先程、ときおり愛読している公式サイトの【 NEWSポストセブン 】を見たりしていると、
映画好き鎌田實医師が選ぶ「大好きな音楽映画」ベスト10、
と題された見出しを見たりした・・。
私は諏訪中央病院名誉院長の鎌田 實(かまた・みのる)さんにに関して、
お逢いしたことはないが、テレビで視聴したり書物を読んだりして、
敬愛を深めている御方となっているが、
今回、鎌田 實さんが映画好きと知ったりした。
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私は東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)の秋、
映画の脚本家になりたくて、大学を中退して、
映画青年の真似事をした時代もあったりした・・。
このような関係で、鎌田 實さんは映画のどのような作品が好感されているか、
ほぼ同世代の私は、知的好奇心に負けて、記事を精読してしまった・・。
この記事は、『週刊ポスト』の2020年8月28日号に掲載された記事のひとつであり、
関連の公式サイトの【 NEWSポストセブン 】に8月21日に配信され、
無断であるが記事の大半を転載させて頂く。
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行動自粛が呼びかけられてからかなりの期間が経った。
2019年より前とは違う生活を心がけるにあたり、疲れてきた人も目立つなか、
諏訪中央病院名誉院長で長野県茅野市在住の鎌田實医師が、
コロナ疲れを吹き飛ばす映画鑑賞法について紹介する。
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3月からの5か月間、自宅のある茅野を出たのはたった2回。
テレビやラジオの出演もオンラインで、難なく行なっている。
毎週のように講演会などで全国をまわっていた“旅暮らし”が、
もう大昔のことのようだ。
浮いた時間、古い映画を見始めたら止まらなくなった。
まず『モロッコ』。
久しぶりに見たが、何度見てもすばらしい。
90年前にこんな映画が作られていたなんて、信じられない。
監督はジョセフ・フォン・スタンバーグ。
外人部隊の基地があるモガドールという町に、傭兵としてゲイリー・クーパーがやってくる。
マレーネ・デートリッヒが演じるのは、食い詰めた歌姫。
シルクハットのシルエットで登場するシーンは、実に美しい。
恋に落ちた2人だが、クーパーは鏡に口紅で グッドラックと書いて、
砂漠の戦場へと去っていく。
デートリッヒは、婚約を決めたお金持ちに別れのキスをして、
砂漠に向かって歩き出す。
勇壮な鼓笛隊に送られた兵士のあとを追って、
ハイヒールを脱ぎ、灼熱の砂漠を素足で歩き始めるエンディングは実に見事だ。
デートリッヒはこの映画の後、大女優になっていく。
アガサ・クリスティの『検察側の証人』を原作にした、ビリー・ワイルダー監督の『情婦』では、
タイロン・パワーを相手役に、妖艶な美しさを見せつけている。
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彼がアカデミー主演男優賞を取ったのが『真昼の決闘』。
西部劇のぼくのおすすめは、この作品か『荒野の決闘』。
ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演の『荒野の決闘』は、
女性が見ても楽しめるのではないか。
この映画が作られたのは、ぼくが生まれた年の2年前の1946年。
大学生になってから、文芸座の3本立てで観たような記憶がある。
小説にも飛んでみた。
映画『モロッコ』と同じ、モガドールを舞台にした小説『空気の名前』(アルベルト・ルイ=サンチェス著、白水社)という小説を、
数年前、アフリカを旅行しながら読んだ。
女性へと脱皮していく少女を、メキシコ出身の作家が美しい文体で描写している。
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映画館に少しずつ人が戻りつつあるなかで、
『海の上のピアニスト』が約20年ぶりに4Kデジタル修復版と、
当初イタリアで公開された170分版で、8月21日からロードショーされる。
DVDで見たが、映像が美しく、すばらしい。
監督は『ニュー・シネマ・パラダイス』や『鑑定士と顔のない依頼人』のジュゼッペ・トルナトーレ。
生まれてから一度も船から下りたことのないピアニストが、
ジャズピアニストと船の上で対決する。これが圧巻だ。
映画と音楽は、切り離すことができない。
映像を見ると音楽を思い出し、音楽を聴くと映像を思い出す。
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そこで、記憶をたどりながら大好きな音楽映画ベスト10という遊びを始めてみた。
1位は、見終わった直後だったこともあって、やっぱり『海の上のピアニスト』。
2位は2年前大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』。
