糖尿病に良い食べ物や食べ方を専門医が紹介する。
本稿は、矢野宏行(Dr.ゆきなり)
『自分でできる!薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)の一部を抜粋・編集したものです。
●カロリー制限中心の食事では 血糖値が下がらない理由
Q「糖尿病になったら、どのような食事制限をするとよいでしょうか?」
「カロリー制限中心では、血糖値は下がりません。
ほどよく炭水化物を控える糖質制限がお勧めです。
なお、1日の糖質の摂取量は100〜120gを目安にするとよいでしょう」
糖尿病になると、医師から食事制限を勧められる方が多いと思います。
確かに、肥満になると、血糖値が上がるリスクが高まるのは間違いありません。
しかし、私が毎年3000人以上の糖尿病患者さんを診てきた中で、
カロリー制限中心の食事指導で、血糖値が思うように下がった方は、
残念ながらほとんど見たことがありません。
実はそれには理由があります。
まず、消費カロリーと摂取カロリーの差が、直接体重の減量につながるわけではないということです。
糖尿病患者さんの多くが、運動でカロリーを消費したり、
食事制限をしたりすれば、痩せるとお考えかもしれませんが、
実は消費カロリーには、各自の基礎代謝量が大きく関係しています。
基礎代謝量は年代、性別などによって個人差があり、食事量によっても変化します。
これを上げるには、全身の筋肉量を増やす必要があります。
そのため、血糖値を下げるサイクルに入るまでに、大幅な時間がかかってしまうのです。
そこで、血糖値を下げるために、お勧めしたいのが糖質制限です。
糖質制限した糖尿病患者を対象にした研究によると、
「糖質制限は血糖降下薬を服用していない2型糖尿病
(編集部注/遺伝的要因と生活習慣の乱れが原因で発症する、最も多い糖尿病)
患者の体重を減らし、HbA1c(編集部注/糖化ヘモグロビンが、
どのくらいの割合で存在しているかをパーセントで表したもの)を改善した」
ことが分かっています。
つまり、糖質制限をすれば、
血糖値が下がるだけでなく、肥満を解消する効果もあるのです。
●極端な糖質制限は危険 逆に高血糖を招いてしまう
糖質制限の対象となる炭水化物は、
エネルギー源となる糖質と食物繊維とで構成されています。
炭水化物は、さまざまな食べ物に含まれていますが、
とくに主食となる白米やパンなどに、多く含まれています。
そのため、主食を中心に炭水化物の摂取を控えれば、血糖値は上がりづらくなります。
これを聞いて「炭水化物をなるべく摂らないようにしよう」と思われる方がいるかもしれませんが、
極端な糖質制限は、かえって逆効果になってしまうことがあります。
糖質制限で糖質が不足した状態が続くと、
筋肉を分解してアミノ酸に変換してしまい、肝臓で糖新生
(編集部注/物が脂質やアミノ酸など糖質以外の物質からグルコースを合成する代謝経路。
肝臓や腎臓で行われる)が起こってしまいます。
この状態が続くと、筋肉量が次第に減っていくので、
糖代謝が悪化し、かえって高血糖が引き起こされてしまうことになります。
では、血糖値を上げない糖質の量とは、どれくらいなのでしょうか?
