「なぜサクラは葉っぱがないのに、花をあんなにいっぱい咲かせられるのか?」
疑問に思ったことありませんか。
今日は、ちょっとこれについて考えてみました。
参考文献は、ネットと子供を育てていた頃に買った「サクラの一年」科学のアルバム38。
古い本ですが、このあかね書房の「科学のアルバム」シリーズは我が家のバイブル。どれもしっかりした記述で、お気に入りでした。今回も読み直しながら、素晴らしさを再認識しましたよ。
さて、普通の植物は葉で大事な光合成をします。根から吸った水と気孔から取り入れた空気中の二酸化炭素を太陽の光エネルギーを利用してでんぷんに変えて自分たちの栄養にするのです。でも、桜って、花の咲いた後に葉がでますよね。栄養がなくて、どうやってあんなに素敵な花を咲かせられるのでしょう?
「サクラの一生」の本には、季節をめぐるサクラの様子がしっかりと書かれていて、特に花の成長については、素晴らしいたくさんの写真で説明しています。それによると、なんとサクラの花芽は6月ころから分化しはじめて、9月にはめしべもおしべも出来上がっているようです。つまり、葉がたくさん繁っている時期にしっかりもう準備をしておいて、冬は葉が落ちて冬眠。春になると、すでに準備ができていた花を咲かせていたという訳です。
借金いっぱいなのに、自転車操業しながらばら撒きや散財を繰り返す国に咲き誇る桜。誇っているのは、実は花の美しさだけでなく、その準備周到な生き様そのもののようです。地道に次への備えを怠らないからこその絢爛、人間は学ばねばなりませんね。
そして、花が一斉に咲いて、間をおかずに散ってしまうのは、貯めてきたものを短期間に効率よく使って、鳥達に花粉を運んでもらうためです。残念ながら、ソメイヨシノはクローンだし実を結ばないようですが*、基本的に植物が花を咲かせる目的は子孫を増やすために結実するためです。花の実になる部分は、鳥さんのお手伝いで結婚できたものは、花びらを落とした後も残って、実作りに励みます。
だから、仕事が済んだ後のサクラは、花を早く落とせるように離弁花になっていて、来年の準備のために早く葉に場所をゆずり渡すようです。
「鳥さん達を集めて花粉運びもしてもらったわ。貯めておいた力も使い果たしたわ。もう、あとは葉っぱさんお願いね。よろしく、よろしく、よろしく~~~」
と言いながら、花びらは木から落ちていっているのでしょう。
今は、あっという間に新緑へと姿を変えようとしているサクラです。
今回調べ直してみて、サクラが花だけを一斉に咲かせて、しかも短期間に散ってしまう理由が分かったように思いました。花だけを咲かせているのって、貯めていた栄養を瞬発力で放出しないとできない、木にとってはもの凄くエネルギーを使うことなのだと思います。葉が一緒にあってこそ、ゆっくりと咲いては次の花を育て、また咲かせて~ということができるのですね。
今年は、雨で落ちたサクラの花びらに思わず「お疲れ様でした~」と声をかけたい気持ちになりました。
* 余談:ソメイヨシノは、野生の品種ではなく園芸品種。江戸の染井村の植木屋が作ったと言われている。木を増やすには、さし木、とり木、接ぎ木などの方法があるが、ソメイヨシノは主に接ぎ木の方法で全国に広められたらしい。つまり、クローン。同じ木をもとに次々増やされた桜だからこそ、みな同じ性質をもった木である。だからこそ、温度とかの条件が同じであれば一斉に花を咲かせる。
桜前線が上って・・・と報道されるが、性質がまちまちの野生種だったら、こんなに足並みをそろえて咲いてはくれない。クローンの桜だからこそ、桜前線が成立する。
その他に、葉がないことで花が見やすく、鳥や虫たちが食べ物を見つけやすくなり、餌の少ない時期の補給源となり、なおかつ、自分達の子孫を残すお手伝いをしてもらうというGive and Take作戦ですよね。
秋は花が見にくい木が多い代わりに、鳥が見やすい赤い実を葉よりも上につける木が多いのが特徴でしょうね。
自然の連携プレーは無駄がありません。
秋は確かに目立つ色の果物が多いかもですね。葉よりも上に実をつける・・・なるほど、勉強になりました!
今日は天気もよく、近所の里山散策イベントに参加。昔の農民も自然との連携プレーがうまかった~ということを学び、今は農業が衰退して連携プレーができなく森が荒れてきたこと。それをボランティアが気付いて、運動がはじまって、森の保全活動がはじまったことなど、素敵な話が聞けました。
人間も自然の連携プレーに復帰したいものですね。