Il film del sogno

現実逃避の夢日記

紀子の食卓

2006-09-25 23:46:00 | 日記
9/25(月)晴れのち曇り
午前、熊谷行きの予定が、先方によるドタキャンあり中止。
半プライベートなメール等々で昼過ぎまで時間をつぶす。
夕刻、新宿へ。
K's Cinemaにて『紀子の食卓』を鑑賞。
観客20名強。
監督・園子温の『自殺サークル』を5年前に新宿武蔵野館のレイトショウで観た時の衝撃は今でも鮮明に憶えている。
邦家では年間3万人前後の人が自ら命を絶っている。
生活苦、病苦、厭世、男女問題、いじめ・・・。
映画は54人の女子高生が新宿駅のホームから線路に飛び込み全員轢死というショッキングなシーンで始まる。
周囲は阿鼻叫喚の地獄絵図。
これを皮切りに、原因不明の自殺者が続出。
残されたエグイ遺留品に【事件】として捜査を開始する刑事達。
果たしてその真相は・・。
前半のサスペンティックな展開は独特の緊密性を維持して、作中人物達が不気味な魔
力に導かれているかの様に感じられて、何度も肝が冷えた。
中盤からは、ややあて馬的人物の登場で色調が変わってくる。
ホラーともサスペンスともスプラッタとも異色の音楽ものとも言える作風。
監督の独特の作風に亜流なし。
ネットワークと映像、喧騒と狂気、恬淡とした人間関係等々の世相を巧みに切り取っ
て同時代性も感じさせる。
終盤の黒幕?登場の場面でも会話は禅問答のようで、謎は深まるばかり。
無数のサイトの灯には満たさない孤独な者達の魂が蝟集している。
屈託なく恋の唄を歌う少女達からの妖しいデジタル・メッセージは、黄泉の国への旅
立ちを、まるでピクニックへでも行くかのように誘うのだ。
カルト映画の傑作だと思う。

本作はその続篇的筋立て。
食卓を囲んでの一家団欒…。
田舎町から東京へ出た主人公が、怪しいサイトで知り合った女性と、レンタル家族を構成する。
自分との関係性?
我々は常にその社会的な役割を演じている。
皆々与えられた役割を演じているだけだとしたら・・・・。
そして自分は本当に自分自身なのか…?
各キャプチャーで語り手を変え冗長とも言えるナレーション。
虚構と幻想を交錯させた展開。
2時間40分の長尺。
またまたカルトな傑作の誕生。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする