◎黒沢明監督『生きる』(1952)を中高年の皆さんに薦める
本日も、アテネ文庫(弘文堂)の『映画作品辞典』の引用から。同辞典の「生きる」の項には、次のようにある。
生きる(日.東宝.1952) 役所に無遅刻無欠勤の模範勤務三十年,事なかれ主義の権化〈ゴンゲ〉として盲目判〈メクラバン〉を押して来た一課長が,胃癌〈イガン〉で余命いくばくもないないと宣言されたのを転機として,始めて社会のために生きることの意義と尊さを知る.「羅生門」のグラン・プリ獲得で押しも押されもせぬ世界的大監督となつた黒沢明が,役所のセクト主義と,人間の生き方について,執拗にして能弁,且つ多角的なメスを揮つた力作.黒沢明,橋本忍,小国秀雄〈オグニ・ヒデオ〉合作のオリジナル・シナリオで,志村喬,小田切みき主演.ベスト・テン一位.
私が最初にこの作品を見たのは、四〇年近く前のことである。映画館で見たが、そのときすでに「古典」として鑑賞したのであった。今日では、DVDという便利なものがあるので、こういう古い作品でも、容易に鑑賞できる。数年前、DVDで、もう一度見てみたが、前に見たとき以上に感動した。おそらくこれは、「加齢」のせいであろう。
世の中高年の皆さんも、おそらく、この映画をご覧になれば、何か感ずるものがあるはずである。「余命いくばくもないない」と宣告される前に、一度、ご覧になっておくことをお薦めしたい。