◎奇問奇答「笑科大学」(1939年1月)
本日も、『戦線銃後 笑の慰問隊』という冊子から、記事を紹介する。本日は、「奇問奇答笑科大学」という記事を紹介する。解答は、「ドンナモンヂヤ博士」。
奇問奇答 笑科大学 ドンナモンヂヤ博士解答
問 アイヤ博士【はかせ】殿、賢問を呈す、さて連戦連勝の我が皇軍も、男女の間にはいつも悩まされて居るといふが、男女の間とは一体何のことであらうか? さすがの博士もこれには参つたであらう。(佐藤一郎)
答 此の位の問【とひ】に恐れ入るやうな博士ではござらん、男女の間といふのは、昔の諺に『遠くて近きは男女の間』といふから、遠近【とほちか】即ちトーチカのことぢや。
問 然らば入【い】り代つて一問、太郎が『今は何時か?』とたづねたところが、次郎が『日本中【につぽんぢう】何処へ行つても同じ時だ』と答へたといふが、さて何時であらうか?(秋山秀夫)
答 何でもないことぢや、今は日本中何処へ行つても『非常時』といふ重大な時ぢや、ウカウカしては居【を】られん時ぢや。
問 博士一問、此の間【あひだ】、僕の隣で出産があつたので、女中さんに『男のお子さんですか女のお子さんですか?』 とたづねたところが、女中さんは、『アノ蛙【かはづ】とび込む水の音でございます』と答へた。一体男か女か? さあさあ返答如何【いかに】?(安部貞雄)
答 蛙飛ぶ込む水の音といふのは、ボツチヤンで、男の子のことぢや。
問 博士一問、或る人が高野山に詣【まゐ】つて武運長久を祈つたところが、弘法大師から『よくわしを守れ』との御告げがあつたさうである。弘法大師を守れば何の利益があるのであらうか? 即答を乞ふ。(河村 博)
答 弘法大師を守れといふのは、空海を守れ、空と海とをよく護れといふことぢや、ヘン、どんなもんぢやい。
問 博士難問だぞ、此の間弟を使にやつて、四十ワツトの電球と六十ワツトの電球とを買つて来てつけて見たら両方とも同じ明るさであつた、さあどういふわけであらうか?(吉田幸太郎)
答 それは何方【どちら】も球が切れてゐたので、同じだつたのぢや、何と恐れ入つたか。
問 博士賢問! 非常時の今日、各地に梅干が出没してゐるから注意しなくてはいけないといふが、梅干とは何ものであらうか?(川口清三)
答 梅干とはスパイのことぢや。
問 ドン博士、ドンと一発行くぞ、目下、北支、中支、南支に於て、加藤清正が盛んに活躍してゐるさうだが、その正体は何であらうか? 加藤清正の霊だなぞといふと承知せんぞ。(佐藤二郎)
答 加藤清正とは、虎突く即ちトラツクのことぢや、トラツクは大いに活躍して居【ゐ】るぢや。
問 博士さん一問、或る奥さんが、魚屋【さかなや】へ行つて、『一つの魚【さかな】を十【と】キレに切つて、それを三分【ぶん】して持つて来て下さい』と云つたが、魚屋さんは、果して何を持つて行つたでせうか?サア今度こそ参つたでせう。(山田花子)
答 まだまだ参りませんわ、魚屋さんはさしみを持つて行つたです。何故なら、十を三分すれば三四三となるからです。
問 エヘン! 難問だぞ、こゝに一匹の虫が居る、之れを二倍すると海に居るもの、三倍すると私達【わたしたち】に必要なもの、又四倍すると動物になり、五倍すると物を入れるものとなる。だて何といふ虫であらうか。(村上賢二)
答 虫の名は蚊ぢや、即ち二倍すればカニ、三倍すればカサ、四倍すればシカ、五倍すればカゴとなるぢや。
語呂合せ
嘘から出た誠
裾から出た踵