私的図書館

本好き人の365日

『創世の島』

2010-08-01 00:51:00 | 本と日常
午前中はすごく暑かったので、洗濯物を干してから喫茶店に避難。

アイスコーヒーとケーキだけで3時間ねばって来ました♪

ウエイトレスさんが水を交換に来ること来ること(笑)

喫茶店で読み終わったのが最近買ったバーナード・ベケットの

*(キラキラ)*『創世の島』*(キラキラ)*(早川書房)

人類が死滅した未来。
大富豪によって世界から隔離された島でわずかに生き残った人々は独自の社会を築いていた…

遺伝子によって階級が区分され、肉親の顔も知らずに厳しい教育を受けて育てられる子どもたち。

外界とは巨大な壁で遮られ、近寄る難民は問答無用で攻撃される。

物語はアカデミーへ入学するために、ひとりの少女が口頭試問を受けるという形で進行します。

少女の口から語られる人類の歴史と終焉と、「島」での創世の物語。

それは、「島」でのルールを破り、一人の難民の少女を助けたアダムという兵士と、人から学ぶことをプログラミングされた人工知能(AI)、アートというアンドロイドの物語。

やられた! と思いました♪

これは映像化不可能!!

最後のどんでん返しは予想できなかった!

物語がずっと試験官と少女のいる部屋で静かに展開されるのに対し、少女が試験の答えとして語る未来の歴史のなんてスリリングなこと!

最終戦争や人工知能といったSF要素も盛りだくさんですが、ところどころに流れる哲学的なテーマもいい味を出しています♪

登場人物の名前がギリシアの哲学者の名前だったり、”理想の社会”を建設するというのがプラトンの思想とリンクしていたり☆

作者のバーナード・ベケットさんは高校の教師で、演劇や数学や英語などを普段は教えているのだそうです。

若者向けに書かれたこのお話は、数々の賞を受賞し、若者だけでなく多くの大人の読者をも魅了しました。

私も若い頃に
「誰もが幸せを求めているだろ?」
「でも実はそれは”幸せになりたい”と思わされているだけなんだよ。我々はそんな思惑からも自由にならなくっちゃ」

と友達に熱く語り。「思わされているって、誰に?」という友達の真っ当な問いに、

「遺伝子にさ」

と答えたことをこの本を読んでいて思い出していました。

若気の至りっていうか、あの頃はかなり痛かった…

そんな個人的なことは置いといて、久しぶりに面白いSF作品を読めました♪

喫茶店ではケーキしか食べなくて、実はカキ氷もすごく食べたかったのですが、合計金額が本一冊分より高くなりそうなのでグッと我慢しました。

私の遺伝子は「食べろ~食べろ~」と言っていましたが、そこは理性の勝利です☆

あぁ、自由ってけっこう辛いものなんだなぁ…