元ベース弾きの田舎暮らしは

60歳で田舎にUターン、素人の「米と野菜」作り
音楽が縦軸の人生
就職相談・紹介が「天職」

「逆ソクラテス」伊坂幸太郎

2021年10月09日 | 本・雑誌

「周回遅れ」の書評です。

長女が送ってくれた本。ようやく読み終えました。

短編集で、その中で一番面白かったのが「逆ソクラテス」。

 

「自分は、何も知らない」ことを知っていると言った哲学者のソクラテス。

対極にあるのが、決めつけや先入観。

子供を成績で判断し、真の能力を見ようとしない先生。

その先生に、「ダメ生徒」と決めつけられた子供の仲間が反撃。

その方法に苦笑しながら、ぐいぐい引き込まれた面白さ。

 

この本を読んで思い出した自分の小学生時代。

クラスは28人、全校生徒144人の小さな田舎の学校でした。

もう今は統合され、廃校に。その校舎あとは、地域のサロン的な場に。

 

     

 

鮮明に覚えているのは、「いじめ」。

数人に押さえつけられ、濡れ雑巾を顔に押し付けられ、唾を吐かれたこと。

仲がいいと思っていた友達からの仕打ちにショック。

吐かれた唾の臭さは今でも覚えています。

 

嫌な先生は一人もなく、6年までの担任の顔と名前は記憶。

1年生の時、病欠の先生をみんなで訪問し、川向こうに大声で呼びかけたこと。

2年生の時、カエルで担任に悲鳴をあげさせたこと。床を踏み抜いた先生のこと。

大学時代、オーケストラの仲間と「学校訪問演奏会」で再会し、感激したこと。

 

大人になっての人生の厳しさとは異なるものの、小学校時代にも「社会」は存在。

「逃げられない学校」時代に受けた先生との確執はトラウマになることも。

幸い自分にはそんな先生はいなかったが。

数学の先生を見返すために、夏休み数学だけを勉強し、秋に試験で「脱皮」した高校2年生。

「ビッグイベント」は、授業中に他クラスの生徒と廊下で殴り合いで謹慎処分の高3の春。

 

この本で一番衝撃を受けたのが、「僕は、そうは思わない」の子供の一言。

今思えば、この言葉が言えずに、殻を破れなかった自分の人生。

サラリーマン時代、しがらみや上司・得意先への気兼ね、嫌われたくなくて・・。

 

     

 

小学生の子供を持つ長女が贈ってくれた短編集。

詳しいことは言わなかったが、面白さを感じて父親に送ってくれた本。

転勤族で小学校を3校も経験した長女。愚痴は言わなかったが、悩んだこともあったはず。

 

本の効用は、過去の自分の体験を想起させること。

そして、今からの生き方に指針も。

もっと本を読まなければと反省です。

 

画像   「逆ソクラテス」   集英社発刊

      備中神楽      秋祭りに近隣の神社で奉納

                餅撒きが子供たちに人気

      コーンパン     長女の大好物

                このパンを買いに家族で北海道に

 

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私が「坂の上」に見るものは?

2020年01月01日 | 本・雑誌

元旦の今朝、今シーズン初めて外気温がマイナス。

フロントの霜を溶かして、コンビニに新聞を求めて早朝の運転。

数紙の新聞の今年の展望を読むためです。

 

昨年末、喪中欠礼で年賀状を書かなかった40年ぶりの年。

年賀状を書きながら、1年を振り返り、併せて次年度を考えることがなかった年。

けじめのない年明けの印象です。

 

今年も地元の市役所の就職相談員として、勤務は続けるつもりです。

4月以降も、私の人件費の予算を組んでもらったため。

今年「年男」で前期高齢者の私にとってありがたい話です。

就職相談は私の「天職」。IJUターン者増加が目標です。

 

     

 

随分前、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を正月に読んだ記憶が。

この本のことが気になりながら、なかなか読めなかった時代も。

冊数に圧倒され、明治という時代背景にも、少し「距離感」があったからです。

 

国を憂い、先進技術を身に付け、合理的に大国と戦ったヒーローたち。

片や精神論に終始し、多くの犠牲を顧みなかった指導者たち。

様々な人間像に夢中になりました。

 

日露戦争には勝利したものの、この戦争を境に、太平洋戦争まで暗い時代に。

この間に一時期 若干輝いた時代もあったのですが・・。

 