私のクリニックの患者さん約30名を対象にして、
炭水化物の摂取量と血糖値の関連性を調べたデータでは、
「1食当たり糖質40g程度であれば、目立った高血糖は起こらない」ことが分かりました。
ちなみに、おかずにも1食当たり平均10〜20g前後の糖質が含まれています。
したがって、主食の糖質量は1食当たり20g前後を目安に抑えるように心がけてください。
例えば、白米なら50g(お茶碗半分)、食パンなら50g(8枚切り1枚)、
ゆでたパスタなら50g(1人前の半分)、そばなら90g(1人前の半分)になります(表17)。
●理想の食事量の割合は 朝3:昼2:夜1
Q「糖尿病に良い食事の方法を教えてください」
「夕食は、20時前までに摂り、寝るまでに食後2時間は空けましょう。
そして、翌日の朝食までの間隔を10〜12時間空けてください。
食事の際は、よく噛んでカーボラストで食べるとよいでしょう」
血糖値を下げるには、糖質制限が効果的であることを紹介しましたが、
それでも血糖値が下がりづらいという方が、一定数います。
実は血糖値を下げるためには、食事の方法についても注意したいポイントがあります。
もし、糖質制限で血糖値が下がりづらければ、一度食事方法を見直してみましょう。
血糖値は、食後に大幅に上昇します。
そのため、食後の血糖値の上昇を緩やかにすることが、
糖尿病を克服するうえで大切になります。
そこで、注意したいのが食事の時間です。
女性を対象に食事の時間帯による血糖値の違いを調べた研究では
「21時に夕食を摂るグループでは、18時に夕食を摂るグループと比較して、
有意に食後血糖のピークが高い」という報告があります。
したがって、血糖値が下がらないと感じている方は、
最低でも20時前には夕食を済ませ、食後2時間は寝るまでに空けるようにしましょう。
20時前に夕食を摂ることが難しい方は、夕食を分割することもお勧めです。
そして、翌日の朝食までの間隔を10〜12時間空けるようにしてみてください。
例えば、食事の時間を朝は7時、昼は12時、夜は19時などとしてみるとよいでしょう。
また、みなさんの多くが朝食を軽めにし、
夕食をたくさん食べるという食事の摂り方をしているのではないでしょうか。
具体的には朝1:昼2:夜3という分量の方が、多いように思います。
しかし、この食事方法は、寝ている間の血糖値を上げやすくしてしまいます。
したがって、血糖値の変動を緩やかにするためにも、
朝3:昼2:夜1の割合で食べることを意識しましょう。
●食事の際に噛む回数は、一口当たり40回が推奨
さらに、血糖値を下げるうえで、
お勧めしたいのが「カーボラスト」という食事方法です。
これは炭水化物を最後に、食べる食事方法です。
研究によると、「炭水化物を最後に食べた群は、
そうでない群と比べて、食後の血糖値が抑えられる」ことが分かっています。
カーボラストを実践すると、自然と満腹感を得られるようになり、
無理なく、炭水化物の量を減らせるので、お勧めです。
いつもは、おかずと白いご飯を交互に食べている方には、違和感があると思いますが、
血糖値を下げる効果があるので、試してみてください。
さらに、食事をよく噛むことも、血糖値を下げるためには重要になります。
食べ物をよく噛むと食事に時間がかかり、その間に血糖値が上がって、
食欲も抑えられるので、肥満を予防する効果もあります。
食事の際に噛む回数を一口当たり10回と40回に設定し、
食後の血糖値の変化を比較した研究によると、
「10回の咀嚼では、食事時間帯による血糖値の変動はなかったが、
朝食に40回咀嚼したところ、30分後にインスリン分泌が大幅に増加した」
という報告があります。
ぜひ朝食の際は、試してみてください。
なお、食前に運動をする方がいるかもしれませんが、これはお勧めできません。
食前は、血糖値が下がっており、運動をすると、さらに血糖値を下げてしまいます。
この状態で食事をすると、飢餓状態のため、
食後の血糖値の急上昇を招き、血糖スパイク
(編集部注/食後に血糖値が急上昇・急降下する状態)や
過剰な糖新生を引き起こすことにつながるので注意してください。
●糖尿病にいい食べ物は? 野菜の中ではブロッコリー
Q「糖尿病に良い食べ物はありますか?」
「水溶性食物繊維を含んだ野菜やこんにゃく、海藻類、
血糖値を下げるスルフォラファンが含まれたブロッコリー、カリフラワーなどの野菜などがお勧めです」
Web上や雑誌には、「この食品を食べて、糖尿病が良くなった」、
「この栄養素を摂って、血糖値が下がった」などという健康情報がたくさん紹介されています。
糖尿病患者さんの中には、こうした健康情報を見て、
ついつい同じ食品ばかりを食べ続けてしまう方がいます。
とはいえ、糖尿病になっても、タンパク質、炭水化物、脂質などといった栄養素を
バランスよく摂ることは大切です。
そうした前提を踏まえたうえで、血糖値を下げる食べ物について見ていきましょう。
まず、糖尿病の方にお勧めしたいのが、食物繊維を豊富に含んだ野菜や海藻類です。
食物繊維の中には、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維がありますが、
とくに水溶性食物繊維は、糖質の吸収をゆっくりにして、血糖スパイクを防いでくれます。
水溶性食物繊維が豊富な食品としては、
こんにゃく、しいたけ、わかめ、昆布などがあります。
また、野菜の中でも、とくにお勧めしたいのが、ブロッコリーです。
ブロッコリーには、食物繊維が豊富に含まれるだけでなく、
インスリン抵抗性を下げるスルフォラファンという物質が含まれています。
研究では「ブロッコリーから抽出されたスルフォラファンを摂取させたところ、
肥満および2型糖尿病患者の空腹時血糖を改善した」という報告があります。
その他にもスルフォラファンには、抗酸化作用、がん予防、脂肪燃焼効果などがあり、
糖尿病だけでなく、肥満や老化を防ぐ作用もあります。
では、1日にどれぐらいブロッコリーを摂ればよいのでしょうか?
