9/15(木)雨のち曇り
長雨続く。
終日辛気臭い業務遂行。
新宿厚生年金会館で『ワールドトレードセンター』の試写鑑賞。
2200人入る小屋がほぼ満員。
開演15分前に到着して、単身の身軽さ、中央後方左手のまずまずのポジションに座席を確保。
「全米が泣いた」とか「感動大作」という言葉ほど胡散臭いキャッチはないが、映画の中身はまさしくそう形容したくなるような真正面からの直球勝負、63億円という中程度の製作規模が支える、本格的なテロ惨事の再現映画。
2001年9月11日のニューヨーク。いつものように点呼を取り、一日が始まったNYPD の警官達。
彼らを待ち受けていたのは、予想もしなかった同時多発テロ事件だった。
管轄の湾岸警察官だった二人の主人公を演じるは、ニコラス・ケイジとマイケル・ペーニャ。
それぞれの夫人役にマリア・ベロとマギー・ギレンホールと、まぁ達者な中堅どころ起用したキャスティング。
つい先日鑑賞したばかりのポール・グリーングラス監督の「ユナイテッド 93」が、徹底したドキュメンタリー・タッチだったのでどうしても比較してしまう。
本作の方が、嫌味にならない程度に映画的に再構成されていて、かなり対照的な仕上がりの違いを見せている。
ユナイテッド93は、テロリストの視線も均等に扱っており、世評(主に玄人筋)はこちらの方が高い。
アンドレア・バーロフの脚本を演出したのはオリバー・ストーン監督。
ストーン作品の持ち味である、大仰で重たい画面を期待したが、意外やケレンと真面目さが絶妙にバランスした、いい意味でストレートな作風に仕上がって、これはこれで好感を持てた。
米国の某評論家が「ストーン映画と言うより、ほどほどに出来たロン・ハワードの映画みたい」と評していたが、まさしくそんな感じ。
瓦礫に埋もれた主人公二人は、顔だけ(それも埃まみれ)の演技で、間歇するカットバック(家族との日常描写)がコントラストを鮮明にしていた。
リドリー・スコットの「G.I.ジェーン」への言及があったり、一部に息が抜けるシーンもありましたが、瓦解や火災に怯える閉鎖シーンは、やはり観る者を圧倒する。
徐々に衰微してゆく意識の中で、家族を思う切々たる気持ち。
幻想として現れる最愛の人々や神々。
理不尽な状況を内省的な恨み節にもせず、家族愛や人道正義を前面に、人間性をクリアに描いた視点は秀逸であった。
つい先日のTV報道で、9・11以降、米国軍が中東で行った戦闘により、民間人死者が3万人を超えている事を知った。
テロと戦争の違いは何か。
テロは憎むべきもので、戦争は勝てば官軍か。
厄災を受けた者からの視点で描けば、立場は逆転するであろう。
戦争には殺す側と殺される側、それぞれに論理がある。
いにしえから春秋に義戦なし、ともいう。
そう考えると、この作品の評価も複雑なものにならざるを得ない。
終演後、表に出れば雨も上がっていた。
新宿までぶらぶら歩き。
22:00帰宅。
長雨続く。
終日辛気臭い業務遂行。
新宿厚生年金会館で『ワールドトレードセンター』の試写鑑賞。
2200人入る小屋がほぼ満員。
開演15分前に到着して、単身の身軽さ、中央後方左手のまずまずのポジションに座席を確保。
「全米が泣いた」とか「感動大作」という言葉ほど胡散臭いキャッチはないが、映画の中身はまさしくそう形容したくなるような真正面からの直球勝負、63億円という中程度の製作規模が支える、本格的なテロ惨事の再現映画。
2001年9月11日のニューヨーク。いつものように点呼を取り、一日が始まったNYPD の警官達。
彼らを待ち受けていたのは、予想もしなかった同時多発テロ事件だった。
管轄の湾岸警察官だった二人の主人公を演じるは、ニコラス・ケイジとマイケル・ペーニャ。
それぞれの夫人役にマリア・ベロとマギー・ギレンホールと、まぁ達者な中堅どころ起用したキャスティング。
つい先日鑑賞したばかりのポール・グリーングラス監督の「ユナイテッド 93」が、徹底したドキュメンタリー・タッチだったのでどうしても比較してしまう。
本作の方が、嫌味にならない程度に映画的に再構成されていて、かなり対照的な仕上がりの違いを見せている。
ユナイテッド93は、テロリストの視線も均等に扱っており、世評(主に玄人筋)はこちらの方が高い。
アンドレア・バーロフの脚本を演出したのはオリバー・ストーン監督。
ストーン作品の持ち味である、大仰で重たい画面を期待したが、意外やケレンと真面目さが絶妙にバランスした、いい意味でストレートな作風に仕上がって、これはこれで好感を持てた。
米国の某評論家が「ストーン映画と言うより、ほどほどに出来たロン・ハワードの映画みたい」と評していたが、まさしくそんな感じ。
瓦礫に埋もれた主人公二人は、顔だけ(それも埃まみれ)の演技で、間歇するカットバック(家族との日常描写)がコントラストを鮮明にしていた。
リドリー・スコットの「G.I.ジェーン」への言及があったり、一部に息が抜けるシーンもありましたが、瓦解や火災に怯える閉鎖シーンは、やはり観る者を圧倒する。
徐々に衰微してゆく意識の中で、家族を思う切々たる気持ち。
幻想として現れる最愛の人々や神々。
理不尽な状況を内省的な恨み節にもせず、家族愛や人道正義を前面に、人間性をクリアに描いた視点は秀逸であった。
つい先日のTV報道で、9・11以降、米国軍が中東で行った戦闘により、民間人死者が3万人を超えている事を知った。
テロと戦争の違いは何か。
テロは憎むべきもので、戦争は勝てば官軍か。
厄災を受けた者からの視点で描けば、立場は逆転するであろう。
戦争には殺す側と殺される側、それぞれに論理がある。
いにしえから春秋に義戦なし、ともいう。
そう考えると、この作品の評価も複雑なものにならざるを得ない。
終演後、表に出れば雨も上がっていた。
新宿までぶらぶら歩き。
22:00帰宅。