本を読まなくなって久しい私です。

晩年 ハウツーものより、小説に生き方を学んだ気がします。

 

     

 

民間の製造業を退職後、国家公務員・地方公務員を経験。

国は単機能で深掘りし、地方は総合サービス業としての幅広さを痛感。

共通するのは、相手を選べず、拒否もできないこと。

民間は、「利益」という御旗に適う選択ができること。

 

最近のこころがけは、「粗にして野だが卑ではない」ことが目標。

かつての国鉄総裁 石田禮助の名言です。

審判のいない唯一のスポーツであるゴルフの精神にも共通点が。

そのスタンスは「判断が難しいときは、自分に有利にしない」こと。

そして あるがままに打つこと。

 

弱い自分が、「卑しい言葉や態度」を取りそうになる時、この言葉を反芻。

高齢者になった時、より一層求められるものを感じます。

今が一番ハッピーな仕事人生だからでしょう。

 

     

 

昨年4月より、働き方改革で4勤3休。体力ダウンのカバーをするためです。

かみさんの「叱咤?」や娘・孫たちとの交流も支え。

「坂の上の雲」を目指して、ゆっくり前進したいものです。

 

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半沢直樹 最新刊 「銀翼のイカルス」

2014年09月02日 | 本・雑誌
ブームを起こした半沢直樹の「倍返し」。
積もったストレスや不満を晴らしてくれるセリフ(啖呵)が気持ちいい。
人気の理由でしょう。

ストーリーの面白さは、作者自身が銀行出身者で裏を知り尽くしているからか?
実際の銀行の弱点や派閥闘争、金融庁との駆け引きは圧巻。
只次長クラスの行員が大手銀行の頭取の意向をくんで動くのか疑問だが・・・。

また政治権力の圧力に戦いを挑むシーンも面白い。
自民党?に代わって、政権を取った民主党?の素人ぶりがモデルであろうことは明白?
素人の大臣が、その存在感を示そうと問題の表面を「なでる」認識にも笑える。

航空会社の再生ストーリーは、まさに日本航空を思わせます。
外圧でなく、強力なリーダーシップで内部改革を目指す方法はリアルで王道。
しかし リストラをともなわない改革は嘘っぽい。

書名の「銀翼のイカロス」も象徴的。
「銀翼」が航空会社を暗示し、傲慢さから太陽に焼かれたギリシャ神話のイカロスの翼も表現。
実在の航空会社の再生と同時進行は書きにくかったであろうことは想像できます。

民間会社を退職し、就職支援と農業に明け暮れる今の自分からは、ほど遠い世界。
でも娯楽作品として楽しませてもらいました。
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「半沢直樹のその後 出向時代」

2013年10月22日 | 本・雑誌
久しぶりに面白いドラマが終わり、日曜日の夜の楽しみがなくなりました。

作者 池井戸潤の本を初めて読んだのは、直木賞の「下町ロケット」。
友人にもらったハードカバー。しばらく投げていました。
逆境に耐え続け、最後に「たんか」をきり、うっぷんを晴らすパターンは同じ。

なぜ高い視聴率が取れたのか。
ドラマの冒頭、前週のあらすじを説明。それぞれの配役の顔も映します。
敵味方がはっきりし、最後に「主人公が勝つ」安心感。水戸黄門バリの展開。
苦境に立つと、情報提供する人、「ホワイトナイト」が必ず現れます。
好みが異なるかみさんと一緒に観ることができたドラマは極めて珍しい。

この半沢が、ドラマの最後に、「出向」を命ぜられます。
この後の半沢の話が「ロスジェネの逆襲」で刊行されています。
銀行の子会社「東京セントラル証券」の部長職。

私も「出向体験」があります。40歳前後3年間に合弁会社に。
実際の出向体験時の苦労は経験者にしかわかりません。
出向元と出向先、どちらの利益を優先するのかがまず問題。

いずれは帰る出向者に、その会社の人間がどれだけ心を許すか。
肩書きはあっても、実際は現場作業。労働時間は極大化。
元の会社に帰ることをあきらめた瞬間、その会社の皆が仲間扱いに。

「なぜ自分が出向をしなくてはならないのか?」と会社に不満がありました。
慣れない土地で、営業兼配達の仕事を始めました。
荷物をトラックに縛るロープの締め方も初めて知りました。
流通の末端のルートセールスや個人客との接触は初めて。
商社や代理店相手と異なり、毎日が「応用問題」の連続。