これについては諸説あるため、あくまで目安となりますが、
毎日の食卓に、ゆでたブロッコリーを常備するとよいでしょう。
私もブロッコリーが苦手で、娘にそっとあげていましたが、
血糖値を下げる効果を知ってからは、毎日ブロッコリーを食べるようにしています。
なお、スルフォラファンは、キャベツやカリフラワーなどにも、
豊富に含まれているので、ブロッコリーがない時は、代用してみるとよいでしょう。
野菜や海藻類が血糖値を下げることは分かったけれど、
これらがどうしても苦手という方がいるかもしれません。
その場合は、主食となるご飯に粒こんにゃくを混ぜたり、
市販のカリフラワーライスを代用してみたりするのもよいでしょう。
とくにカリフラワーライスは、ブロッコリー同様インスリン抵抗性を下げる効果も
期待できるのでお勧めです。
矢野宏行(Dr.ゆきなり)・・》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。
今回、「糖尿病」専門医の矢野宏行(Dr.ゆきなり)さんより、
《・・糖尿病の患者に関しての食事全般に関する・・》、
懇切丁寧な解説、80歳の私は学び、多々教示させられたりした・・。
血糖値を下げるには、糖質制限に関して、《・・白米なら50g(お茶碗半分)・・》、
齢ばかり重ねた今でも、 朝食は、ご飯と汁、おかずと香の物で成り立っていた
庶民の一汁三菜(いちじゅうさんさい)の真似事をしている。
そして朝食の原則として、コンニャク、ゴボウの醤油風味を
前菜として必ず頂いている。
この後、調味料を加味しない納豆を食べた後、
やがて十六穀米の入った白米のご飯を1合ばかり炊(た)いたのを、
三分の一ばかり盛ったお茶碗で頂いている。
残ったご飯は、三分の一づつクレラップに包み、冷蔵庫に保管して、
翌日以降に電子レンジで温めて、頂いている。
食事の間隔に関して、
《・・夕食は、20時前までに摂り、寝るまでに食後2時間は空けましょう。
そして、翌日の朝食までの間隔を10〜12時間空けてください。・・》、
と学んだりした。
我が家の夕食は、夜の7時半前後であり、
朝食は朝の8時前後であるので、12時間半ぐらいであるので、
何とか理想になっている。
しかしながら、理想の食事量の割合は 朝3:昼2:夜1 に関しては、
私の場合は、年金生活を過ごす中、
朝1:昼2:夜3の配分であり、知人から指摘されたりしたが、
こればかりは改善できないでいるので、苦笑したりした。
糖尿病に良い食べ物に関しては、
《・・食物繊維を豊富に含んだ野菜や海藻類です。
食物繊維の中には、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維がありますが、
とくに水溶性食物繊維は、糖質の吸収をゆっくりにして、血糖スパイクを防いでくれます。
水溶性食物繊維が豊富な食品としては、
こんにゃく、しいたけ、わかめ、昆布などがあります。
また、野菜の中でも、とくにお勧めしたいのが、ブロッコリーです。
ブロッコリーには、食物繊維が豊富に含まれるだけでなく、
インスリン抵抗性を下げるスルフォラファンという物質が含まれています・》
と私は学び、微笑んだりした。
私は夕食の時は、キャベツを千切りにして、そしてブロッコリーなど
大皿に盛ったのを、電子レンジで温めて、そしてポン酢、ソースを少しかけて、
盛大に頂いている。
まもなくロースト・ビーフか牛肉、豚肉、鶏肉、ラム肉など、
その日に応じて200グラム程度を食べたりして、
モヤシの炒めものを食べたりしている。
昨今は、キャベツの品質は良くなく、サニー・レタスに代用しているが、
ブロッコリーは冷凍の350gを電子レンジで温めて、
ここ10年前より、私は家内と共に食べているが、私は大半を愛食している。
このように気ままに私は食事をしているが、
何よりの朗報は《・・ブロッコリーから抽出されたスルフォラファンを摂取させたところ、
肥満および2型糖尿病患者の空腹時血糖を改善した・・
その他にもスルフォラファンには、抗酸化作用、がん予防、脂肪燃焼効果などがあり、
糖尿病だけでなく、肥満や老化を防ぐ作用もあります・・》
と学び、何かと気弱な私は、微笑んだりしている。