Il film del sogno

現実逃避の夢日記

馬/綴方教室

2011-05-04 01:36:00 | 日記
5/3(火)曇り後雨
世間では憲法記念日、旗日、3連休初日であるが自身にとっては6日目の休み。少々ダレてくる。贅沢なものである。明け方に就寝したが10:00に起床してブランチを孤食。住宅ハウスメーカーのセールス来訪。自宅のメンテナンスについての説明をひとくさり。屋根の張り替えや壁の塗り替えを如何です?概算の見積を聞いて軽い眩暈を覚えた。この世は万事金次第。気をとり直して午後、池袋へ出張る。新文芸坐では往年の大女優の特集が組まれている。本日のプログラムは戦前、松竹から引き抜かれて出演した山本嘉次郎監督の2作品。両作とも製作主任(助監督)に黒澤明のクレジットあり。極貧にもめげず孝行・勤労する健気な少女が主人公。ちょいと≪国策≫の匂いはするが、天才子役(デビューは5歳)から成人女性へ脱皮する少女期の秀作でありましょう。場内溢れんばかりの大混雑の原因は養女にあたる作家のトークショーが開催されていた為であった。身内の者でしか語れないエピソードが聞けて僥倖。製作年度がやや新しく大作である『馬』の方がプリントの状態が悪い。本来は東北の雄大な四季の絶景が映り込まれていたのだろうがフィルムの褪色著しい。しかし草原を疾走する裸馬にのった美少女というのは絵になる。戦中困難を極める映画製作にゴーサインを出したのは東条英機だったそうな。『綴方教室』を観て我が祖母を思ふ。上越の寒村から正規教育も受けずに奉公先へ出され生涯文盲であった。ヒロインの両親が徳川夢声と清川虹子と云うのが凄い。当然劇中の二人も文盲という設定。赤貧洗うが如しを地でゆく家具調度のないガランとした長屋と倹しい食事に唖然とする思い。驚くなかれその頃からまだ100年は経っていないのだ。暖衣飽食して親孝行や教師を敬うことを忘れた現代とどっちが≪豊か≫か。きっと我々は物質的な享楽と引き換えに考・忠・義・仁など美徳の過半を失ったのだ。帰宅して『わたしの渡世日記』を再読する。天は時として二物を与える。
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