1月5日(木)の朝刊13面に大きく2017私の想い1<「脱原発は経済的」実践する」>という記事が載った。
お正月用品の並ぶ中で目にしたばかりの会社「鈴廣かまぼこ」が取り組んでいる脱原発の取り組みに驚いた。
2015年9月に新本社を建設する際に、地中熱、井戸水を利用した空調、太陽光を利用した温水器や照明を導入し同規模のビルよりエネルギー消費を50%カット。経済産業省から「ゼロエネルギービル」に認定されるビルを作ったという。
脱原発を掲げて「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」を立ち上げ、現在370の賛同中小企業の経営者が加盟。2012年からは、電力の地産地消を目指す「ほうとくエネルギー」という発電会社を地元企業や小田原市と連携して設立したともいう。
「ほとんどの地域のエネルギー収支は赤字です。毎年、海外に支払っている燃料費は28兆円です。その1割か2割でも削減できれば、それだけ国内、地域内で使えるお金がふえます」という話には、目を見張った。まったく知らなかったが、本当に大切なことを教えてくれる記事だった。
さっそくネット検索で調べると、Rolling stoneというサイトのココに、私の求めていた素晴らしいインタビュー記事もみつかった。1部をここに転載させて頂きます。
——老舗のかまぼこ屋さんの副社長である鈴木さんが、なぜエネルギー問題に関わっているのか、すごく気になったんです。
「食に関わる仕事をしていることはすごく大きい理由だと思います。食は身体を作るもの。実は身体の外も内もないのです。すべてがつながっている。だから、自分だけよければいいというのはありえない。これはエネルギーについても言えることです」
——確かにそうですよね。
「それに、私たちは、かまぼこという伝統食品で商売をしているわけです。10代目の社長である兄と『俺たちがやるべきことは会社を大きくすることや、上場することではない。箱根駅伝のランナーのように、先代から預かったタスキを落とさないよう、できれば順位をひとつでも上げて、次へ渡していくことなのかもしれない』とよく話していたんです。3・11の直後に、故郷に戻れない人たちが生まれてしまった。私は、小田原で生まれ育って代々商売させていただいているので、常に心の奥に故郷への思いがあります。故郷に帰れない方々を見て、自分たちがたまたまお借りしているこの故郷を、少しでも汚さずによい形で次の世代へ引き継いでいくことが、地場で商売させてもらっている者の務めだと思ったんです。そう考えると、借り物であるこの土地を汚し、取り返しがつかなくなってしまうような危険性がある原発に、私たちが手を染めるのはありえないと」
驚いた。このような考え方の経営者が鈴廣の蒲鉾を製造していたんだ!
「3・11の直後に、故郷に戻れない人たちが生まれてしまった」人々を忘れてはいけないと、このブログで「知ろう福島のこと」という項目を設けて、主に写真家・中筋純氏の活動を紹介しながら、私も細々ながらこれまで応援してきた。
その同じ思いを、自分にひきつけて考え実践している経営者の方がいたことに心を強くした。
正月恒例の箱根駅伝をテレビで見て「繋げる大切さと難しさ」を再確認した後だったこともあり、「箱根駅伝のランナーのように、先代から預かったタスキを落とさないよう、できれば順位をひとつでも上げて、次へ渡していくことなのかもしれない」という言葉が胸に響いた。
インタビューにはさらに次のようなことも書いてあった。
——脱原発を訴える団体というわけではないんですか?
「イシュー自体がデリケートなので、エネ経会議自体はあえて反対運動にはならないようにしています。もちろん、私は根っこの部分では原発はいらないと思っていますし、1日も早く止めたほうがいいと思っています。ただ、私たちがやるべきことは反対運動ではなくて、新しい現実を創ること。それが経営者の役割だと考えています」
「私たちがやるべきことは反対運動ではなくて、新しい現実を創ること。それが経営者の役割だと考えています」
<新しい現実を創る!>
自分は経営者だから、経営者としてその役割を果たす!
「私は、私の立場でできる役割を果たそう!」と思った。
日本人が、それぞれの立場で新しい現実を創るために活動していければ、明るい将来が築けるのではないか。
まだまだ間に合いそうだと鈴木さんの記事を読んで勇気と希望が湧いてきた。
<1人1人が、自分の場所でそれを実行していこう!!!>
そのことを再確認した時、下に引用した澤地久枝さんの言葉を思い出した。
少し長くなるが、もう少しお付き合いください。
この文章を見た時、いつか機会があったら是非このブログで紹介したいと思って心に刻んでいた大事な文章です。
「自分1人では何もできないと思っている人は多いのですが、実は1人1人は大きな力を持っています。選挙の結果がどうだろうと、1人1人が持つそうした力は消えていません。たとえば偏向報道と1部から批判されたキャスターが降板されたら、なぜおろすのかとテレビ局にはがきや電話で問い合わせればいいのです。新聞の記事に対してもこれはいい、これはおかしいと思うことを投書することができます。少しの手間でできることですが、制作する側には大きな励みになるし、経営側にも影響します。行動はデモをするだけではないのです。誰も何も言わなければ、このまま時代が逆戻りしてしまうかもしれません。
1人1人が持つ力をどう使うかが今、とても重要です。絶望せず、沈黙せず、行動していくことがなによりも必要だと思っています」
( 生活と自治」2016年12月号より抜粋)
大好きなイチローがよく言う、「大記録は、ひとつひとつのヒットを積み重ねていった結果」。
それぞれ1人1人が、小さなヒットでもいいから重ねていく努力を行動で積み上げていけば、きっと私たちの思うような社会を子供たちに残せるかもしれない!
「燃料費は28兆円です。その1割か2割でも削減できれば・・・」という文を読んだ時に、資源が乏しい、借金まみれになっている日本の将来を憂いてばかりいるのではダメだ。新しい現実を創る手立てを考える方にまわらないと!という思いがフツフツと湧いてきました。
あなたも、あなたの場所でこの1人に加わってください。
今なら、まだ間に合う。
あなたも私も、1人1人がそれぞれに次世代に向けてタスキをかけて走っているランナーなんです。
「会社を大きくすることや、上場することではない。箱根駅伝のランナーのように、先代から預かったタスキを落とさないよう、できれば順位をひとつでも上げて、次へ渡していく」
先代から預かったタスキとはいったいなんでしょう。私たちにとって大切なものは何なんでしょう。
しっかり考えて、走りましょう。