇所があることに
気づいてたのにもかかわらず、
ちょいと右足を捻ってしまいました。
まさかこれが後々影響してくるとは
思ってもみませんでした。


最初の演目は『孫式太極拳』。
全員で練習したのは数えるほどでしたが、
細かいところであれやこれやと
みんなで悩んで練習した甲斐がありました。
これも本番に強いという伝統の力なのか
導引効果なのか。

次の演目『太極刀』。
孫式の表演からさほど間がないため
短時間で着替えねばならなかったのですが、
運悪く更衣室が満杯で手間取り
皆が集合してスタンバイしてるところへ
駆け込むのがやっとという有様に。

じつは捻った右足に違和感が出始め
テーピングしたかったのですが時間がなく、
さらにはバネ指でテーピングしていた右手に
サポーターを着用するのも忘れてしまってました。

まったくもって冷静とはいえない状況。
自分でもマズイと解っているが故に
なんとか落ち着こうと気持ちが先走る。
動揺が静まる間もなく
表演が始まってしまいました。

うわっ、やっちまった~!
いままで一度もしたことのないことを
本番でやらかしちゃいました。
刀の刃の向きが逆でした。

起勢直前に(刀盤の感触の違いに)
気づいたもののすでに遅く、
刃の向きを視認したときには
バクバクです。
どこで修正する!?
運悪く自分が先導する形が続きます。
頭の中がスパークしましたね。
最初のもたつきはそれが原因でした。

何とか修正できたと思ったら
今度はサポーターをし忘れた右手の
テーピングテープに
シルク製の刀彩がひっかかり始め
まとわりつきます。
しかし手で払うことはできません。
“しんぼーだ、しんぼーだ”と
言い聞かせながら…

終始浮ついた表演になってしまいました。
いままでこんなことはなかったと思うほど、
落ち着かない状態でした。
他のメンバーが落ち着いているがゆえに
自分の浮ついた状態が目につきます。
申し訳なかったと思います。

そして最終演目の『伝統楊式太極拳』。
着替える時間もテーピングする時間も
今度はありました。
天国と地獄をみた後ですから
もう怖いものは何もありません(笑)

最後の楊式はひとつひとつを
丁寧に味わいながら動いてました。
仲間の動きも呼吸も肌で感じてました。



やはり落ち着いた状態にあることが大事。
意識して集中しようと思わなくても
自然にそうなるし、
適正な集中状態にあれば
ほんとに自然に周りと融合します。

松静自然

やはりこれに尽きますね。