今思えば、この出向で「宝物」に出会ったのです。
それは「実践心理学」。「価値ある目標を段階的に達成すること」。
すべて「会社が悪い」「上司が悪い」「環境が悪い」
「他責」の塊だった私に「自責」を教えてくれたのが「成功哲学」。

今ではこの心理学は「私のバイブル」一億円以上の価値がありました。
「出向」も悪いことばかりではなかったのです。
今ではこの出向に感謝しています。

「半沢直樹」がこの出向時代に掴んだものは何か。
「ロスジェネの逆襲」は面白い。一気に読みました。
雑誌に連載中の四部作最後の「銀翼のイカロス」が待ち遠しい。
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「下町ロケット」

2013年03月19日 | 本・雑誌
痛快な本に出会いました。

夜ベッドに寝転んで本を読む癖が付いた私。
いつもは、ほんの数ページ読んだだけで寝入るのです。
本は、私の睡眠薬替わり。

しかし この本は、全く別でした。
おもしろくて、目が冴えて、腹ごしらえをした後、読んで 午前様。
読み残しを次の日 読破。私にとって近年にない快挙です。

ストーリーは極めて単純。
町工場の社長が主人公。
元研究者の社長が家業を継いで、技術を武器に大企業と「闘う」話。

特許にまつわる法廷闘争や「大手の下請基準」をクリアーする場面は「喝采もの」。
ここに描かれる大手企業の独善とおごりは、読んでいても腹が立ちます。
ゆえに、大手を打ち負かす主人公と工場の仲間に胸打たれます。

友人がプレゼントしてくれたこのハードカバー。
数カ月も棚の「肥やし」になっていた本。
今は友人に感謝です。

2年前の直木賞を獲った「下町ロケット」がその本。
作者は「池井戸 潤」。

文庫本にもなり、ドラマ化も。
こんなにおもしろい本を見逃していたとは・・・。
ブームに周回遅れの読書も悪くありません。
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生活情報誌「オセラ」の取材

2011年05月17日 | 本・雑誌
週末 生活情報誌「オセラ」の担当者が我が家を訪問。
取材のため女性のライターが岡山から来新。
農業従事者を取材し、今後農業を志す人の背中を押すためだそう。

3週間ほど前、従兄から電話。
情報誌が取材に行くので協力してほしいとの頼みです。
直後 横にいたらしい編集長に電話を替わりました。

農業をやって見て、自分がどう変わったかを取材したいとのこと。
「どんな思いで農業を始めようと思ったのか?それを聞きたい」。

農業をするために、Uターンしたわけでなかったため少し困惑。
まして経験があるわけでなく、まだ「農業2年生」だと伝えると「それでもいい」とのこと。
田舎生まれながら、野菜や花の知識が全くない私。
野菜作りの主体は、89歳の母親です。60年の年季が入っています。
私は米作り担当。と言ってもプロの世話になっていて、私は水管理のみ。
農業をしているとは、とても言えないアマチュアの域。

取材当日、「近くまで来ているのですが、どの辺ですか?」担当者から電話。
家の場所を説明し、県道わきまで出迎え。
車を誘導し、我が家で自己紹介とプロフィールを説明。

女性ライター自身、音楽に造詣が深く、エレクトーン演奏者であり、歌うことも好きだとか。
彼女は「このような編集の仕事をしたかった」と、幅広い知識を持ち、ヒアリング上手。
短時間に数多くの質問と確認をこなします。

写真嫌いの私です。「写真なしではだめですか?」と聞くと「それはちょっと・・・」。
結局 庭のイチョウの木の下で数枚カシャリ。
顔が出ることは避けたかったのですが仕方ありません。

短時間でしたが、自分史を説明し、別れました。
どんな記事になるかわかりませんが、今は終わってホッとしています。
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「のぼうの城」 

2010年12月16日 | 本・雑誌
ベストセラー小説の「周回遅れ」読後感。
「のぼうの城」 和田竜 著 小学館文庫 上下巻(各480円)。

前から新聞の広告によく載っていた本。
2年前のハードカバー時代は横目で見ながら買いそびれ、文庫になってようやく読みました。
「のぼう」は「でくのぼう」の省略形です。

ストーリーは極めて単純。
秀吉の天下統一の完成間際、関東の愚鈍に見えた城主代行が、10倍の三成軍に打ち勝つ歴史小説。
私の好きな「小が大を食う話」。秘めた知略で不可能を可能にする意外性。
ページ数が少なく短時間で読めます。