3位は第二次世界大戦におけるワルシャワを舞台にした、ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』。
『ローズマリーの赤ちゃん』のポランスキーが、こんな映画を作るのかと思って感動したのを覚えている。
映画としてうまくできているなと思った。
5位はキューバの日常を描いた音楽ドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』。
音楽を楽しんでいるオッサンたちがいると思うとうれしくなった。
6位は『セッション』。
鬼コーチとドラマーというスポコン的映画だが、鬼気迫る演奏に気分が高揚する。
7位は、『ブルース・ブラザース』。
8位は『Ray/レイ』。レイ・チャールズの伝記映画だ。
9位はぼくが大好きなチェット・ベイカーを描いた『ブルーに生まれついて』。
麻薬の売人から顎を砕かれ、前歯を失ってからトランペットの演奏が難しくなり、歌うようになった。
この歌が暗くていいのだ。
10位は『ジャニス リトル・ガール・ブルー』。
ジャニス・ジョプリンのドキュメント映画だ。
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こうやって考え始めると、ベスト10では収まりきらない。
『シェルブールの雨傘』は20歳のカトリーヌ・ドヌーヴが美しく、ミシェル・ルグランの音楽もすばらしかった。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』もいいし、
『天使にラブ・ソングを・・・』も大好き。
『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス空白の5年間』という映画もなかなか渋いいい映画だ。
『ピアノ・レッスン』は、映像も美しくて音楽も優れていた。
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しつこい性分のぼくは、今度は、音楽映画じゃなくて、
映画音楽だったら何が好きかな、と考えた。
1位は『カサブランカ』の「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」、
2位は『明日に向って撃て!』のバート・バカラックの音楽、
3位は『死刑台のエレベーター』マイルス・デイヴィスのトランペットの即興的な演奏が渋くてすごい。
4位は黒澤明の『七人の侍』。
5位は『ロッキー』。「ロッキーのテーマ」は筋トレの定番である。
こうやって、コロナ自粛中に遊んでいると、あっと言う間に時間が経っていく。(略)・・》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
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私の午後の大半は、随筆、ノンフィクション、近現代史、総合月刊雑誌などの読書が多く、
或いは居間にある映画棚から、20世紀の私の愛してやまい映画を自宅で鑑賞したり、
ときには音楽棚から、聴きたい曲を取りだして聴くこともある。
こうした中、ブログの投稿文を綴ったり、数多くの御方の投稿文を読ませて頂き、
多々シニア世代の日常生活を学び、人生の確かな教科書と学んだりしている。
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私は恥ずかしながら青年時代に、映画、そして文学青年の真似事をして敗退し、
やがて音楽業界のあるレコード会社に35年近く勤めた為か、
書物やビデオ・テープ、DVDなどの映画作品、或いはレコード、カセット、CD、DVDなどの音楽作品は、
程々に所有している。
たとえば、その日に観たい映画は、居間にある映画棚が引き抜いて、
少し大きなテレビ画面を通して、鑑賞している。
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そして私なりのつたない鑑賞歴でも、魅了された作品は、何回でも観るタイプである。
例えば邦画の場合は、『二十四の瞳』、『東京物語』、『浮雲』、『雨月物語』等である。
洋画に関しては、『街の灯』、『市民ケーン』、『第三の男』、『逢びき』、『ライムライト』、
『ジョニーは戦場に行った』等は、10年ごとに観たりしている。
或いは最初の一ヶ月に於いて、少なくとも10回以上熱中して観る映画もある。
邦画の『七人の侍』、『用心棒』、『駅~STATION~』、
洋画の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、『ディア・ハンター』、
『ゴットファーザ Ⅱ』などが鮮明に記憶に残っている。
このように若き時代の一時には、映画館に通ったりして、程ほどに映画作品を鑑賞してきたので、
1966(昭和41)年頃までに上映された作品は知っているつもりであるが、
その後は数多くのサラリーマンと同様に多忙な時代を過ごしたので、余り鑑賞する機会がなくなった。
