礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

映画『ザ・シューター』と映画『モダン・タイムス』

2019-10-10 00:15:12 | コラムと名言

◎映画『ザ・シューター』と映画『モダン・タイムス』

 先日、DVDで、パラマウント映画『ザ・シューター』(二〇〇七)を鑑賞した。ストーリーの展開がシンプルで、見ていて疲れない映画であった。
 映画の最後のほうで、「復讐」を果たした主人公のボブ(マーク・ウォールバーグ)が、雪道に停車させておいた車に戻ってくる。車には、新たに恋人となったサラ(ケイト・マーラ)が待っている。
 ラストシーンは、二人の乗った車が、一直線の道を走っているところ。カメラに向かって、猛スピードで走ってくる車。背後には、雪をかぶった連山が見える。続いて、二人の乗った車は、同じ道を、カメラから遠ざかるようにして走ってゆく。前方には、雪をかぶっていない別の連山。
 この場面を見て、チャップリンの『モダン・タイムス』(一九三六)のラストシーンを思い出した。こちらのラストシーンでは、チャーリー・チャップリンとポーレット・ゴダードの二人が腕を組んで、一直線の道を歩いている。たしか、最初は、カメラに向かって歩いていたと思う。続いて二人は、同じ道を、カメラから遠ざかるようにして歩いてゆく。
『ザ・シューター』のアントワーン・フークア監督は、あきらかに、『モダン・タイムス』を意識している。ちなみに、『モダン・タイムス』の二人には、何の展望もない。同様に、『ザ・シューター』の二人にも、何の展望もない。フークア監督は、なかなか凝ったラストシーンを思いついたものである。

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