深い人物表現はなく、現代風のセリフと人間関係。
しかし 泥田の中の戦闘シーンは絵になり、映画化決定にも納得。野村萬斎が主役とか。
クライマックスで、水責めの堤を切って、敵陣を流すスペクタルシーンは見ものでしょう。

主人公の能力を疑いながらも、周りが(過大?)評価していくプロセスが面白い。
事実っぽいのは、飾らない人柄。百姓たちの農作業を不器用ながら手伝う日々。
主人公が農作業の喜びを感じ、百姓と深く付き合う設定は、現実的ではありませんが、
ストーリー展開の大きな伏線になるのです。

この本がじわじわ売れ出したのは、書店の店員さんのお薦め「本屋大賞」二位に選ばれたから?
高名な作家たちの推薦による○○賞より、読者の目線に近いことでベストセラーを予測。

娘に薦めたら、立ち読みですでに読んだとか。(笑)
気楽に読むエンターテイメント。来年公開の映画も多分ヒットするでしょう。
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「チャイルド44」

2010年11月01日 | 本・雑誌
「チャイルド 44」は、小説のタイトルです。
読みかけては、何度も閉じて、又開いた 文庫本上下巻。

面白くないからではなく、衝撃的な内容のため。
極貧、不条理、孤独感・・・・。
そのあまりの「重さ」にすんなり読み進む事ができません。

純文学でなく、ソ連 スターリン体制下の犯罪を描いたサスペンスもの。
ストーリーもさることながら、時代背景、抑圧、閉塞感等 秀逸の表現力。
通常の推理小説にはありえないないほどの描写。
告発されると必ず有罪になる怖い社会。人間不信・諦め。

当時の「我が国には犯罪はない」という建前の「理想の国」だったソ連。
実際にあった52人の少年・少女殺害のA・チカチーロ事件。
長期間の大量殺人は個別処理され、連続殺人者の存在を認めようとしなかったとか。
ベルリンの壁がこわされロシアになっても、小説の舞台のロシアではこの本は発禁書らしい。

これを書いたのが当時29歳のイギリスの新人だから二度びっくり。
母はスウェーデン人、父はイギリス人。
ケンブリッジ大学卒業後、シナリオライターに。

昨年 多くの賞をとったこの本をじっくり読めたのは、パソコンの故障のおかげ。
本屋で見つけて、ずいぶん永く積んでおいたもの。面白さに気付かずに・・・。
インターネットやテレビから離れると、「埋もれた宝物」に出会えるもの。
出版されてから時間が経った「周回遅れ」でも満足です。

映画化も決まり、続編もすでに刊行され手元にあります。
楽しみが続く秋です。

(出版 新潮文庫、著者 トム・ロブ・スミス)
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「反貧困の勉強法」

2010年08月21日 | 本・雑誌
刺激的なタイトルの新書を本屋で目にしました。
講談社新書で880円。和田秀樹 著。

毎日、就職相談窓口を訪れる人たちの学歴はまちまち。
中卒・高校中退も結構多いのです。それも若い人たち。
フリーターを何年もしている人や「ひきこもり」族が新見にも出現。

この本で書かれていることは、格差社会を認め、なら「受験戦争を勝ち抜け」というのが著者。
もろ手をあげ 賛成ではありませんが、興味深い主張もいくつかあります。

頭の良さは遺伝ではなく、親の成功体験を伝える技術だとか。
高学歴の親ほど、情報を子供に伝えているのだそうです。
言ってみれば「環境の遺伝」かも。
ただ「学力偏差値」より「社会偏差値」の重要性も説いています。

例に出している金沢工業大学の方針にも納得。
授業の中で、現実の厳しさを教え、生涯賃金などの例示により、学生に動機付けを。
フリーターの生涯賃金数千万、正規社員3~4億円。
就職率99%の大学だそうです。

一番おもしろかったのは、4月生まれと3月生まれの比較。
クラスで自信を持って育った人たちと、体力的にもハンデを背負った「早生まれ」のトラウマ。
幼いころの1年間の差は、頭脳的にも、身体の発達も大きいもの。
データを示してないので真実かどうかは知りませんが、思わずうなづきます。

四人の娘たちの教育には、もう遅すぎますが、孫たちには役立つかも。
誰一人結婚もしていませんが(笑)

画像   音楽を学んだ三女の学び舎
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