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定年後は年金生活をして、ときおり居間の映画棚に保管してあるビデオテープ、DVDの1000作品ぐらいを
居間のテレビを通して鑑賞したりしている。
しかしながら、2000年(平成12年)の頃までに制作された作品が圧倒的に多いので、
古き良き時代の映画の愛好者のひとりかしら、と微苦笑する時もある。
そして私は、その時に観たい映画作品は、何故かしら、やはり季節に応じて観てしまう。
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冬の季節の時などは、『アラビアのロレンス』、『プラトーン』、
『イングリッシュ・ペイシェント』等の砂漠、荒野、ジャングルの背景が多くなる。
そして夏の時節は、『ドクトル・ジバコ』、『カサブランカ』、『かくも長き不在』等の
寒冷地、静寂な戦争を背景にした選定が多くなったりしている。
不思議なことであるが、猛暑の夏の時、『アラビアのロレンス』の砂漠、
『戦場にかける橋』の熱帯林の背景は、やはり暑くて落ち着かないのである。
かといって、居間を寒いぐらいに冷房を冷やして、
鑑賞するのは映画の内容からして、おかしな事と思ったりしている。
このようにして私は鑑賞しているが、1950年代、1960年代の公開された作品が圧倒的に多く、
ときおり私は、どうしてかしらと微苦笑したりしている。
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そして私の拙(つたな)いなりの観賞歴であり、映画青年の真似事をして敗退した身なので、
感銘させられた作品には、リスペクト(尊敬)や敬意をしている上、
映画専門雑誌の名高い『キネマ旬報』の1999年10月上旬特別号 として、
『映画人が選んだオールタイム・ベスト100の外国映画編』を購読し、
私なりに喚起させられて、まもなく選定した私の洋画のベストテンである。
①『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』セルジオ・レオーネ監督(1984年)
②『ディア・ハンター』マイケル・チミノ監督(1979年)
③『イングリュシュ・ペイシェント』アンソニー・ミンゲラ監督(1979年)
④『ピアノ・レッスン』ジェーン・カンピオン監督(1993年)
⑤『かくも長き不在』アンリ・コルピ監督(1961年)
⑥『街の灯』チャールズ・チャップリン監督(1931年)
⑦『ゴットファーザー(三部作)』フランシス・F・コツポラ監督(1972・1974・1990年)
⑧『自転車泥棒』ヴィットリオ・デ・シーカ監督(1948年)
⑨『ジョニーは戦場へ行った』ドルトン・トランボ監督(1973年)
⑩『逢びき』 デイヴィッド・リーン監督(1945年)
数多(あまた)の感動をもたらしてくれた作品の中より選定するのが、
もとより酷な作業で、『時』が人生にもたらす影響をヒントに選定したが、
いずれがベストワンになっても良い作品とも思ったりしている。
そして選定の際に於いて、 『第三の男』キャロル・リード監督 (1949年)、
『市民ケーン』オーソン・ウェルズ監督(1941年)、『アラビアのロレンス』 デイヴィッド・リーン監督(1962年)、
『許されざる』クリント・イーストウッド監督(1992年) 、『カサブランカ』マイケル・カーチス監督(1943年)等は
最後まで検討させられた作品でもある。 《1999年9月29日、私の日記より》
そして小説、映画、音楽などの選定する時は、その人の性格、人格、思想を表わす、と改めて気付かされたりしている。
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この後も、キネマ旬報』の1999年10月下旬特別号として、
『映画人が選んだオールタイム・ベスト100の日本映画編』を購読し、
私なりに喚起させられて、まもなく選定した私の邦画のベストテンである。
①『駅 STATION』降旗康男 ・監督(1981年)
②『用心棒』黒澤 明・監督(1961年)
③『人間の條件(全六部作)』小林正樹・監督(1959~61年)
④『東京物語』小津安二郎・監督(1953年)
⑤『七人の侍』黒澤 明・監督(1954年)
⑥『浮雲』成瀬巳喜男・監督(1955年)
⑦『雨月物語』溝口健二・監督(1953年)
⑧『飢餓海峡』内田吐夢・監督(1964年)
⑨『切腹』小林正樹・監督(1962年)
⑩『砂の器』野村芳太郎 ・監督(1974年)
洋画と同様に、【時】が人生にもたらす影響をヒントに選定したが、
上記のいずれがベストワンになっても良い作品でもある。《2003年8月16日、私の日記より》
こうした選定作業の時、その人の人生を歩いてきた思考の全てが反映する、と改めて感じたりした。
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このように当時の私は選定したが、邦画に関しては、ここ数年は、
小学5年生の時に、独りで映画館で観た『楢山節考』木下恵介・監督(1958年)が、
私のベストワンだ、と思い返したりしている。